転 覧 記

ほぼ展覧会レポ。たまに読書記録。

平常展(2009年12月)@東京国立博物館

2009年12月28日 00時31分46秒 | 展覧会
ひさしぶりに東博の平常展の感想。
ほんとは月に2回くらい行ってるんだけど・・・なかなか書けず。

今回は本館の近代美術コーナーに
川瀬巴水の「東京十二景」から10点が展示されてたので、また写真とってきました。
展示されていないのは「春の愛宕山」「井の頭の残雪」の2点。
東博は所蔵してないのかなあ。残念です。

ただの展示は、版画としては珍しく額装ではなくガラスケースでの展示なので
絵肌の質感までよく見えていい感じです。


このエントリでは10点から3点だけご紹介。いずれも画像クリックで拡大します。

◆深川上の橋


新版画は夕焼けが美しいのがひとつの特徴だと思います。

水面の色は遠景と近景では色相が間逆、
しかも反転してるエリアはすごく狭いのにも関わらず
グラデーションが自然でまったく違和感がないのが凄い。

どうやって重ね刷りしてるのか素人には想像つきません。


◆駒形河岸


こちらはこの秋の江戸博の新版画展でも展示されてました。
構図の面白さで有名な作品。

視界全面をみっちりと埋めるようにそそり立つ竹垣。
圧迫感さえ感じますが、それによって隙間から覗く青い川面と空の広さが際立ちます。

近景に柱や樹木などを置いて、背景に空間的な広がりを与える構図は
日本の浮世絵に特有のものでしたが、
本作はそれを更に進めたものと言えるかもしれません。


◆雪の白髭


小屋の屋根の部分をよく見ると分かりますが、
地の白と彩色による白を使い分けています。

また写真だと分かりませんが、
空刷りによって積もった雪の輪郭に沿って紙に凹凸を付け、
ふわりとした様子を表現しています。

新版画の雪の質感の凄さは、実物をみないと分からないと思いますので
もし機会ががあればぜひ見に行ってみてください。



※画像掲載に問題がある場合はご指摘ください。削除します。


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