【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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(関東地方・現代アート中心です。)

日本では14年ぶりの大規模個展! 「村上隆の五百羅漢図展」@森美術館。

2015年12月27日 | アート●オススメ展覧会●

森美術館で開催されている「村上隆の五百羅漢図展」にいってきました。
(写真撮影、スマホでの動画撮影OK!というのも嬉しい展覧会です。)

(入り口では「四神」(青龍・白虎・朱雀・玄武)をモチーフとした、遊園地の乗り物のようなぬいぐるみが迎えてくれます。)

会場に足を踏み入れると巨大な絵画がずらりと並び、いきなり圧倒されます!

(「宇宙の深層部の森に蠢く生命の図」/ 村上隆 / 2015)

あまりにも有名なので、「知ってる!」と思い込んでしまっていますが、実は最近の村上隆さんの本物の作品を観る機会ってあまりなかったことに気づきます。

(本当にキャンバスに描かれているの?なんて思わず横からも覗いてしまいました。本当に布地ですね。)

 

(こちらは一見真っ白なキャンバスに見えますが、近づいてみると一面ののドクロが!!実物を見ないとなかなかわかりませんね。)

 

続いては芸術新潮で連載されていた辻 惟雄さんとの連載「ニッポン絵合せ」の作品から。

 

(「死の淵を覗き込む獅子」 / 村上隆 / 2015)

有名な日本画をお題に、村上隆さんの視点で現代語訳していく作品群ですが、古い日本画の作品のエッセンスが時にストレートに、時にユーモラスに抽出されています。

 

(「平成方寸五百羅漢図」/ 村上隆 / 2011
長沢芦雪の「方寸五百羅漢図 」(江戸時代・寛政 10 年)をテーマに制作された作品は、3.1cm*3.1cm小さな作品。ルーペでないと見えない中に、五百羅漢がぎっしりと描き込まれています。)

(「五百羅漢図 第 49 幅 十二頭陀 冢間樹下」「五百羅漢図 第 50 幅 十二頭陀 露地常坐」/ 狩野一信 / 1854–63 年
今回の「五百羅漢図」の着想となった作品。増上寺の「生誕200年記念 狩野一信の五百羅漢図展」でも第21幅~第60幅が展示されています。)

 

そしていよいよ今回のメイン「五百羅漢図」。まずは、”高さ3m×幅25mの4枚組”、という大きさ、そして目に焼きつくような色使い、細かい描写に圧倒されます。

 

(「五百羅漢図 [ 白虎 ]」/ 村上隆 / 2012 )

四神をテーマとした4つの作品ですが、四神自信が主役といった印象ではなく、画面の隅々にまで描かれた大小の羅漢のそれぞれのキャラが立っています。

(「五百羅漢図 [ 青竜 ]」(部分)/ 村上隆 / 2012)
(五百羅漢の動きはコミカルで、マンガのキャラクターのようでもあります。)

先の「ニッポン絵合わせ」の展示にあった「平成方寸五百羅漢図」の絵が取り入れられていたり、伊藤若冲の白鯨や象のモチーフなども取り入れられています。

(「五百羅漢図 [ 白虎 ]」(部分)/ 村上隆 /2012)

 

(「五百羅漢図 [ 青龍 ]」(部分)/ 村上隆 /2012)

日本画に詳しくはありませんが、「ニッポン絵合わせ」の章で予習(?)していたために「あのモチーフがこんな風に再構成されている!」と見ることができる構成になっているのが面白いです。

(「五百羅漢図[ 玄武 ]」/ 村上隆 /2012 )

(「五百羅漢図[ 朱雀 ]」/ 村上隆 /2012 )

 

驚いたことに、これらの作品の「メイキング」を見せる部屋もありました。五百羅漢にまつわるリサーチ資料から、新しいキャラクターを生み出すまでの思考の過程の資料、制作の指示書までも展示されています。

 

(「五百羅漢図」制作のための資料の数々。)

東日本大震災を通じ「絶望からの復活には、例え作り話でも、希望を叶えるお話が必要だ。」と、500種の人の苦しみを救ってくれる”五百羅漢”をテーマとしたこの作品を制作されたとのこと。

今回の作品制作を通じて
①ここまでの巨大な作品を構成できるのか?という絵描きとしての力試し
②西洋的な現代アートの文脈からの完全な離脱
③偶発的な才能の開花を入れこむ
といった試みがなされているのだそうです。

 

(200人のスタッフと24時間体制で1年間で仕上げられた作品のメイキング。中には厳しいコメントも!)

メイキングの映像を見ていてると、キャンバスに描き始めてからも何度も描き直しされていたり。500種の苦しみを救ってくれるという五百羅漢ですが、その作品が完成するまでには同じくらいの苦悩を修行のように通り抜けているようにも感じます。

 

(「五百羅漢図[ 玄武 ]」/ 村上隆 /2012
こちらの作品の”完成”した形での展示は今回の展覧会がはじめてとのこと!)

 

「五百羅漢図」は作品のスケールも思想もあまりに壮大で、感情を排除して制作したようにも感じられる作品だった一方で、(大昔の巨大な遺跡をみているかのような気分にもなりました)別室にあった「DOB君」のシリーズは、”可愛らしく描こうとしていたのに、いつの間にか自分と重ね合わせるようになっていた”と語るように、多くの感情・苦悩が全面に表れていて、個人的にはとても好きな作品でした。

 

(「772772」/村上隆/2015 )

(「たんたん坊:a.k.a. ゲロタン:輪廻転生」/村上隆/2015)

”超”有名で、作品の露出も(コマーシャルでも美術館でも)多いように感じていましたが、日本で近年の本物の作品に触れられる機会はほとんどなかったことに改めて気づき、本物の作品の迫力に圧倒される展覧会でした。

 

(美術手帳でも特集されていますね。ちゃんと勉強しなおそう…)

 

年末年始も休まず開館している森美術館。12/28からは「村上隆のお花カフェ」、1/1からは「村上隆のOHANA-OHANA-OHANA」も六本木ヒルズ内ではじまります。 年末年始は六本木ヒルズで村上隆さんの世界を生でご覧になってみるのはいかがでしょうか?

 

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■DATA■

村上隆の五百羅漢図展

会期:2015年10月31日(土)〜2016年3月6日(日)

会場:森美術館(六本木ヒルズ 森タワー53階) (google map)

時間:10:00-22:00(火曜は10:00-17:00) ※会期中無休

入館料:一般1,600円、学生(高校・大学生)1,100円、子供(4歳~中学生)600円(東京シティビュー共通)

国内では14年ぶりに開催される村上隆の個展。会場に並ぶのは全て日本初公開の作品になるといい、絵画史上最大級にあたる全長100メートルの超大作「五百羅漢図」をはじめ、現在まで10年近く制作に取り組んでいる「宇宙の産声」、今回のために手がける「727」や「Tan Tan Bo」の最新作など、"世界のムラカミ"の芸術世界を披露する。


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