写真は20年以上も前のものとなりました

つれづれなるまゝに日ぐらしPCに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつづっていきます

ハグ(抱擁)

2016年05月31日 | 随想

間違いなく、世紀に残る光景であろう。オバマ大統領と原爆被爆者とのハグの写真である。

(クリックで動画)

 

オバマ米大統領、広島訪問 被爆者とハグ Obama hugs Hiroshima survivor

 

世界の報道機関が、これをどう伝えたか、と見てみると、これがまた見事に、この写真または動画をトップに掲載して伝えている。あの、「~ of the people, by the people, for the people」で有名なゲティスバーグ演説をも超えた演説だった、との評価もあるほどだ。(・・・に しても、昔から「of the people(人民の)」の、「の」って何のことなのか未だに理解できてない。・・・)

確かに演説の「時間」としては超えているのだが、オバマって、ホント演説だけは上手いんだなぁ、とつくづく感心させられる。演説の内容はベン・ローズ大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)によるものと言われているが、その「間」の取り方といい、速さといい、抑揚の取り方といい、・・・英語そのものが演説向きにできている感じはあるというものの、確かに聞く者を惹きつける。彼のスピーチはもはや「神の領域」、と言い切っているサイトまである。

 

冒頭の写真だが、CNNは、Obama in Hiroshima calls for 'world without nuclear weapons' の冒頭の動画のラストシーンで、このハグの動画をもってきている。

BBCも、Hiroshima memory must never fade, Obama says on historic visit で、いきなり、そのシーンの動画を持ってきている。

同じような構成はNew York Timesでも、At Hiroshima Memorial, Obama Says Nuclear Arms Require ‘Moral Revolution’ という見出しで載せている。

 

以下、海外の主なサイトの紹介。

Obama makes historic visit to Hiroshima – as it happened

Obama: Memory of Hiroshima Bombing ‘Must Never Fade’

Sympathy for victims but no apology as Obama makes historic Hiroshima visit

In Hiroshima 71 years after first atomic strike, Obama calls for end of nuclear weapons

Obama Becomes 1st Sitting U.S. President to Visit Hiroshima

Barack Obama calls for a 'nuclear-free world' at G7 summit during Hiroshima visit

President Obama Urges 'Moral Awakening' During His Historic Visit to Hiroshima

Obama Mourns Dead In Hiroshima, Calls For World Without Nuclear Arms

Obama offers tribute but no apology at Hiroshima

Barack Obama calls for 'world without nuclear weapons' during historic visit to Hiroshima

Barack Obama at Hiroshima memorial: 'This tragedy must not be repeated'

 

ついで、という訳ではないが首相官邸のサイト。日米両首脳による広島訪問

 

いくつも同じハグの光景を見ていて、その意味が「抱きしめる」とともに、「かかえ込む」となっているのを見たときに、フッと思い出したのが「ひとり寝の子守唄

  ひとりで寝るときにゃよ  ひざっ小僧が寒かろう

  おなごを抱くように あたためておやりよ

 

たぶん、自分の「ひざを抱え込む」のは「ハグ」とは言わずに、どちらかというと「hold(ホールド)」なんだろうなぁ、とは思うのだが、

  ・・・もみがら枕を 想い出がぬらすだろう 人恋しさに

という部分を聞くと、恋しいヒトをハグするように自分自身の膝をホールドしている様子が思い浮かぶ。

「ひとり寝の子守唄」、いろいろな想い出とともに懐かしさが込み上げてくる歌詞だ・・・。あっ、いや、臭い飯を食うとかの体験はないので、念のため。

 

 

ところで、冒頭部分で「演説だけは上手い」と書いたが、実績はどうなのかということを「核兵器削減」という観点からみてみよう。

 パパ・ブッシュやブッシュ・ジュニアといった共和党の大統領が削減実績の大きいことがわかる。民主党のほうが積極的なような感じがするが、これ、マスコミからの刷り込みなのかもしれぬ。

「削減する。」と宣言してノーベル平和賞まで貰った割には、「オバマは冷戦後の大統領で最低の成果だ」と米科学者連盟の核兵器専門家ハンス・クリステンセン氏から指摘されているとおりの結果しか残していない。

成果を出せなかった主な原因はロシアとの交渉停滞(プーチンに凄まれた・・・)と言われ、また、野党・共和党が上下院で多数を占める米議会との対立もあったり、国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議も中東の非核化を巡って核保有国と非核保有国が対立して、最終文書が採択されず決裂している。

理想の大統領のように崇められられているケネディが、短い任期の中でメッチャ増やしたという現実に改めて驚かされるが、このときが「キューバ危機」という未曾有の時代だったことでもあり、確かにケネディは「武器」というものの使い方を心得ていたのではないか、とも思う。

実際に使わなかったのはコトの流れの偶然だったのかもしれないが、武器というものは、使うように見せかけるときが最も効果を発揮するものだからである。実際に使ってしまっていたら、その被害も大きかっただろうし、大統領としての評価へのダメージも甚大なものになっていたはずである。

 

キューバ危機から現在までの核兵器の数の推移

 

直近の核弾頭数

 

何事も「担保」なしの行動というものは軽はずみになりがちなものだが、特に「交渉ごと」においては、バックに、というか、懐に何か偲ばせていると思わせて臨むのは有効な方法である。

それが武器であろうとカネであろうと、である。そういうものを全く無しで、素っ裸でコトに当たろうとするのは、一見すると正義っぽいようだが、常識的には「幼稚」というか、「稚拙」と言うしかない。(ニッポンのことを言ってんだよ !!)