チェリスト 阪田宏彰のBlog

日々感じたこと、おすすめなモノ、お気に入りなど

演奏する意味

2017-09-30 | ひとりごと
およそ僕らしくない深刻な題名です。
今回は内容も真面目なんです。

先日、Cello Ensemble 008の釧路公演の後、サイン会に並んでくれたお客様の中に一人の少女が居ました。
彼女は僕の前に立つと、突然言いました。
「札幌医科大学付属病院で弾いてください!」

彼女の後ろではお母さんらしき人が驚き慌てている様子。
でも彼女は至って本気なのです。
全く逸れることがないその目を見たら、
「はい。」
という言葉が口をついて出ていました。

この時はまだ、「来年も再来年もおそらく北海道には来るだろう。札幌に寄る機会はいつかあるだろう。」
と考えていました。

後で周囲の大人たちから聞きました。
可愛らしい依頼主は、ちづるちゃんというチェロを弾く女の子でした。
ちづるちゃんは白血病で、つい先日までその病院に入院していたそうです。
チェロが大好きな彼女は、入院中チェロを弾くことも、聴くこともできませんでした。
抗がん剤で免疫が弱っているために、病院で慰問コンサートが開かれても、その会場に行くことを許してもらえないのです。

ちづるちゃんはようやく退院して、僕たちのコンサートを聴いてくれました。
感動してくれたのです。
彼女は、自分のためではなく、一緒に入院していたお友達にチェロの音を聴かせてあげたいと願っているのです。
分別のありそうなちづるちゃんが、僕を見込んで、勇気を出してこのお願いをしてくれたことが本当に嬉しかった。
実は音楽家ほど、自分を必要とされることに弱い人種はいないかもしれません。

状況は変わりました。
いつか、ではなく今すぐ行かなければなりません。
ちづるちゃんのお友達が退院する前に。
しかも病院に行けば良いのではなく、小児ガンの子ども達も入院している小児病棟に入れてもらって演奏する必要があります。
たくさんのハードルを乗り越えて全力の演奏ができなければ、これまで北海道にたくさん呼んでもらった意味も、チェリストを続けている意味もありません。



このミッションの遂行に燃えた瞬間から、多くの方々に後押ししてもらいました。

僕は9/20までのCello Ensemble 008ツアーの後、来年以降の準備のために一人北海道に残る予定でした。
病院と連絡を取りながら各地を周ります。
23日には、釧路のジュニアオーケストラの子ども達の公開レッスンがありました。
可愛い妹のために骨髄を提供したお兄ちゃんのチェロも聴きました。
病院との交渉の結果、決まった日にちは25日。
この日は、幌延と稚内にお邪魔する約束がありました。
幌延と稚内の担当の方に事情を話すと、「是非!そちらに全力を尽くしてください!」と温かいお言葉をいただきました。

何年も前からお世話になっている、お洋服とカフェのお店「Lakura」の鳥居はゆきさんにピアノをお願いしました。
彼女は土田英順さんというチェリストと、震災後の被災各地をチャリティコンサートで周っていた方なのです。
「私でいいんですか?」
なんて言いながら、ボランティアであること、心でする仕事であって上手下手ではないことを伝えると、
「それは私かな~」
と。

当日まで会場に行けない僕に代わって現地を見てくれた鳥居さんから
「小児病棟にあるエレクトーンでは無理!」
と緊急連絡が来たのは23日。

今度は、札幌の音楽制作会社「セプト」の社長、國廣さんにお願いです。
「持ち込める88鍵の電子ピアノある!?」
口の悪さと裏腹に、いつも親切な國廣さん。
「ないよ。そんなもん。」
と言いながら、スタッフの佐々木さんのお嬢さん所有の楽器と共に佐々木さんを派遣してくれました。
昨年の旭川クリスタルホールでの公演後、朝まで僕に付き合ってくれた強面のおじさまです。

