
■「海か、山か、芸術か?」選びきれないユニークな芸術祭
茨城で今年はじめて開催される「茨城県北芸術祭」にいってきました。

総合ディレクターは森美術館館長の南條史生さんです。茨城にゆかりのあるアーティストが取り上げられていたり、メディアアートやハッカソンで製作された作品などバラエティに富んだ作品が、海・山・街の中に散りばめられたユニークな芸術祭でした。
日立付近を起点に海側と山側に分かれ広範囲に作品があるので、見たい作品を中心にどこに拠点を構えて動くか、計画を立てて動いた方が良いと感じました。

(作品をプロットしてみるとこんな感じ。緑のマーカーが水戸駅です。
比較的南側にある常陸多賀駅でも水戸から車で一時間ほどかかりました。)
比較的南側にある常陸多賀駅でも水戸から車で一時間ほどかかりました。)
駐車場は十分にある施設が多かったので、移動はレンタカーをお勧めします!私は2泊3日で見たい作品をじっくり見て、半分くらい回れたという感じです。
では、今回まわった場所を少しずつご紹介します。まず1日目は海側の北側から。
■ 岡倉天心ゆかりの美術館で、日本画とデジタルアートの融合?!
まずは、今回の会場の中でも最北端、福島との県境にある茨城県天心記念五浦美術館へ。五浦(いづら)は岡倉天心が日本美術院の拠点をうつしたところなのだそうです。

(広くて池や海の眺めも綺麗な茨城県天心記念五浦美術館)
ここで開催されているのは、teamLabの「チームラボ 小さき無限に咲く花の、かそけき今を思うなりけり」。

岡倉天心とデジタルアートなんて随分離れているようにも感じますが、会場には天心にちなみ、お茶をテーマにした作品が。

(会場の中には小さなお茶室が。)
お茶碗の中にプロジェクションされた華が咲いています。

「お椀を動かしてみても大丈夫ですよ。」

と言われて持ち上げてみるとびっくり。お椀は温かくてふわりとお茶のよい香りが。温かくてお茶が美味しい間だけお椀の中にお花が咲き続ける作品なんですね。(花も、その土地や季節にあったものが咲くようです)
他にも日本画の美術館らしく、花鳥風月をモチーフにしつつも、まわりの環境によってどんどん変化していくデジタル作品が多く並びました。

(「増殖する生命 II – A Whole Year per Hour, Dark」と「境界のない群蝶」。境界のない群蝶は表参道で開催中の「teamLab: Transcending Boundaries」でも展示されている作品ですが、こちらはフレームの中の花とも影響しあいながら飛び回っています。)


(「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」は文字に触れるとそれがモノに変化したり、生まれたモノ同士が影響しあったり… 子どもたちが走り回りながら楽しめるような展示になっていました。)
■ 地形も建物もユニークな「六角堂」
美術館のすぐそばの海岸に建つのは、岡倉天心が自ら設計したという六角堂。

この建物の中を扉から覗いてみると…

建物の中に雑草が…?
こちらは彫刻家・須田悦弘さんの木彫作品「雑草」。キャプションがついていないと思わず見落としてしまいそうな、さりげなくてとてもリアルな作品です。(いろんな角度から見てみると、もう1つの作品がひっそりと佇んでいました。)
この六角堂、東日本大震災の津波で流されてしまったものが2012年に再建されたそうです。改めて津波の被害の広さに驚く場所でもありました。

(ここ五浦海岸はジオパークになっているんですね。1650年前の地層と”炭酸塩コンクリーション”というごつごつした岩を眺めるのもとても面白いです。)
■ 芸術祭の会場として再生 旧富士ケ丘小学校
こちらは今年廃校になった小学校です。こちらには日比野克彦さんのワークショップの展示や、筑波大学出身のアーティスト・林剛人丸さんの作品など4作品が展示されています。
その中でも面白かったのが、柚木恵介さんの「物々交換プロジェクト」。

手作りの屋台をひいて約2ヶ月間をかけて県北6市町を旅し、そこで出会った人々と物々交換を繰り返しましたのだそうです。誰かにとってはもういらないものが誰かにとって価値のあるものになったり、巡り巡って同じものに戻ってきたり… 場所によっても人によっても一定でないものの価値を考えさせられます。

(会場には物々交換をしていった方々の写真がずらりと…!ひとつひとつのもののもつストーリーを想像してしまいます。)
■ 「日本の渚百選」の砂浜 高戸海岸
この日の最後は、施設のクローズ後にも見ることができる高戸海岸へ。
ガイドブックの背表紙にもなっているイリヤ&エミリア・カバコフの「落ちてきた空」と

ニティパク・サムセン「テトラパッド」が見られます。

大きくて硬くて重いイメージの消波ブロックに紛れたカラフルな消波ブロックに触れてみると…?! 見慣れた消波ブロックと全く違ったイメージのオブジェに思わず楽しい気分になります。
この日は夜になってしまったのと雨が降ってきてしまったのであまり長居できませんでしたが、「日本の渚百選」にも選ばれている渚なのだそうで、晴れた日に砂浜の風景と合わせてみるのが楽しそうな作品でした。
さて、翌日は山側に向かいます!
(「海も、山も、芸術も!ぜんぶ楽しみたい茨城県北芸術祭 2016 ② ー山編ー」に続きます。)
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■おまけ 海側のおひるごはん
五浦美術館の近くには大津港もあり、海鮮のお店も多くあるので、せっかくなら美味しいお魚が食べたいなぁ〜と、県北芸術祭のガイドブックを頼りに、六角堂のすぐ近くにある「船頭料理天心丸」というお店に入りました。

ガイドブックに「一切れが大きい」と書いてあったので、量が多めなのかな〜と思いつつ刺身定食(¥1,500) を注文してみると…

…”大きい”の予想の範囲を超えていました!!!(o_o;; (汁椀が小さいんじゃないんです…お刺身が大きすぎるんです…)

写真だと分かりづらいのですが、一切れが切り身一枚分くらいあります(汗) (なんというか、お刺身をたべているというよりも、魚にそのままかぶりついているような…不思議な気分になりました…)
お隣のテーブルの方々が天丼を注文されていたのですが、こちらは向こう側が見えなくなるくらいの山盛りの天ぷらが… 普通の3〜4人分ほどはあるのではないかと思います(^_^; いやぁ…びっくりした…
追加料金で持ち帰り用のパックもいただけるようです。海の幸をお腹いっぱい食べたい!!という方はぜひどうぞ!
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