雪害の記録 2006 Apocalypse

君死にたもうことなかれ

(鹿島)山地での雨水流出状況をシミュレートする「山地降雨流出予測解析システム」を開発

2005年10月19日 | 雪害の記録04-05
山地降雨流出予測解析システムの開発

~都市域から山地までを視野に入れた洪水対策を実現~

★山地土壌の「緑のダムの効果」をモデル化
★『都市型水害予測解析システム』との組み合わせにより総合的な洪水対策を実現
★ビジュアルで使いやすいシステム
★山地での雨水の動態を精緻にモデル化


 鹿島(社長:中村満義)は、京都大学防災研究所・立川康人助教授のご指導の下、『山地降雨流出予測解析システム』を開発しました。
 本システムは、洪水対策に関する技術提案を目的に開発されたもので、立川助教授らのグループによって提案されている森林土壌の雨水浸透・貯留効果を解析するモデルを導入することにより、「緑のダムの効果」(森林土壌による洪水流出抑止効果)を表現して、山地における雨水の流出状況をシミュレートするものです。
 また、実際に利用する際の使いやすさを考慮し、GIS(地理情報システム)を用いた解析データの作成支援およびビジュアルに解析結果を表示する機能も備えています。

 今後、当社では、既に開発済みの「都市型水害予測解析システム」と本システムを合せて活用することにより、都市域から山地までを視野に入れた洪水対策を積極的に提案していく考えです。


【 開発の背景 】

 我が国では国土の約70%が山地によって占められており、背後に山地が迫っている都市も少なくありません。
 そのような都市域を対象として、適切な洪水対策を提案するためには、都市域だけでなく山地での雨水の流出状況も正確にシミュレートする必要があります。
 本システムは、森林土壌の雨水浸透・貯留効果を解析するモデルを導入することにより、山地での雨水の流出状況を正確に知ることができます。
 本システムと既に開発済みの都市型水害予測解析システムと合せて利用することにより、都市域から山地までを視野に入れた洪水対策を提案・評価することが可能です。

*山地降雨流出予測解析システムと都市型水害予測解析システム概念図
 添付資料をご参照ください。


【 本システムの概要と特徴 】

 本システムは、雨水浸透・貯留効果を解析できるモデルを導入するとともに、山地での雨水の流れ方や勾配の表現についても精緻なモデル化を行っています。これにより、山地から都市域の上流河川等への雨水流出を正確に算出できます。
 また、解析に必要なデータ作成や結果表示を効率的に行うため、GISを用いた支援システムを併せて開発しています。

 本システムの特徴は以下の通りです。

○山地土壌の「緑のダムの効果」をモデル化
 山地からの雨水流出量を正確に算出するには、山地土壌の「緑のダムの効果」(森林土壌による洪水流出抑止効果)を適切に表現する必要があります。そこで、立川助教授らのグループによって提案されている雨水浸透・貯留効果を解析するモデルを導入しました。このモデルは、山地の物理的特性(森林土壌の厚さ、空隙率、透水能、地表の粗さ)と降雨量などを入力することにより、山地の雨水浸透・貯留効果を解析することができ、「緑のダムの効果」を表現することができます。

○山地での雨水の動態を精緻にモデル化
 山地での雨水の流れ方をモデル化する場合、一般には「集中型モデル」と呼ばれる簡潔でブラックボックス的なモデルが利用されていますが、本システムは水理学的基礎に基づいた「分布型モデル」と呼ばれるモデルを採用しています。また、山地斜面のモデル化についても、斜面上の各点をネットワークとして表現した「流水線モデル」を利用しています。
 これらにより、正確なシミュレーションが可能になり、よりきめ細やかな洪水対策を提案することができます。

○ビジュアルで使いやすいシステム
 GIS(地理情報システム)を用いた解析データの作成支援およびビジュアルに解析結果を表示する機能も備えています。
 例えば、国土数値情報や数値地図50mメッシュ(標高)から、日本国内の全流域に対して流水線データを作成することができます。また、降雨量、地形(山地ならびに河川)、土壌、河道、山地表面の粗さなどを簡単に入力することができ、河川での水位と流量、山地斜面での土壌水分量、水分移動量などの結果が数値ならびにわかりやすいグラフィックスとして得られます。解析結果をアニメーション表示することも可能です。


*入力画面イメージ
 添付資料をご参照ください。


【 本システムの検証 】

 2004年7月18日に実際に起こった福井豪雨の洪水における九頭竜川水系の「足羽川流域」を対象に、本システムの検証シミュレーションを行いました。その結果ほぼ実績値に近いシミュレーション結果が得られており、本システムの妥当性が確認できました。


【 今後の展開 】

 今後、当社では、既に開発済みの『都市型水害予測解析システム』と本システムを合せて活用することにより、都市域から山地までを視野に入れた洪水対策を積極的に提案していく考えです。この提案により、解析実施の機会を増やすことを通じて、解析精度を高めるためのノウハウを蓄積しつつシステムの高度化を図るとともに、洪水対策関連施設の管理、浸水被害予測、災害時避難解析などへの適用も提案していく方針です。


【 開発者からの一言 】

 特にこの数年は全国各地で水害が頻発しています。これらへの対策検討のため2年前に「都市型水害予測解析システム」を開発しました。このシステムをより有効に利用する上で、都市部解析エリアの上流から流入してくる山地の雨水流出条件の設定は1つの課題でした。
 今回の開発成果を活かし、より合理的な水害予測解析を実施することにより、これまで以上に安全で安心な都市づくりに貢献できることを願っています。


 プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
 その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。



● 関連リンク
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