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ポートランド日記(前)

 2月9日から17日までアメリカ・オレゴン州のポートランドに行ってまいりました。6年ぶりの海外、国際線の長距離フライトは久しぶりだったこともあり、ちょっと緊張気味。前日に確認したら乗る予定の飛行機の便名が予約した時点から変わっていたり、チェックインがセルフ(タッチパネルを自分で操作)になってたり、ギターはもちろん機内持ち込みできず、かなり厳しくなっているらしいアメリカの入国大丈夫なんだろうか…到着するまでに半分エネルギーを使ってしまった気分です…。それでもポートランドに着いたら入国審査を笑顔で通過、ロビーでジョー・パワーズに迎えてもらってひと安心。

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2月9日(火)~10日(水)

 霧のかかった美しい朝を車で走ります。オレゴン州は西海岸の3つの州の上から2番目(ワシントン、オレゴン、カリフォルニア)、ポートランドは州の北部、ワシントン州との境近くにあります。このあたりは大学が多いそうで、郊外の住宅地もとても落ち着いた雰囲気です。

 週末にかけて「バレンタンゴ」というタンゴイベントがあり、期間中はポートランド市内の各会場でさまざまなワークショップやミロンガ(ダンスのサロン)が開かれています。今回私が呼んでいただいたスケジュールは13日の夜、演奏メンバーはジョー、同じく日本からやってくるピアニストの青木菜穂子さんと私のトリオ、そして地元のジョーの仲間のミュージシャンの最大6人編成。ちなみに青木さんは11日の到着予定です。

 ジョーと青木さんとのトリオでは日本で何度も共演していますが、そちらはどちらかというとオリジナル曲が多い構成。今回は大きなミロンガの中でのコンサートなので、参加者の方が踊りやすいプログラムで演奏する必要がありました。さらに主催者の意向もあってほとんどが初演の曲となってしまいました・・・というわけで、お宅についてハーブティーをいただき、早々リハ開始。時差は日本から-17時間、日本時間では深夜2時過ぎからの練習です。

 休憩中にパソコンでメール確認。携帯にもちゃんとメールが届いています。ホームステイ先では無線LAN完備。出国前、スケジュール調整中の相手の方に「返信遅くなるかも知れません」とお伝えしていたのに、なぜか東京にいるより早い返信ペースになっています。電話ブースに行って電話線はずしてパソコンにつないでいたころが懐かしい…。携帯の通信料が心配ではありましたが結局後日確認したところあまりかからずにすみました。

 昼食。食事をしに近くにあるレストランへ。アメリカでは初食事(空港をのぞく)。やっぱり行ってみたいでしょう、アメリカンフード!ハンバーガーを注文するとジョーは心配そうな顔をしています。やってきたのは想像を超えるビックサイズでした。ジョーもクラブハウスサンドを頼んでいますが、サンド自体のサイズは普通、ところがクラブハウスの段数、全長が20センチを超えています(×2)。思ったほど油や塩気も強くなく、おいしくいただきました。食べ切れなかった分は袋をもらってテイクアウト可能なのがうれしいサービス。ジョーは半分持ち帰り、私は完食しました。

Burger_sandwich_joe

 その後もひたすら練習。アメリカに着いてからはほとんど合宿状態。キメのフレーズや曲の構成確認、そして時差を調整していたらあっという間に2日がたってしまいました。

 2日目の夜、ようやく街にくりだします。ジョーが連れて行ってくれたのは「アンディーナ」というレストラン。ペルー料理をアメリカ北西部スタイルで。ただこの日は時間も遅くBARタイムだったのでお酒とジュースで。演奏しているのは日本人のギタリスト。ジョーが紹介してくれたのはポートランドを拠点に活動されているトシ鬼塚さん。ちょうどショータイムの終盤、フラメンコギターのこのリズム、ジャズのグルーブ感がたまりません。演奏が終わるとすぐにテーブルに来てくださいました。

「Chiei:きのうアメリカに来たばかりなんですよ」
「Tochi:そうなんだ!いや実は俺も今月から日本でツアーするんですよ」

ポートランドでのなんだかすごい出会いです。Tochiさんは後日来日されて、私もライブ行きました! ギター一本で作るToshi world、とてもかっこいいです。

Toshi_joe

Toshi Onizuka website(英語):
http://www.toshionizuka.com/

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2月11日(木)

