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チェリスト 阪田宏彰のBlog

日々感じたこと、おすすめなモノ、お気に入りなど

YAMATO String Quartetサントリーホール公演間近!

2016-09-20 | YAMATO String Quartet
いよいよ迫ってきました。
9/23(金)19:00 サントリーホール(小ホール)です。

サントリーホールでの公演は3年目。
残響が決して潤沢ではないこの会場は、演奏の輪郭がより生々しく伝わるせいか、みなとみらい公演とはまた違う反応をいただきます。
演奏自体も変化しているのでしょう。
共通している曲も、東京公演のみの曲もお楽しみいただければ幸いです。

いつもの通り、プログラムノートを公開します。


String Quartet No.19 in C Major Kv.465 : W.Mozart
弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 「不協和音」 : モーツァルト
ハイドンの弦楽四重奏に感動したモーツァルトが書いた弦楽四重奏曲の14番から19番を表す「ハイドンセット」の終曲。
冒頭の大胆な和声から「不協和音」の副題がついた。 現代の感覚ではさほど不協和に聴こえないが、当時は本気で書き損じを疑われたらしい。 確かに現代の巷で量産される音楽よりも刺激的かもしれない。
この曲では第一ヴァイオリンを執行が、第二ヴァイオリンを石田が受け持つ。この曲の持つ「妖しさ」と「流麗」のコントラストに与える影響を見ていただきたい。
第一楽章 Adagio - Allegro
第二楽章 Andante cantabile
第三楽章 Menuetto
第四楽章 Allegro

String Quartet No.2 op.10 : Zoltan Kodaly
弦楽四重奏曲第2番 : コダーイ
コダーイはバルトークと並んでハンガリーを代表する作曲家の一人である。
民俗音楽の研究に熱心で、同じく民俗音楽を研究した僚友バルトークに各地の民謡の手ほどきをしたのも彼である。
哲学、言語学でも博士号を持つことも、彼の作風に大きな影響を及ぼしているであろう。
調性は無いが、土の香りのする温かい民謡の影響が感じられる。
第一楽章 Allegro
第二楽章 Andante-Quasi recitativo - Andante con moto

The Court of the Crimson King [side-B] : King Crimson
クリムゾンキングの宮殿 - B面 : キング・クリムゾン
プログレッシブ・ロックの扉を大きく開いたキング・クリムゾンのロック史に残るファーストアルバム。
近藤和明氏とYAMATO S.Q.のコンビでは、このアルバムを切り売りせず全曲再現することにした。
キング・クリムゾンのオリジナルを尊重して、「21世紀のスキッツォイド・マン」冒頭の数十秒のノイズ表現に挑戦し、各曲はほぼ継続している状態で演奏される。
LP時代のアルバムのA面とB面を横浜公演と東京公演に分けたが、 今日はA面一曲目の「21世紀のスキッツォイド・マン」とB面の2曲を演奏する。
21st Century Schizoid Man ( 21世紀のスキッツォイド・マン )
Moonchild
The Court of the Crimson King ( クリムゾン・キングの宮殿 )


Vayamos al Diablo : Astor Piazzolla
バジャモス アル ディアブロ : アストル・ピアソラ
昨年のYSQ公演で全曲が揃った「天使の組曲」。今年は「悪魔」である。
7拍子という不安定なリズムを基本にヴァイオリンの低音が唸る。 原曲は2分もない短いトラックだが、冒頭と間奏に近藤和明氏のオリジナル部分が書きおろされた。
「悪魔をやっつけろ!」と訳されることもあるが、「悪魔で行こうぜ!」とも取れる。スペイン語圏の人でも「不思議な言葉」らしい。悪魔を怒らせないよう、あえて訳さないことにする。


Burn : Deep Purple
紫の炎 : ディープ・パープル
ジミ・ヘンドリクスの影響を受けてスタートした初期から5年後、リッチー・ブラックモアの主導でハードロックへ路線変更した時期のディープ・パープルの代表作。
この前後にもメンバーの入れ替えが幾度も行われたこのバンドで、看板ギタリストとして脱退と再加入を繰り返したリッチーが、唯一「納得して作成できた」と言うアルバム「紫の炎」の表題曲でもある。
リッチーのギターソロはヴィオラによって演奏される。

YAMATO String Quartetみなとみらい公演間近!

