転 覧 記

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特集陳列「呉州赤絵」 @東京国立博物館

2009年11月18日 00時19分26秒 | 展覧会
先週末、東京国立博物館の本館の特集陳列「呉州赤絵」を見てきました。

閉館間際だったとはいえ、「皇室の名宝展」2期の喧騒をよそに
本館はいつもどおりガラガラ。
じっくり見れていいけど、何かもったいないなあ。


で、本題ですが・・・

展示の第一印象は "部屋中 赤・赤・赤!"
鮮やかな赤い器ばかりが陳列されているのは、なかなかインパクトがあります。

この夏に開催された「染付展」の "部屋中 青・青・青!" を思い出しました。
アレのカウンターパートと思ってこの展示を見ると、
また違った面白さがあるかも知れません。

「呉州赤絵」とは、16世紀末~17世紀はじめの明代末期に
中国南部・漳州の窯で焼かれ、日本や東アジアに広く輸出された磁器で
赤や緑の絵の具による力強く奔放な絵付けが特徴だそうです。
近年、窯が発見されて研究が飛躍的に進んだ、とのこと。


以下、特に気に入った3点をご紹介します。

「五彩獅子牡丹図大皿」

 コレだけキャプションがなかったので、
 余り重要な作品ではないのかもしれませんが
 個人的には一番気に入った作品です。

 中国の陶磁は器面が枠で分割されて
 理知的にデザインされたものが多いような気がしますが、
 これは朝鮮の陶磁みたいに伸び伸び描かれてて好きです。


獅子もリラックスした感じだし
鳳凰も自由気ままに飛行を楽しんでいるように見えます。


「五彩麒麟図皿」
次点はこちら。

キャプションによると中央の図像は
「腰を落とし、前足を伸ばして座る麒麟の姿」らしいですが
・・・私は判別できませんでした。

外周を泳ぐ魚のスピード感が気に入りました。




 「瑠璃釉双龍文大皿」

 漳州の釜では赤絵ばかり焼いていた訳ではなく
 このような皿も焼いていたそうです。

 「瑠璃柚を掛けた地に、青花の藍色、鉄絵の褐色、
 そして白柚を搾り出した手の込んだ作例」とのこと。
 赤絵とは異なり、抑揚を抑えた線描が特徴だそうです。


でも全体の雰囲気としては、やはり飄々とした印象。
コーヒーの表面に浮かぶミルクのような文様は、気流の乱れでしょうか。
これにより、空で激しくのたうつ龍の動きが強調されて見えます。


他にも、呉州赤絵に影響を受けた日本の京焼きなども
関連作品として展示されていました。


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