住田町の有限会社気仙環境保全(紺野平社長)は、食肉処理加工業の住田フーズと生産農家22戸が出資し2003年に設立。従来は農協に委託して鶏ふんをたい肥化していたが、国の補助を受けて同町上有住に炭化処理施設を建設中で、来年度からの稼働を目指している。総事業費は10億円。
計画では、年間1万7500トンの鶏ふんを低酸素状態で燃焼させて炭化処理し、バイオマスチャコールと呼ばれる燃料を3483トン生産する。燃料は国内の電力会社に販売する方向で交渉しており、製紙会社などへの供給も目指している。
鶏ふんの炭化処理施設は県北地方で既にあったが、融雪剤や土壌改良材としての活用で、燃料として使うのは初めて。
住田フーズの神田謙一生産部長は「石炭の代替燃料としての販売はおそらく全国初で、ぜひ成功させたい」と意気込む。
このほか、家畜排せつ物のエネルギー化は01年から藤沢、葛巻、一戸の3町で行われ、雫石町でも来年から始まる予定だ。いずれも排せつ物を発酵させて得られるメタンガスを活用して発電、併設する畜舎の照明などの電力として供給している。雫石町の施設は、地域の学校給食の残さも使う。
こうした動きに呼応し、県は今年3月、バイオマス総合利活用マスタープランを策定。家畜排せつ物処理を施策の重点に位置づけ、メタン発酵による処理を03年の2万6千トンから10年には5万3千トン、炭化処理を6千トンから2万3千トンに拡大させる目標を立てた。
1999年に排せつ物の適正管理などを定めた家畜排せつ物法が施行され、たい肥が供給過剰になっていることが燃料化を後押ししている。一方、処理施設の整備には多額のコストがかかるほか、安定的な利用先の確保など今後の課題も多い。
県畜産課の千葉匡主任主査は「農地還元が主体だった家畜排せつ物処理の新たな視点であり、期待している。燃料販売がビジネスとして成り立つには時間がかかるかもしれないが、県も積極的に支援したい」としている。
岩手日報
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