2016-06-09 | YAMATO String Quartet
YSQの話しに入る前に・・・。

最近また新しいグループでリーダーという雑用係を始めました。
地元小金井ゆかりの音楽家で集められた「ムジカこがねい」なるグループです。


ヴァイオリンのソリスト奥村愛さんや、東京フィルのオーボエ奏者、杉本真木さんなど、お上手な方ばかりですが、何よりも驚くのは自分が黒一点なこと。
いまだかつてこんなに華やかなグループを扱ったことはありません。

YAMATO S.Q.も、ムジカこがねいも、我が家でリハーサルをすることが多いのです。
そして昨日、同じ日に擦れ違うことになった両グループ。

昼。


そして夜。


何というか・・・・同じ部屋とは思えないですね。

ムジカこがねいの初陣は、6/17。
宮地楽器ホール(こがねい市民交流センター)の小ホールです。
6/13が終わってからもう一度更新する余裕があったら書きますが、ホールの友の会会員様向けのコンサートであるうえに既に満席ということです。
書かないかもしれません。


さて本題。
6/13の曲目がようやく確定しました。
プログラムノートをご覧ください。

String Quartet No.19 in C Major Kv.465 : W.Mozart
弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 「不協和音」: モーツァルト
ハイドンの弦楽四重奏に感動したモーツァルトが書いた弦楽四重奏曲の14番から19番を表す「ハイドンセット」の終曲。
冒頭の大胆な和声から「不協和音」の副題がついた。
現代の感覚ではさほど不協和に聴こえないが、当時は本気で書き損じを疑われたらしい。
確かに現代の巷で量産される音楽よりも刺激的かもしれない。
その後に続く一際流麗なモーツァルトの世界とのコントラストを、執行の第一ヴァイオリンと石田の立体的な第二ヴァイオリンで楽しんでいただきたい。
第一楽章 Adagio - Allegro
第二楽章 Andante cantabile
第三楽章 Menuetto 第四楽章 Allegro

String Quartet No.2 op.10 : Zoltan Kodaly
弦楽四重奏曲第2番 : コダーイ
コダーイはバルトークと並んでハンガリーを代表する作曲家の一人である。
民謡の研究に熱心で、同じく民謡を研究した僚友バルトークに民謡の手ほどきをしたのも彼である。
彼の作品は民謡の影響を受けていることは確かであるが、哲学、言語学でも博士号を持つということも大きな影響を及ぼしているであろう。
調性は無いが、いわゆる無調の混沌とは無縁で、土の香りのする温かい民謡の影響が感じられる。
第一楽章 Allegro
第二楽章 Andante-Quasi retitativo - Andante con moto


The Court Of The Crimson King[side-A] : King Crimson
クリムゾンキングの宮殿-A面 : キング・クリムゾン
プログレッシブ・ロックの扉を大きく開いたキング・クリムゾンのロック史に残るファーストアルバム。
近藤和明氏とYAMATO S.Q.のコンビでは、このアルバムを切り売りせず全曲再現することにした。
21世紀のスキッツォイド・マンの冒頭に数十秒のノイズがあるが、今回はそれも再現される。
LP時代のA面とB面を、みなとみらい公演とサントリーホール公演に分けて演奏する。
・21st Century Schizoid Man (21世紀のスキッツォイド・マン)
・I Talk To The Wind(風に語りて)
・Epitaph(エピタフ)