当日は佐々木さんに搬入から設営までおんぶにだっこ。
LINEのビデオ通話を使って、釧路に居る僕の可愛い依頼主に、演奏を実況中継してくれたのもこの佐々木さんです。



入院中のお子さんたちは、食い入るように見て聴いてくれました。
17歳の男の子が、「僕、将来の夢ができた!」と言ってくれたのが本当に嬉しかった。
まだ抗がん剤の影響が残る彼女のお友達の女の子は、一緒に写真を撮って喜んでくれました。
そして0歳児のお子様の多いこと!
子ども達だけではなく、ご家族の姿も多く、ご家族も仕事や家庭を投げ打って全力投球されていることがよく分かりました。

人生最高レベルで気持ちを込めた演奏の後でした。
ちづるちゃんと入院中のお友達がビデオ通話で会話しています。
「私、29日にそこに帰るからね~!」
と聞こえた時は、胸が締め付けられるとはこのことか、と思いました。
また辛い闘病生活が待っているのです。



終わってみて思ったことが二つ。

子どもたちが親元近くで治療できること、ご家族がそのサポートに専念できること、こういうことにこそ国民健康保険や税金を使ってほしい。

そして僕たち演奏家は、ただ面白おかしく演奏するだけではなく、本当に必要としてくれている人たちに音楽を届けるという大事な仕事があるということ。
そのために各地の文化事業費を使っていただきながら演奏してきたのだな、と。

これまで、「008の北海道ツアーいつまでも続けたいな~」くらいに思っていました。
今は「続けなければならない大事な事業なんだ!」と気が付きました。
毎年あの子たちに会えるように、これからも続けます。
各地の皆さま、応援よろしくお願い致します!


そしてちづるちゃん、勇気を出してくれて本当にありがとう。
また会いに行くので、治療頑張ってね!

ちづるちゃんからのお手紙。
「いつか阪田先生と一緒に弾けるようになりたいです。」
もちろん!待っているからね。
僕は還暦過ぎまで現役でいる覚悟を決めましたよ。


最後にもう一つ。
北海道でメンバーと苦楽を共にする間に得た、心でする仕事に即座に対応してくれる友人たちを心から誇りに思います。


おまけ:ちづるちゃんは、チェロを持って再入院することを特別に許してもらえたそうです!
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Cello Ensemble 008 釧路公演

2017-09-09 | Cello Ensemble 008
9月19日は、Cello Ensemble 008 釧路公演です。



Cello Ensemble 008 in 釧路
9月19日(火)18:00開場 / 18:30開演
会場:釧路市民文化会館小ホール
一般:¥2,800(当日¥3,300)
主催:一般財団法人釧路市民文化振興財団、北海道新聞釧路支社、釧路音楽協会 共催/釧路市教育委員会 後援/釧路新聞社、FMくしろ
お問い合わせ:釧路市民文化振興財団 TEL 0154-24-5005


釧路には初登場!
3年前から機会を窺っていたのですが、ようやく実現させていただきました。。

初登場ですから、まだ誰も知らないんです。
遠慮なくCE008のイチオシプログラムを並べます。

・舞踏会の美女
・亜麻色の髪の乙女
・ひょっこりひょうたん島
・スーパーマリオブラザース
・ゴジラ(改訂版)
・A列車で行こう
・シェルブールの雨傘
・ルパン三世
・知床旅情
・天国への階段

こうして並べてみると、イチオシなのに時間に収まらない楽曲が出てきました。
長年に渡る近藤さんの尽力のおかげです。
選択の余地があるのは幸せなことですね。


さて、これまでに北海道各地を随分周ってきましたが、釧路では初めてのことがあります。
ジュニアオーケストラがあるのです!
ブラスバンドなら全国どこでもありますが、弦楽器が必須のオーケストラを持っている町はそう多くありません。
弦楽器を弾く子供達を育てるのには、桁違いの時間がかかるからです。
文化の歴史が根付いている町であることが分かります。
そのおかげでしょう。チケットの売れ行きも好調のようです。

