一服の茶の楽しみ方について
ベトナムの仏教の僧侶であり、詩人でもある
ティク・ナット・ハンはこう言っている。
お茶を楽しむためには、人は完全に、
【今】という時に目覚めていなければならない。
【今】という瞬間を意識している時にのみ、
手は茶碗の快い温かさを感じることができる。
【今】という瞬間のみに、香りを楽しみ、
甘さを味わい、繊細さを感じ取ることができる。
過去のことを思い煩っていたり、
将来のことを心配していたりすると、
一杯のお茶を楽しむという体験を失してしまうだろう。
茶碗を見おろすと、もうお茶はなくなっているのだ。
人生もまったくこれと同じ。
【今】という時に完全に心を向けていないならば、
まわりを見回してみると、もうそれはどこかへ行ってしまっているのだ。
人生の感触、香り、繊細さ、美しさなどを
すべて見過ごしてしまう。
人生はただあなたの目の前をあっという間に
通り過ぎてしまうだろう。
~ 鎌倉 報國禅寺にて抹茶をいただく ~
過去はすでに終わっている。そこから学ぶことを学び、手放せばいい。
未来はまだここにない。未来に対する計画をたてるのはよい。
でもそのことを心配して時間を無駄にしてはいけない。
心配は必要のないこと。
すでに起こってしまったことを気に病むのをやめ、
起こらないかもしれないことを心配するのをやめた時、
あなたは【今】という瞬間にいることができる。
その時、あなたは人生の喜びを充分に体験することができる。
~ 鎌倉 報國禅寺 竹林にてもの思う ~
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