Ausencias : Astor Piazzolla
不在 : アストル・ピアソラ
映画「タンゴ・ガルデルの亡命」の中で使われたミロンガ。
後に「ギターとバンドネオンのダブルコンチェルト」でも使っている。
YSQの柱の一つであるピアソラ作品だが、今回はこの一曲のみ。
不在なのだから仕方がない。

Burn : Deep Purple
紫の炎 : ディープ・パープル
ジミ・ヘンドリクスの影響を受けてスタートした初期から5年後、リッチー・ブラックモアの主導でハードロックへ路線変更したディープ・パープルの代表作。
この前後にもメンバーの入れ替えが幾度も行われたこのバンドで、看板ギタリストとして出たり入ったりしたリッチーが、唯一「納得して作成できた」と言うアルバム「紫の炎」の表題曲でもある。



「YAMATO String Quartet 参」改め「YAMATO String Quartet LIVE!」の発売日でもあります。
そして「YAMATOの白盤」は当面は会場でしか手に入りません。


さて本番まで残すところ僅かですが、明日からAusenciasです。
空は飛びませんが、旅先でブログが更新できるものかどうか・・・。


YSQ 公開録音ありがとうございました!

2016-06-03 | YAMATO String Quartet
5/30にリリスホールで行われた「YAMATO String Quartet 参」の公開録音コンサートが、お陰様で無事終演しました。

20周年記念コンサートをキッカケに始まった録音企画、ミニアルバム「YAMATO String Quartet 壱」「YAMATO String Quartet 弐」に続く完結編です。
色々な方に「ライヴ録音にするべし!」と背中を押されて実現した企画、確かな手応えを感じています。

今回も素晴らしいアレンジを書いてくれた近藤さん。
無茶苦茶なスケジュールに悠然と付き合ってくださったディレクター国崎裕さん、エンジニアの塩澤安利さん。
寸前に決まったことで準備期間が短い中、たくさんの事務作業を一つ一つこなしてくださったホールの方々。
今回も多くの方々にご協力いただきましたが、中でも短い告知期間に関わらずご来場くださったお客様に感謝しなければいけません。

ホールスタッフも初めて、メンバーも初めてという環境の中で、ステージ上のメンバー以上にお客様が緊張されていたように感じました。
リラックスして盛り上がっていただいて、その空気ごと録音したいのです。
リラックスしていただくお膳立てはこちらがすることで、いずれあるであろう次回のための反省材料です。

ステージ上が緊迫していてはいけません。
緊張しているお客様にリラックスしていただきたくて、
「ステージリハーサルを録音してありますから、保険はかかってます。安心して息をしてくださいね。」
なんて言っちゃったのですが、実際は各曲1takeのみの保険で、本番録れなくても大丈夫なんて言える状況では全くありませんでした。

失敗はできないプレッシャーの中、各所から言われた通り、やはりライヴでこそのグループでした。
お客様を前にすると、マイクを忘れてお客様に全力になってしまうYSQ。
リハーサルやステージリハーサルでは思いもつかなかった芸当を次々やってのけるメンバーに舌を巻きながら、気持ちの良い本番でした。



6/13のみなとみらい公演に間に合わせるという鬼スケジュールのため、翌5/31だけで編集作業を終わらせなければなりません。
編集準備を整えて待って下さっている国崎さんの元に到着したのが5/31の13:00。
編集ルームから出るのはトイレのみ、という状況でサンドイッチをつまみながらぶっ通しの編集作業が終了したのは6/1の午前3時を回っていました。
こんなこと書いたら厚労省から怒られるのかしら?
国崎さんがここまでの無茶に付き合ってくださったのも、「YSQのライヴならではのグルーヴ感をお届けしたい!」という目的を共有してもらえたからだと思います。

メンバーはじめ、参加してくださった多くの方々の「良い録音になりますように!」の思いが結実した素晴らしい録音になりました。
ライヴで演奏した9曲、全て落とすこと無く収録できています。
是非お手に取って聴いていただきたいです。
国崎さんの鬼神のごとき奮闘のおかげで、無事6/13のみなとみらい公演に間に合います!
関わってくださった全ての皆さま、ありがとうございました!