公演後、僕は居残って弦楽器の子供達の公開レッスンをする機会をいただきました。
中には既にボッケリーニのチェロ協奏曲を弾く子も!
楽しみです。
これも練習しておかなきゃ・・・。


ついでにもう一つ。
アンコールにはもちろん「風船」をやるのですが、今回は携帯電話で録画OKにしてみようと思います。
皆さま、SNSに上げる動画を撮影してみましょう!
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Cello Ensemble 008 紋別公演

2017-09-08 | Cello Ensemble 008
9月18日は、Cello Ensemble 008 紋別公演です。


Cello Ensemble 008 in 紋別
9月18日 13:30開場/14:00開演
会場:紋別市文化会館
一般:¥2,000 / 小中高生:¥1,000 (当日¥500増し)
主催:チェロアンサンブルユイット紋別公演実行委員会
お問い合わせ:090-1523-3713(瀧澤)


紋別公演はなんと4回目!
同じ土地にこれだけ続けて呼んでいただけることはそうそうありません。

初めて紋別にお邪魔したのは、2013年のこと。
日高公演に呼んでいただき、Cello Ensemble 008が北海道の大地に初めて降り立った時のことでした。

日高公演の後、8人のうち4人を残らせてCello Ensemble 008を知ってもらうために北海道各地を周ったのです。
ツアーを組むなんて初体験でした。
公演後の一泊二日で、富良野・美幌・紋別で3公演するという無茶な計画を立てました。
札幌にも寄ったので、約600kmを自分たちで運転しながら3公演です。
公演はどこも盛り上がり、各地で歓待を受けながら午前様でホテルに泊まり、朝暗いうちに出発します。
最後にたどり着いた紋別では、既にランナーズハイのような状態でした。

でもこの甲斐あって、翌年には富良野・美幌・紋別でCello Ensemble 008を呼んでいただき、北海道ツアーが年中行事になりました。
今でもこの各地にはCello Ensemble 008のお友達が多くいて、故郷に帰ったような心持ちで演奏します。
中でも紋別の実行委員会の皆様は、本当に温かく迎えてくれる古くからの飲み友達のよう。



昨年までに大小合わせて既に7回もの公演があった紋別では、随分増えたレパートリーもだいぶ使ってしまいました。
今年紋別で初登場の曲は
・A列車で行こう:ビリー・ストレイホーン
・ハウルの動く城:久石譲
・ラウンドアバウト:イエス
の他に
・フーガと神秘:ピアソラ
・水とワイン:ジスモンチ
など依頼公演で出すことはほとんどないコアな作品も演奏します。

そして既にお馴染みになった
・ゴジラ:伊福部昭
・スモーク・オン・ザ・ウォーター:ディープ・パープル
が近藤和明氏による改訂版になって登場!

そして、毎年定番だった「風船アンコール」でしたが、4回目の今年は違います。
依頼公演初の「男はつらいよ」の出番です!
男はつらいよ 主題歌 (歌詞付き)

ピシッとハチマキ巻けるように散髪にも行きました!
何のことやら分からない方は、紋別市文化会館まで!


ところで、紋別のアルファベット表記が「MOMBETSU」だって知ってました?
「N」じゃないんですよ。
4年目にして初めて知る事実!
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リサイタル?

2017-09-07 | ひとりごと
音楽界の片隅で静かに生きるチェリスト阪田です。

こんな僕に向かって、「リサイタルやりなさいよ!」なんて言って驚かせる方が稀にいます。
目立つのが嫌いなわけではありません。
008のステージで、MCやアンコールのネタで笑われているのは大好きです。

チェロを演奏する時には、誰よりも簡単な仕事を誰よりも楽にこなしたいのです。
だからソロのコンサートの依頼を頂いたら、ピアニストやギタリストの指がちょうちょ結びになるくらい大変で、チェロは白い音符だけを弾くような曲を選びます。

