「恋は夕暮れ」は1994年10月発売のシングル「スパイダー」のB面として発表されました。
昭和のグループサウンズを思わせるようなジャケットです。
アルバムは「空の飛び方」に収録されています。
「恋は夕暮れ」というタイトルは、「枕草子」を連想させます。
そういえば、「恋は何々」と1つ1つ書き連ねるやり方は、
「枕草子」の第1段などとちょっと似ているかもしれません。
「ロビンソン」のようにタイトルが歌詞に全く出てこない曲と対照的に、
数えてみると「夕暮れ」が6回も出てきます。
夕暮れといえば、「枕草子」では「秋は夕暮れ」とあるように
もの悲しさやものの哀れを感じさせる時間帯です。
また、「届かない 悲しきテレパシー」ということは、僕は君に片思いの状態であるようです。
そしてその片思いの自分の心情を、ホーンセクションの助けをかりて、
少し重く、ためらいを含んだようなリズムにのせて切々と歌います。
「待ちきれず 咲き急ぐ桜」のように、わくわくするようなはなやいだ気持ちのときもあれば、
「迷わずに 飲む不幸の薬」、「悪魔への祈り」というように沈んでしまうこともある。
それはすべて君しだい。
君の何気ない仕草で、蝶々のようにふわふわ飛んでいるような気分になったり、
君のちょっとした言葉が繰り返し、繰り返し頭の中に浮かんできたり。
「武器を捨てて」とは、もう君にお手上げ、参りましたということでしょうか。
それとも、自分の上辺を飾っている強がりとか見栄を払い落とした
素の僕を見てほしいということかもしれません。
それでも、この気持ちを君になんとか打ち明けようとか、恋が成就すればいいなというような
積極的な思いは歌われていません。
むしろ、この「美しい夕暮れ」のような片思いの状態に浸って、
ぼんやりたたずんでいるのをしみじみと味わっているようにさえ思えます。
それもいいかなって、思います。
しゃかりきにならないで、まったりと過ごす時間も、
長い人生では 決してマイナスにはならないはずです。
とてもいい写真を見つけました。無断掲載、ごめんなさい。そしてありがとうございます。
おしまい