ちなみにCDの題名が変わりました。
「YAMATO String Quartet 参」の予定でしたが、あまりにLIVE!感が強いため「YAMATO String Quartet LIVE!」に変更です。
「YAMATO String Quartet 壱」は赤。

「YAMATO String Quartet 弐」は碧。

「YAMATO String Quartet LIVE!」は白。
Greenを「アオ」と発音することがあるのは日本だけでしょうけれど、どっかの島国の昆虫さんバンドのようですね?

CD「YAMATO S.Q. 20周年記念シリーズ」第3弾

2016-05-13 | YAMATO String Quartet
ゆっくりと動いています。
YAMATO S.Q.はもう23年目ですが、20周年記念がまだ続いています。
すぐに25周年になることでしょう。

20周年記念コンサートは2014年に開催されましたが、実は21年目だったことが発覚。
本当の20周年は2013年に誰にも気付かれず終演していたのでした。

このユルさが長続きの秘訣です。


さて、20周年にかこつけて収録を始めた「20周年記念シリーズ」

これまでに「YAMATO String Quartet 壱」「YAMATO String Quartet 弐」というミニアルバムを収録しています。
次が最終回。
「YAMATO String Quartet 参」は、5/30に公開録音のコンサートとして収録されます。


演奏曲は下記の通り。
ピアソラからは、
天使のイントロダクシオン
天使のミロンガ
天使の死
天使の復活
アディオス・ノニーノ
そして、
ボヘミアン・ラプソディ:クイーン
リトル・ウィング :ジミ・ヘンドリクス
紫の炎:ディープ・パープル


公開録音ですよ。
何でそんなキケンな賭けに出たのか。
多くのお客様からコンサートが終わるたびに言われるのです。
「やっぱりライブがいいわねぇ!」
確かにライブの記録録音を聴くと、演奏が終わった時の客席からの歓声やどよめきがあって嬉しいのですが。
CDは・・・?

とどめは「YAMATO String Quartet 壱」「YAMATO String Quartet 弐」の録音を手掛けてくださった凄腕のディレクター国崎さんの一言。
「完全にライブのバンドなんですね!」

そうなのか・・・。
そうかもしれない。
じゃあそうしよう・

ということでライブを録音にしてしまうことにしました。
詳しくは、YAMATO String Quartet HPスケジュール欄をご覧ください。
いつも応援してくださる皆様、拍手や歓声やどよめきで収録に参加していただけると大変嬉しいです!
手が大きくて声の通るお友達を連れてきてくださるともっと嬉しいです!

そして、この収録から2週間後の6/13、「YAMATO String Quartet 2016 in みなとみらい」までにこの録音を製品化しようとしております!
何たる無謀! そして無茶ぶり!
これが本当に間に合うのか、国崎さんの努力とお客様の熱意に懸かっております。

5/30に誰にも負けないシャウトを響かせて、6/13にその結果を手に取るというのもオツかもしれませんよ?

YAMATO String Quartetサントリー公演間近!

2015-11-27 | YAMATO String Quartet


これまた日が迫ってしまいました。
昨年に引き続き、サントリーホール(ブルーローズ)での東京公演。

2011年以降のYAMATO S.Q.の企画には欠かせない大事なパートナーである、近藤和明氏。
実は昨年以来、彼の手によるアレンジ作品の製作ペースはかなりスローダウンしていました。
ご本人から「極力曲数を減らしたい。他のアレンジャーも見つけてほしい」と言われていたのです。
ご多忙の為、としか言いようがありませんが、色々と事情がありました。

このブログのコメント欄でも、お客様から近藤さんのアレンジ作品が減ることへの不安を訴える内容のメッセージを頂きました。
僕自身、近藤さんのアレンジ無しには企画のよりどころが無く、昨年・今年は正直なところ、だいぶ苦しい企画運営でした。
一曲だけ、と言われてようやく絞ったメインプログラムは、ピアソラの「五重奏のための協奏曲」。

