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マハロ船長の航海日誌2

マハロ船長は
ミニチュア・シュナウザーの船乗り犬です。
毎日たべものの匂いをたよりに
大海原を航海しています。

「一言にして云えば地中海はヨット乗りの天国である。」・・・(田辺英蔵氏の論文より)

2021-02-21 18:54:32 | ヨット
舵誌に長年にわたり「キャビン夜話」という珠玉のエッセイを連載された田辺英蔵
(故人)は、文教大学で教えておられた時期がありましたが、その大学の紀要論文が一般にも公開されているのを偶然にも発見してしまいました。
その論文タイトルは「地中海に於ける海洋性リゾート並びに海洋レジャーの実情とその対日比較」というもので、堅苦しそうなタイトルで、内容も大学の論文らしい淡々とした文章ですが、でも、そこは田辺氏の軽妙洒脱な語り口が行間からにじみ出るのを隠しきれはしません。
文末にURLを貼ってありますので、ご興味ある方はご一読ください。

田辺氏は、大学に籍を置いていた時期に、地中海にヨットを置いて大学の長い夏休み期間中に地中海でヨット三昧の日々を過ごしておられたのですが、それは「きゃびん夜話セレクション―『アイシス』の昼の夢」にも詳しいので、ご興味ある方はamazonで取り寄せてご一読ください。

なぜ田辺英蔵氏のことを思い出したかと言いますと・・・・・

先日、自衛隊の潜水艦が接触事故を起こしましたが、その潜水艦の船名が「そうりゅう」だったからです。

そう!田辺氏の(当初はスキューバダイビングの母艦として設計された)ヨットも「蒼竜」だったので、思い出してしまったのです。

ちなみに蒼龍(そうりゅう)とは、あお(深い青)色の龍という意味で、古来から東方の守護神とされております。先の大戦では、「蒼龍」といえば空母につけられていた名前です。

そこで、この論文「地中海に於ける海洋性リゾート並びに海洋レジャーの実情とその対日比較」を発見してしまったというわけです。


その中から印象的な言葉をいくつか引用させていただきます。

>リゾー トには基本的な条件がある。
>暑いことであ る。

納得!
冬のリゾートというのもないではないが、やはり暑くないと人間は開放的になれないです。
地球温暖化の地球は、将来的にはリゾート適地が増えるのかな?(違うか?)

>楽園とは基本的に海浜にある。
納得!
山中の楽園というのもないではないが、やはり海が見えないと人間は開放的になれないです。!


>地中海のヨットは碇泊して動かぬことを常態としている。それが彼らのバカンスの過ごし方である。
>とは云ってもヨットが船である以上,彼らが航海帆走を楽しまぬ訳ではない,
>時々,思い出したように近くに舫う艇が出港し,空いた水面が青空を映す。数日すると帰って来て,(中略)航海の土産話を(後略)


クルージングに出たら出たで・・・
>多くの港は長年に亙りヨットで訪れる(中略)客を対象として商売を行って来たが故 に,
>高級ブチック,一流レス トランがあり,町のたたずまいも店舗の種類,品揃え(例えば船具,燃料,食料,酒類)も住民の応待も遠来のヨット乗りを夫々の所得水準に合わせて楽 しませるように出来ている。

これが、地中海のヨットの楽しみ方であると仰っています。そして・・・
>一言にして云えば,地中海はヨッ ト乗 りの天国である。地中海はヨ ットを含む海洋性レジャー地の条件を略完璧に具備している。
ということだそうです。
つまり、地中海はヨット乗りに対する「お・も・て・な・し」が完璧だということです。もちろんヨット乗りは「ある程度又はそれ以上の経済力のある客」であることが前提ではあります。