そんな僕が、リサイタルみたいなことをします。
しかもショパンのチェロソナタなんて、およそ僕らしくない大作に手を出してます。

9月16日(土) 18:30開場/19:00開演
会場:じゃず蕎麦放哉(旭川市6条7丁目右1号ノムラビル1階)
¥3,000(ドリンク別)
チケットお問い合わせ:0166-85-6911
主催:阪田宏彰ふぁん倶楽部



話は遡ります。
昨年の9月、Cello Ensemble 008の2週間に渡る北海道ツアーの千秋楽は旭川の大雪クリスタルホールでした。
この立派なホールで演奏するにあたり、ゲスト出演で応援してくれたのが「マダム・ケロコ」さんです。
お客様もたくさん呼んでくださり、抱腹絶倒のMCと可愛らしい歌声でステージを盛り上げてくださって、終演後はご馳走にまでなりました。

このケロコさんのディナーショーがあると聞き、旭川までお客さんとしてお邪魔した時のこと。
「アンタ、ファンクラブができてるからね。その人たちと同じテーブルにするから仲良くしなさいよ!」とケロコさん。
ファンクラブ!
008のファンクラブが北海道にも!
これは精一杯ファンサービスせねば!
と乗り込んだ会場で案内されたテーブルには、お着物の女性がズラリ。
度肝を抜かれて萎縮していると、お隣の女性から「これなんです!」と渡されたのが、これ。


え!? 008は? 僕は裏方ですけど・・・?
と声にもできないまま、気がついたらリサイタルです。

お手伝いくださる方の一人から、「絶対オススメのピアニストがいるので!」と連れてこられたのは渋谷藍香さん。

決して彼女が可愛いから引き受けたわけではありません。
少しは嬉しかったけど・・・。

渋谷さんが本当に達者なピアニストなので、これはピアニストの見せ場を作らにゃ。
これが、やったこともないのにショパンのチェロソナタを選んだ理由です。。。


これまでリサイタルを薦めてくださったのに、僕に聞き流されてきた方々へ、長い言い訳でした。
旭川まで来てくだされば、やってますよ。

マダム・ケロコさんの爆笑前説付き!
渋谷藍香さんの超絶技巧も必見!
著名な音楽家もよくライブをする「じゃず蕎麦放哉」さんは、お蕎麦もとっても美味しいです!
問題はチェリストだけ!
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YAMATO String Quartet 横浜公演

2017-09-07 | YAMATO String Quartet
今年も定期公演の時期がやってきてしまいました。
さあ、大変。

今年から主催してくださる「株式会社リリー」の社長さんは、穏やかな雰囲気の中できっちり締めるところは締める方です。
昨年まで、クラシックを含むプログラムの半分は年間共通プログラムだったのですが、今年からは東京公演と横浜公演でほぼ完全に違うプログラムになりました。

でもYSQの核心の部分は思い通りにさせてくれます。
後半の近藤和明氏のアレンジによるプログラムへの制約は一切無く、思う存分「ピアソラ」と「ロック」に邁進してください。とのこと。

その結果、今年のプログラムはこうなりました!
恒例のプログラムノートチェックですが、今年は既に入稿済みです。
次回こそはみなさまに事前チェックをしてもらえるよう早めに・・・。




弦楽四重奏曲第一番  Op.11 :チャイコフスキー

バレエ音楽の世界で有名なチャイコフスキーですが、3大バレエとして有名な「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の他にはバレエ音楽は書いていません。
バレエの他にも「悲愴」などに代表される交響曲、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲など、絢爛豪華なオーケストレーションとロマンティックな旋律で魅了する作曲家です。
チャイコフスキーの数少ない室内楽作品の中でも特に有名な第二楽章の「アンダンテ・カンタービレ」を含むこの曲ですが、残念ながら第二楽章以外は演奏機会が多くありません。
この曲が書かれた 1871 年、チャイコフスキーは作曲家としての評価を高めつつあったものの、サンクトペテルブルク音楽院の教師の生計は苦しいものでした。
そのため自作によるコンサートも小ホールで開催されることになり、そのおかげで全 3 曲の弦楽四重奏が書かれることになったのです。
既に歌劇や交響曲で自身のスタイルを確立していたためか、各楽器の扱い方は管弦楽のミニチュア版であって弦楽四重奏のスタイルではない、と言われています。