こんな泣き言を書くからには、状況に変化があったのです。
近藤さん、完全復帰です!
来年のプログラムから、また全力で書いていただきます。

「じゃあ来年からにして、今年は行かなくても・・・。」
という方にさらにご報告。
来年のために猛烈な勢いで書き始めてくれた近藤さん、既に一曲出来上がっちゃったんですねぇ。

というわけで、もう一曲追加です!
Deep PurpleのBurn、「紫の炎」。
Deep Purple-Burn


近藤さんのロック魂によって、4人の楽器が火を吹きます。
リハーサルも急に熱を帯びてきました!
本当に煙くらい立っているかもしれない熱さですよ・・・・。

急に寒くなってきたところです。紫の炎で温まってください。
でも残席僅少です。当日券は危ないので、是非ご予約を!

YAMATO S.Q.みなとみらい公演ありがとうございました!

2015-09-10 | YAMATO String Quartet
あいにくのお天気の中、ほぼ満員のお客様がご来場くださいました。
無事終演できたのは、皆様のおかげです。
ありがとうございます!


「死と処女」を受けてプログラム最後に置かれた「天使の死」。
死んだまま終わるのも縁起悪いので、アンコールは「天使の復活」でした。
もう一曲は「荒野の七人」。
もはやこの闇鍋的プログラムは認知されたものとしてお詫びも致しません。


11/28のサントリーホールでお披露目するピアソラの「五重奏のための協奏曲」。
近藤さんアレンジの最新作が、昨夜届きました!
こりゃまた・・・・。
メンバーのぼやく顔が楽しみです。

シューベルト、ショスタコビッチは再演になりますが、かなり響きが違う環境なので、演奏も全く違うものになると思います。
全く同じメンバーによる同じ曲の演奏を、違うホールで聴き比べるという機会も中々無いのではないでしょうか?

そして、11/29の夜の公演会ミニライブでは最近少し離れていた映画音楽シリーズを。
1時間前後の演奏を予定しています。
どれをやりましょう・・・?

ゴジラ   :伊福部昭
ひまわり    :ヘンリー・マンシーニ
ピンクパンサー   :ヘンリー・マンシーニ
ニューシネマパラダイス  :エンニオ・モリコーネ
屋根の上のバイオリン弾き  :ジェリー・ボック
ディアハンター   :スタンリー・マイヤーズ
荒野の七人    :エルマー・バーンスタイン    
ウェストサイドストーリー  :レナード・バーンスタイン

リクエスト受け付けてます!

明日は横浜でYAMATO!

2015-09-07 | YAMATO String Quartet
ぎりぎりの進行は続きます。
新学期も始まったのに、いまさら夏休みの宿題を片付けている人、周りにいませんでしたか?
それは僕です。
今さらながら、明日のプログラムノートです。



【前半】
・シューベルト(1797-1828):弦楽四重奏曲第14番 D.810 「死と処女」(1824)
シューベルトはウィーン郊外の教師の家に生まれました。
父フランツと母マリアの間に生まれた子供は何と14人! マリアの死後再婚した父はさらに5人の子供をもうけます。
しかし19人もの兄弟の中で無事成人したのは半数にも満たなかったのです。
これは彼に「死」を隣り合わせに考えさせるきっかけになったかもしれません。

シューベルトはアマチュアの音楽家でもあった父から手ほどきを受け、その後「アマデウス」の毒殺犯として有名なサリエリから指導を受けました。(サリエリの名誉の為に付け加えておくと、真犯人は悪妻コンスタンツェだったようです。)

歌曲の分野で有名なシューベルトですが、室内楽の分野でも傑作を残しています。
中でも室内楽世界の最高傑作として挙げられるのが、弦楽五重奏曲(遺作)、ピアノ三重奏曲変ロ長調と、今日演奏する「死と処女」です。
シューベルト自身の歌曲「死と処女」を第2楽章に使っていることから「死と処女」の副題が付きました。
マティアス・クラウディウスによる詞は以下の内容です。

(処女)
ああ あっちへ あっちへ行って
野蛮な死神よ
わたしはまだ若いのよ だからおまえは行って
わたしに触れないで!

