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『てにあまる』ストーリーと感想

2021-06-30 09:23:24 | テレビ
WOWOWライブで2021.1.5(火)生中継の舞台『てにあまる』を録画したものを観ました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【ストーリー】
一人で暮らす老人(柄本明)の家に、男(藤原竜也)がやってくる。老人は戸惑うが、その男は老人を家に連れて帰り、二人の奇妙な同居生活が始まる。
男はベンチャー企業の経営者であり、部下(高杉真宙)が彼を支えている。部下は男の家を訪れ、見知らぬ老人がいるのに驚く。男は「家政夫だ」と老人を紹介する。部下は男に対して盲目的な憧れと畏れがあり、素直に信用する。
ある日部下は、男の別居中の妻(佐久間由衣)を連れてくる。妻は男と離婚をしたがっており、その話し合いのためだ。家政夫の老人に対して怪訝な目を向ける妻に、老人は不敵な笑みを浮かべる。
妻と部下の関係を疑い、壊れていく男。その様子に心が離れていく妻と部下。
男と妻子の間には何があったのか。そして老人しか知らない、男の過去の真実とは何か。
これは家族をやり直そうとする物語。
あるいは、家族を終わらせようとする物語。
 

【感想】
もともと壊れている“機能不全家族”で育った男のトラウマ。そこからサバイブしようともがくが、世代間連鎖から逃れられない男。
DVを正当化する狡猾で暴力的な父は、かつて自分の長男を殺してしまっていた。そんな父を嫌悪しながら男は彼から逃れられず、自分もDVをしてしまう。その姿は父の生き写しのよう。
人の心の奥底をじっと覗きこんで、見てはいけないものを見てしまった気持ちにさせられる。怖いのは人の心…。

男はラスト近くで父に叫ぶ。「取りこむなよ!俺は俺でおまえじゃねえから!!」
男のスマホアプリから流れる声は亡くなった兄の声。
虚々実々、何が真実でなにが現実なのか…。迷宮に迷いこんだ気持ちになった。

父の柄本明は誰もが認める“怪優”。その佇まい、視線ひとつで言葉にならないなにかが全て表現されていると思う。圧巻、怖いけど…。


【余談】
某俳優が柄本明について話していたことを思い出した。「彼はね~ずるいし怖いんだよね。その日のお客さんを見て、「今日の客はこの程度だからこんくらいでいいや」って芝居をするんだよね」とぼそっと。
う~ん、いろいろな意味で怖いな。苦笑。


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