翻って、日本の現状~~ヨット乗りに対する「つ・め・た・い・し・う・ち」~~をふりかえると・・・・・ここら辺は、悲しくなるばかりなので、割愛いたしましょう。
でも、日本のヨット界を、こう言っています。
>日本のヨットの過半はレース艇であ る。
>学校運動部,体育会,オリンピ ック指 向の伝統を持つわが国のスポーツは,(中略)常に競技指向であり闘争指向であ り,
>勝負の伴わぬスポーツを日本人は楽しむことが出来ない。
>結果として事実上戦後に始ま り近年に至って盛んになった日本のヨット界も又,殆んど100%の競技指向すなわちレース艇主導型で育ち今日に至っている。

田辺氏がレースをしないヨット蒼竜に乗っていた頃のヨット界から、基本的には変わっていません。
スポーツの本来の意味は「気晴らしをする。楽しむ。」という意味でしたが、次第に「競技」を意味するようになっていきました。(文部科学省はちゃんと「競技スポーツ」と正確に言ってます。)
これはスポーツが貴族階級のものだったのが、労働者階級によるスポーツの大衆化が進んだことが背景にあるようです。
大衆化はおおいに結構なことですが、やはり競技一辺倒のヨットは、それで良いのかな?という気がします。
日本のヨット人口の減少を嘆く声は良く聞きますが、もしかしたらこの「競技指向」が根本原因かもしれないです。(他にもいろいろ要因はあると思います。)
高度経済成長期に生まれ育ったオジサン達は、競争が大好きですが、今の若者はそういう上昇志向を持たず、ガツガツした生き方は指向していない気がするのです。

かといって、地中海的なヨット遊びは、誰もしない。できない。そもそも知らない

と、嘆いていても始まらないので、
まずは、
「動かぬことを常態とし」
「思い出したように数日のクルージングに出かけ」
「航海の土産話を桟橋でおしゃべり」
というヨットライフだけでも真似てみることにしましょう(笑)

(田辺氏論文リンク先)
https://bunkyo.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=29&block_id=40&item_id=3862&item_no=1


機帆走(motersailing)に関する一考察

2021-02-19 21:18:13 | ヨット
機帆走(motersailing)とは、帆とエンジンの両方で走ることです。帆とエンジン両方使うので、スピードが速いという面もありますが、ヨットの場合は、「揺れが穏やかになる(ローリングの軽減)」というメリットもあります。横揺れを主帆にかかる圧力が和らげてくれるのですね。

スループリグの場合は、主帆(メインセイル)のみ揚げて、ジブは巻き取っていることが多いです。だから、主体はエンジンでの走りで、セイルは補助的なものですね。
ヨットの構造にもよりますが、あまりヒールさせた状態でエンジンを回していると冷却水を十分吸い込めず、ピーピー警告音が鳴ってしまうことがあります。

「レースが大好き」というヨットは、エンジンは小さくても良いです。小さく軽いエンジンのほうが帆走には有利です。
しかし、機帆走することが多いヨットは馬力のあるエンジンがあったほうが良いですね。
私のヨットも全長26フィートに2GMの13hpのエンジンを積んでいます。2GMだから買った。といっても過言ではないです。

ヨットの中古マーケットにおいては、25~6フィートの場合、2GM(または、それと同程度の馬力)に人気が集まります。ひと回り小さい1GMはどうしても人気薄になるようです。さらに、船外機仕様であるとさらに人気薄のようです。(船外機は、使わないときは跳ね上げられるので、レースには最適なんですが・・・)

私の船のホームグラウンドである東京湾はどうしても風の弱い日が多い。
朝はそこそこ吹いていたのに、お昼前後にパタッと風のやむことは、頻繁にあることです。東京湾では陸風が海風に変わるタイミングが朝凪というより昼凪なんです。
だから、エンジンの性能はたいへん重要になってくるんですね。
クルージングの基本は機帆走。とはっきりおっしゃる大先輩もいます。
その大先輩は、ブームが暴れないように、左右からしっかりロープで押さえて動かないようにしてしまうのだそうです。