(死)
美しく繊細な創造物であるおまえよ 手をお出し
わたしはおまえの友だちであって 罰するために来たのではない
機嫌をお直し! わたしは乱暴ではない
わたしの腕のなかで穏やかにねむりなさい

そして2楽章で使われるのは後半部分、「死」が、自らの優しさと安楽を説く音楽です。
ゲーテの詩による歌曲「魔王」と歌詞の内容は酷似しています。
二十歳前後で書かれたこの二つの歌曲には、青年の「死」への憧れのようなものが感じられます。

弦楽四重奏「死と処女」は、28歳で大病を患い、憧れなどではなく、死を身近に意識したシューベルトが書いた作品です。

躁鬱病のような傾向があり「分裂症的」と断じられることも多いシューベルトの作品ですが、この40分におよぶ大作では、迷うことなく「死」の側に立ち、「死」を通奏低音のように響かせて終焉に向かいます。



【後半】
・ショスタコビッチ(1906-1975):弦楽四重奏曲第一番 op.49(1938)
共産党政権下で抑圧されながら、自由の音楽ジャズに憧れた作曲家、ショスタコビッチ。
19歳にして交響曲第一番で鮮烈なデビューを飾ったショスタコビッチは、1936年に共産党機関誌で批判にさらされ社会的危機を迎えます。
1937年に発表した交響曲第五番「革命」で社会主義的音楽に路線を変更、表向きプロパガンダ交響曲作家として歩み始めます。
「革命」で辛くも共産党の批判から逃れたショスタコビッチは、1938年、いまさらのように弦楽四重奏を書き始めます。
聴衆が少ない弦楽四重奏では、共産党の監視から逃れることが出来たのです。
ショスタコビッチはこの世界で政権の目を盗むように「ユダヤ」や「ジャズ」を表出させます。

すでにベテランの作曲家として名を為していたショスタコビッチが、作曲への制限から逃れて書き始めた弦楽四重奏は、交響曲で見せる短調主体の音楽ではなく、長調に支配される時間が長くなります。
31歳で「死」に飲み込まれたシューベルトに対して、32歳にして恐る恐るとはいえ表現の自由を得たショスタコビッチの「処女」作をお聴きください。


・Babe I`m Gonna Leave you :レッド・ツェッペリン(1968-1980)
ショスタコビッチが共産党政権のプロパガンダ作曲家として大いに名声を博していた頃、イギリスではプログレッシブ・ロックが芽吹いていました。
1968年に活動を開始したロック界のモンスターバンド「レッド・ツェッペリン」。
テレビでの演奏を拒否し、メディアに対して批判的でありながら、ビートルズに並ぶ人気を獲得しました。
アーティストがマスメディアの影響を受けずに生きにくくなった現代。この流れを変えるにはメディア以外から聴くべき音楽を探す姿勢が必要なのかもしれません。
1969に発表された「Led Zeppelin 」に収録されたこの曲は、アン・ブレドンによる楽曲をジョーン・バエズがカバーし、それを元にレッド・ツェッペリンがさらにカバーしたものです。結果的にレッド・ツェッペリン版が歴史に残りました。
ロバート・プラントを演じる石田泰尚を、生でお楽しみください。

・A Song for You :レオン・ラッセル(1942-)
イギリスから瞬く間に広がった「ロック」は世界中で様々な形になり、多様化していきます。
ローリング・ストーンズやベンチャーズのレコーディングにも参加しているキーボード奏者としてキャリアをスタートしたレオン・ラッセルは、ルーツ・ミュージック色の濃いスワンプ・ロックという呼称を与えられます。
彼の代表曲である「A Song for You」は、レイ・チャールズやカーペンターズにもカバーされました。
YAMATOによるカバーは、どう変化するのでしょうか?