 この朝、青木菜穂子さんも到着、その日の午後からは全体でのリハです。バンドネオン奏者でダンスの先生でもあるアレックスのスタジオへ。パーカッションのジェシー、バイオリンのエリンと一緒におこないます。青木さんはこれまでにもブエノスアイレスに行く途中の滞在を利用して2回ポートランドで演奏しているそうなのでメンバーとも顔なじみ。練習は2回ずつほど軽く通して比較的あっさり終了、ちょっと不安ではありますが、本番でものすごく力を発揮しそうなオーラをたたえたミュージシャンぞろい、個人的にはこれもみっちり家で練習した成果と考えます。

 夜をいただいた後、ジョーと2人でまた市内へ。パーカッションのジェシーがやっているジャズバンドのライブを見に行きます。映画のワンシーンに出てくるようなバー、演奏が始まると隣のカウンターで飲んでいた兄ちゃんたちが美しいパートナーとともにぞくぞく集まってきました。チャージは5ドルですから若い友達も入りやすく、仲間のミュージシャンらしき姿もたくさん見えます。2時間の幸せな空間を満喫しました。

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2月12日(金)

 うっかりお昼ごろまで寝てしまいましたが、引き続きこの日も練習を続けます。今回は最初の2泊はジョーの友人のマイクさんのお宅、昨夜からはジョーのマネージャーのKimikoさんとご主人のJimさんのお宅にホームステイさせていただいています。マイクさんのお宅にはルージーという猫(実はオス)、Kimikoさんのお宅にはユキちゃん(こちらはメス)がいて、なぜか動物にはモテる?私は練習の合間にすぐ膝に乗ってくる「彼女たち」と遊んでいました。

Louzy

ルージー

Yuki

ユキ

 この日の夜はKimikoさんとJimさん主催のホームパーティー、Joe-Naoko-Chieiの3人で明日の公開リハを兼ねたミニライブも予定されています。水曜にお会いしたトシさんにもジョーからお誘いしたのですが夜はお仕事とのことで、午後に遊びにいらっしゃいました。さすがギターを取り出すとそのまま4人でセッションに突入、テーマを変えながらあっという間に1時間以上弾き続け、気がつけばトシさんは遅刻時間?パーティーのお客さんも見え始めました。

 KimikoさんとJimさんのお友達がたくさん集まっています。準備の手伝いをする間もなくうろうろ、ホームパーティーにはもともと慣れていないので演奏までどうして過ごそうか、さらにうろうろしています。ホストのあいさつの後、立食なのでとりあえずお皿に料理を盛り、座ります。

 ジョーも青木さんもすでに知り合いの方と話しているので、自分も近くの老婦人の方に声をかけてみます。なんとその方はJimさんのお母さんでした。こちらの不思議な英語にもゆっくりと耳をかたむけてくれます。話せるフレーズを使い切り間があいてくると、「あなた若いんだから周ってみなさんと話してきなさい!」とうながされてしまいました…。

 でもそのおかげで腹も決まって話しかけることにトライします。ちょうど隣の方が割り箸を落としたのでチャンス。誰かと話し始めるとつながりが増えていく、コミュニケーションの基本?をようやく思い出します。

 日系2世、3世の方も多くみえていて、ほとんど日本語は話せないそうなのですが、いろいろ昔の話を聞き取りやすいスピードで話してくれました。中には90代の方も。なんと元ダンサーで「若い頃にはフレッド・アステアのカンパニーで踊っていたのよ!」みんなびっくり。

 
 演奏の時間になります。今日のプログラム、ジョーはよりによって不安なレパートリーばかりを選んできたので、家にいてこの緊張感、コンサートが始まってしまった感じです…。無事半分ほど進んだところでソロを1曲もらい、初の英語MCにもトライです。まず「英語を話すのは今回がはじめてです」と微妙な入りをしてしまったのですが、笑ってくれたのでひと安心。

 
 1時間弱のミニコンサートもあっという間に終了、どうやら私は演奏をし終わってようやく開放できるたちなので、その後はとても楽しく過ごせました。相変わらず自分自身が音楽に助けられてばかりですが、音楽を通して一緒にいる人たちと共有できたらこんなにうれしいことはありません。(つづく)

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