岡田豪三氏が機帆走について述べてました。(引用元
クルージングの航海計画は、海図上に目的地までの最短コースを引いて、船種にもよりますが、だいたい5kt平均で所要時間を計算します。海上で風が落ちてきて、スピードが4ktを下回ったら機帆走に切り替えます
強風になったらセールをすぐに降ろす人は多いですが、そんなときでもリーフしたメインセールを揚げて、少しだけ風を入れて走ったほうが船が安定して、結果的に安全です。セールをすべて降ろして機走するとローリング(横揺れ)がひどくなって危険です。機帆走であっても、メインセールがあるほうが船をコントロールしやすいんです


機帆走のシーマンシップというものも、ブルーウォーター派には大事なようです。


YBM新入会員艇訪問

2021-02-16 09:09:54 | ヨット
2/14(日)
所属するYBM内のクラブのイベントとして、新入会員艇訪問というのをやってみました。
本来なら歓迎パーティーでもやれば良いと思いますが、この緊急事態宣言発令中では難しい状況ですので、代わりに新入会員の自慢の艇を訪問してみることにしたのです。


どうしてもSK25が欲しくて、三河湾から回航してきたというS氏の「海陽」です。
現在は内装の大修繕中。完成したら趣のあるクラシック・ボートになりそうですね。





こちらは、Y氏のパワーボート「HENRY」。


まるでアメ車のような趣のある操縦席。


キャビンも美しい。

たまには、こんなパワーボートでカッ飛んでみたいですね。

最後は、K氏のソレイユルボン「Pukalani」。
オーナーのアイデアがぎっしりとつまった、オリジナリティのある楽しそうな船です。

実は、このヨット、私の以前の所有艇で、いったんは東京湾の向こうの泊地に行っ
たのですが、今回YBMに戻ってきたのです。
しかも、私が付けた船名を気に入ってくれてそのままの船名なので、YMBに同じ船名
が2艇存在することになりました。(私のはⅡ世としておけば良かったかな?とちょっと後悔してます(笑))

こちらが歓迎するつもりが、逆にK氏に歓迎されちゃいました。



ボートフェンダーを結ぶ

2021-02-08 19:25:49 | ヨット
車にもフェンダーという部品がありますが、船にもフェンダーがあります。


ただし、車のフェンダーは万が一ぶつけたり擦ったりしたときの保護が目的で、恒常的に使われるのではなく、できればなるべく出番がないのが理想ですよね。
ところが、船のフェンダー(ボートフェンダー)は停泊中は常に使われるもの。

大型ヨットになると、フェンダーも大きいですねえ。

だから、痛みも激しい消耗品なのです。
消耗品と言いつつもそれなりのお値段はするので、どのオーナーも大事に使ってます。

中には服を着せてるオーナーもいます。
(お借り画像)

この布製カバーはフェンダー・ソックス(靴下)と呼びます。
(お借り画像)

そんなフェンダーですが、船にはただ一本のロープで結んであるだけ。
だから、結び方が甘いと、紛失する危険性も高いのです。


他のオーナーさんは、どんな風にフェンダーを結んでいるか観察してみました。







いろいろあるもんですね。

巻き結び(クラブ・ヒッチ)で結ぶというのが定番なのですが、巻き結び(クラブ・ヒッチ)には2つの欠点があって、ひとつは常にテンションがかかっていないと緩むことがあるという点。もうひとつが、テンションが強すぎると固く締まって緩まなくなってしまうことがあるという点。
フェンダーは風や波に煽られたりして、テンションが必ずしも一定ではないことがあるので、単純な巻き結び(クラブ・ヒッチ)は危ないと思います。危ないといっても、命にかかわることではないと思えるオーナーもいるでしょうが、私などは、命の次に大切な財布の中身に関わることなので、絶対にフェンダー紛失は避けたいのです。