・Tango Ballet :アストル・ピアソラ(1921-1992)
今回、アレンジ作品の中で唯一近藤和明氏の筆によらない楽曲です。
作曲家を目指し渡仏したピアソラが、ナディア・ブーランジェに「タンゴこそがピアソラの音楽の原点」であることを指摘され、タンゴの革命を目指し帰国します。帰国後、タンゴ界で初めてエレキ・ギターを取り入れた「ブエノスアイレス八重奏団」を結成しますが、「タンゴの破壊者」と罵られ、命を狙われるほどでした。このグループによって作られたのが、「タンゴ・バレエ」です。
ピアソラの親友で、ピアソラの楽曲のほとんどを整理・編曲したチェリスト、ホセ・ブラガートの編曲でお聴きください。

・天使の死:アストル・ピアソラ(1921-1992)
「死」に始まって、「死」に終わる今日のコンサート。
「天使のイントロダクシオン」「天使のミロンガ」「天使の復活」を含む天使4部作の中でもとりわけ有名な曲です。
「Tango Ballet」と「天使の死」をお聴きいただければ、11月の東京公演でお目見えする近藤和明氏アレンジの「五重奏のための協奏曲」への流れを感じていただけると思います。



以上です!

明日、まだ若干のお席があるようです。
お時間のある方は是非!
YAMATO String Quartet みなとみらい公演

2014年 ありがとうございました!

2014-12-31 | YAMATO String Quartet
2014年、よくサボりました。
9/4以来の更新です。
Cello Ensemble 008の北海道ツアーでお世話になった皆様、温かく迎えてくださったお客様、ありがとうございました!
YAMATO S.Q.サントリー公演、CE008渋谷公演に足をお運びくださったお客様、ありがとうございました!

これほど更新しなかったことは過去に・・・・・幾度かあります。
そう、何も驚くほどのことではないのです。
慣れてください。


2014年、YAMATO S.Q.そしてCello Ensemble 008、共に新たな動きがありました。

YAMATO S.Q.はミニアルバム「YSQ壱」と「YSQ弐」が完成しました。
そして、横浜公演は例年通り「みなとみらいホール」でしたが、東京公演は今年から「サントリーホール」に。
音響は昨年までの渋谷さくらホールよりシビアな会場ですが、お客様からの反応も良かったので来年以降もサントリーホールになる予定です。

Cello Ensemble 008もミニアルバム「Cello Ensemble 008 vol.1」が完成。「vol.2」も収録が済み、製作中です。
そして、初めての本格的な遠征となる「北海道ツアー」を敢行しました。
来年以降も北海道や長野などでの公演を増やしていきたいと思います。


両グループとも、同じ時期に近藤さんの協力を得て始動、もしくは再始動しました。
それぞれに5年分の成果が上がっていると思います。
それだけに、それぞれの進むべき方向は分かれてきたようです。
両方のリーダーとして、5年前は色々なことを同じ動き方にして効率良く進めようとしていました。
ところが進めれば進めるほど、それぞれの個性が出てくるのです。
同じやり方が使えない。
効率はどんどん悪くなる一方です。

来年も目標は「それぞれに見つけた方向性を、(僕が)無理せず発展させるやり方を見つける」です。


とりあえず来年の決まっている予定を。

今年、フルートの谷藤さん、作編曲家でギタリストの本田さんのご夫婦ユニット「ホラネロ」の1stアルバムに参加させていただきました。
その発売記念ツアーにも参加させていただきます。


そして奇しくも同じ編成になる、信州のフルーティスト早川育さんと、Tangophobicsでご一緒していたギターの竹内永和さんとのトリオ「TRITONE」。
こちらもCD発売記念コンサートが横浜であります。

そしてYAMATO S.Q.とCello Ensemble 008、その他の予定を日付順に列記します。

1/24(土) ホラネロ東京公演
15:00open/16:30start
サロンド・冨山房ティールームFolio(千代田区神田神保町1-3)
珈琲屋台「出茶屋」出張営業!

