浴場の盥の寸尺の法、曲尺(かね)にて竪(たて)の長二尺九寸、横のわたり二尺。
右、何(いずれ)もめぐりの板より内の寸なり。
ふかさ一尺三寸四分、めぐりの板あつさ六分、底は猶(なお)あつきがよし。
ふたありてよし。
皆、杉の板を用ゆ。
寒月は、上とめぐりに風をふせぐかこみあるべし。
盤(たらい)浅ければ風に感じやすく、冬はさむし。
夏も盤浅ければ、湯あふれ出てあしし。
湯は、冬もふかさ六寸にすぐべからず。
夏はいよいよあさかるべし。
世俗に、水風炉(ふろ)とて、大桶の傍に銅炉をくりはめて、桶に水ふかく入(いれ)て、火をたき、湯をわかして浴す。
水ふかく、湯熱きは、身を温め過し、汗を発し、気を上せへらす。
大に害有(あり)。
別の大釜にて湯をわかして入れ、湯あさくして、熱からざるに入り、早く浴しやめて、あたゝめ過さゞれば害なし。
桶を出んとする時、もし湯ぬるくして、身あたゝまらずば、くりはめたる炉に、火を少したきてよし。
湯あつくならんとせば、早く火を去(さる)べし。
此如すれば害なし。
・入浴するためのたらいの大きさは、縦87センチ、横60センチ、深さ40センチほどで底板は厚く、蓋のある杉板製がよい。
・前述のように湯は浅いほうがいいので、18センチ以上張らないようにする。
・夏はとくに浅い方が良い。
泄痢(せつり)し、及食滞、腹痛に、温湯に浴し、身体をあたたむれば、気めぐりて病いゆ。
甚しるしあり。
初発の病には、薬を服するにまされり。
・下痢や消化不良、腹痛などのときは温湯につかって身体を温めると、気が巡って治る。
・病気の軽いうちなら、薬を飲むより効果がある。
身に小瘡ありて熱湯(あつゆ)に浴し、浴後、風にあたれば肌をとぢ、熱、内にこもりて、小瘡も、肌の中に入て熱生じ、小便通ぜず、腫る。此症、甚危し。
おほくは死す。
つつしんで、熱湯に浴して後、風にあたるべからず。
俗に、熱湯にて小瘡を内にたでこむると云う。
左にはあらず、熱湯に浴し、肌表、開きたる故に、風に感じやすし。
涼風にて、熱を内にとづる故、小瘡も共に内に入るなり。
・身体に小さな傷があるときに、熱い湯に入って風にあたると身体に熱がこもり、
・傷からも熱が発生して小便が出なくなり、
・傷の部分が腫れてくる場合がある。
・この症状はとても危険で、死ぬことも少なくない。
沐浴(もくよく)して風にあたるべからず。
風にあはゞ、はやく手を以、皮膚をなでするべし。
・入浴した後、風にあたってはいけない。
・風にあたったなら、すぐに手で皮膚を摩るとよい。
当たり前のように毎日お風呂に浸かっていますが、
益軒さんの生きた江戸時代は湯を沸かすのも一苦労。
今よりも大切に入浴を考えていたと想像できます。
一見、極端だなぁ〜とも思えますが、
せっかくの大切なお風呂、注意点を守って洗浴しましょうね、ってことなのかもしれません。
最後まで読んで頂いて有難うございます。
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