そこで、私が採用しているフェンダー結びは、「ラウンドターンツーハーフヒッチ
(Round turn and two half hitch)」
という結び方です。

この結び方は、昔、帆船海星に乗った時に教えてもらった結び方です。
主に、マストを登って、帆をたたんで、ヤードに縛り付けるときに使う結び方で、しっかりと縛ることができることと、片手だけでも縛ることができる(もう片方の手は自分の体を支えないといけないのです。)結び方なのです。

やり方は、覚えてしまえばカンタン。
Round turn という結びと、
Two half hitchという結びを組み合わせたもので、

これがラウンドターン。くるっと巻いただけです。

ラウンドターンした上で、
まずはハーフヒッチ


ハーフヒッチを繰り返せばツーハーフヒッチ。ハーフヒッチを2回やるのでTwoハーフヒッチですね。良く見るとクラブ・ヒッチをロープに対して行っているだけです。


これはほどけないですよ。


それにしても、もうちょっときれいに洗っておくことの方が大事ではないかと、自艇のフェンダーを見ていて痛感しました。でも、フェンダーの汚れはガンコなんです
よね~。

今回紹介の結び方がベストと言うつもりはありませんが、ご参考にしていただければ幸いです。

クリート結び

2021-02-04 20:35:57 | ヨット
港に行くと
こんな形のものを目にすることがあると思います。

これはボラード(bollard)と言い、日本語では係柱(けいちゅう)、係船柱、繋船
柱(けいせんちゅう)
と言います。
昔の映画では船乗りがボラードに足をかけるシーンがあったりしますよね。(私
は、いまだにこのステレオタイプなポーズで写真を撮ってもらう癖が抜けませ
ん。)


ヨット・ボートのマリーナではボラードは見かけません。
代わりにあるのがクリート(Cleat)
なぜ、ボラードの代わりにクリートが使われるのかはよく分かりません。


クリートにロープ(Dock Line)を結ぶ方法が、クリート結び(Cleat Hitch)です。

クリート結びは、ヨット乗りにとって基本中の基本で、ヨット経験者であれば誰で
も出来ると思いますが、
「正しく出来るか?」というと、実はちょっと心もとないところもありそうです。

人生色々、クリート結びも色々ですねえ。
中には“似て非なるもの”もありますねえ。







こうやってもやい結び(Bowline knot)でとめるのは問題ないと思います。


実は、私自身も少々あやふやなところがあって、『どっちでも良い』と、済ませて
いたところがありました。

それが、この2種類。


正しいのは、なのです。

では、順番に正しいクリート結びのお作法をお見せしましょう。
(ただ、解説内容は、私の想像も含めての解説なので、もしかしたら『それは違
う!』というところもあるかもしれませんが、やり方そのものは間違ってはいない
と思います。また、実際の船では様々な異なる条件のもとで結ばなくてはなりませんので、そこは臨機応変に対応するべきなのはいうまでもありません。)

ロープは、クリートに対してある程度の角度を持たせます。


まずはひと回りさせ・・・


クリート上をクロスさせて、
元のロープと平行に沿わせます。

こうすると方向にかかる力と、方向にかかる力が相殺されて、ロープが緩みにく
いのです。


最後は、ここで・・・


ロープをクルッと捻って・・・


ギューッと引っ張ってオシマイ。

これがのやり方だと、向こう側に引っ張らなくてはならず、力が入らないのです。

閑話休題
『Learn the ropes』
帆船時代に、新入りの船乗りがやらなければならないのが『Learn the ropes』
今の時代でも、他人のヨットに乗ったときには、それぞれの船によって異なる
各種のロープ(シート、ハリヤード、もやいラインetc,)を確認することから始ま
ります。

・・・で、この言葉は慣用句として「コツを学ぶ・覚える」の意味でつかわれているそうです。
(例文)
A: How’s your job going?(仕事はどう?)
B: I’m still learning the ropes.(まだ、仕事のやり方を学んでいるよ)