2/6(金) ホラネロ旭川公演
18:00open/18:45start
神楽公民館「木楽輪」(旭川市神楽3条6丁目神楽市民交流センター内)

2/7(土) ホラネロ北見公演
17:30open/18:30start
留辺蘂商工会議所ホール(北見市留辺蘂仲町6-1)

2/8(日) ホラネロ紋別公演
オホーツクタワー(夜公演)

2/10(火) ホラネロ知床公演
20:50頃スタート(イベント“オーロラファンタジー”終了後)
知床第一ホテルロビー

3/12(木) YAMATO S.Q.大分公演
18:30open/19:00start
総合文化センター「音の泉ホール」


3/28(土) Cello Ensemble 008 平塚チャリティコンサート
15:00open/16:00start
ホテルサンライフガーデン チャペル


4/18(土) YAMATO S.Q.瑞穂公演
社会教育施設「耕心館」(東京都西多摩郡瑞穂町駒形富士山317)

5/24(日) TRITONE横浜公演

9/6(日) Cello Ensemble 008東京公演
13:30open/14:00start
サントリーホール小ホール「ブルーローズ」

9/8(火) YAMATO S.Q.横浜公演
18:30open/19:00start
横浜みなとみらいホール小ホール

10/25(日) こがねいガラコンサート

11/28(土) YAMATO S.Q.東京公演
18:30open/19:00start
サントリーホール小ホール「ブルーローズ」

北海道や長野のツアーは決まり次第ご案内致します。


各ホームページもサボっております。
これは年が明けてからだな・・・。
来年も気長にお付き合いください!

YSQ 20th みなとみらい公演ご来聴ありがとうございました!

2014-09-04 | YAMATO String Quartet
たくさんのお客様にご来場いただきました。
お陰様で無事終演することが出来ました。
本当にありがとうございました。



終演後の楽屋廊下にて。
あまりお礼を申し上げているように見えないかもしれませんが、感謝の気持ちでいっぱいです。


昨日9/2は父の命日。
自分に似た男が、強烈な個性のメンバーとステージに上がる姿を見ていたかどうか。。。
今日、墓参しましたが、「けっけっ!」と笑う父の顔が見えたような気がします。
「ゴジラ」なんかご満悦だったことでしょう。
「寅さんはどうだ?」という声も聞こえてきそうですが、そこは聞き流すことにしました。


11/23のサントリー公演に向けて、またエンジンをかけ直したいと思います。
YAMATO S.Q.としては初めてのホール。
どんな響きになるのか、楽しみです。

そして、「YAMATO String Quartet 弐」もお目見えする予定です。
ロックとタンゴにシフトした選曲になります。
お楽しみに!

昨年のアンコール

2014-09-01 | YAMATO String Quartet
そういえば去年の渋谷公演の前にこのブログでクイズを出したのでした。
プログラム前半の曲目と関連するアンコール。
何をやるでしょう?というクイズでした。

残念ながら正解は出ませんでした。
というか誰も解答してくれなかったのでした。

コンサート前半はハイドンの「鳥」「ひばり」、そしてショスタコビッチの8番。
この中のどれかに関係するアンコール。

後半はピアソラからレッドツェッペリン・ジミ・ヘンドリクスまで。
この後に前半と関係する曲が出来るのか!?

で、答えはこれでした。
まさにYAMATOの新境地。
この曲だと思って聴かないと、曲の半分くらいは何だか分からないという近藤さんの企みも秀逸です。
でも最初からちゃんとテーマは隠されているのですよ。

川の流れのように:見岳章 / YAMATO String Quartet / Arr.近藤和明