23 年前のデビューコンサートで「オーケストラのような巨大な響き」と評された YAMATO S.Q. は、この曲をどのように表現するのでしょうか。
Tchaikovsky String Quartet No.1 (The Smetana Quartet 1969)



悪魔のロマンス:ピアソラ
「天使のイントロダクシオン」「天使のミロンガ」「天使の死」「天使の復活」という天使 4 部作をレパートリーとして完成させた YAMATO S.Q. と近藤和明氏の向かう先には、もちろん「悪魔」がありました。
昨年の定期公演で取り上げた「 Vayamos al Diablo 」に続く悪魔は「 Romance del Diablo 」です。
悪魔という標題とは裏腹に、どこまでも優しく美しいメロディが甘く語りかけます。ピアソラにとってはこの甘美な世界こそが「悪魔」だったのでしょうか?
Romance de diablo - Astor Piazzolla



シータ:ピアソラ
ピアソラの輝かしいキャリアの最初は、史上最高の楽団と言われた「トロイロ楽団」での 5 年間でした。ゴジェネチェやホセ・バッソなど、個性的なメンバーを多数輩出したトロイロ楽団ですが、ピアソラは音楽的な意見の相違から脱退してしまいます。しかし、懐の深いトロイロとの交流は途絶えることは無かったようです。
押しも押されぬ国民的スターになっていた 1975 年、師トロイロの死後すぐに書かれたのが、「トロイロ組曲」です。
組曲は、師が愛した 4 つからなります。「バンドネオン」「ウィスキー」「博打」、そしてトロイロ夫人である「シータ」です。
この曲を演奏するピアソラを訪ねたシータは、トロイロのバンドネオンを形見に渡したそうです。
Piazzola / Agri - Zita. Tangocity.com



ザ・シネマ・ショウ:ジェネシス
1967 年に結成されたイギリスのロックバンド「ジェネシス」の活動は、大きく分けて 3 つの時期に分類されます。
デビューからピーター・ガブリエル脱退までの第一黄金期、フィル・コリンズ主導による第二黄金期、 2006 年~ 2008 年の活動再開期です。
第一黄金期の頂点に輝く「月影の騎士」は、ピーター・ガブリエルの独特なパフォーマンスに、フィル・コリンズのドラムが加わってプログレ色を強めた頃のアルバムです。
このアルバムの B 面 3 曲目に収録されたこの曲は、終曲「 Aisle of Plenty 」が夢から現実に引き戻すための短いトラックであることを考えると、アルバムのクライマックスに位置しています。
特殊なチューニングによる 12 弦ギターで奏された叙情的なイントロに続き、ジェネシスの特色であるテクニカルなインスト部が 7/8 拍子で軽やかに繰り広げられます。
Genesis - The Cinema Show



「狂気」より:ピンク・フロイド
YAMATO S.Q. と近藤和明氏のコンビでお送りしたキング・クリムゾンのコンセプト・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」全曲演奏に続き、プログレッシヴ・ロックの魂を表現するために選ばれたのは、ピンク・フロイドの「狂気」。
「月影の騎士」と同じ 1973 年に発表されたアルバムです。
プログレッシヴ・ロックを語る上で、コンセプト・アルバムというスタイルを避けて通ることはできません。
けだるく幻想的なサウンドと、哲学的な詞で知られるピンク・フロイド。
1970 年のコンセプト・アルバム「原子心母」でプログレッシヴ・ロックを代表するバンドとして認知され、この「狂気」の大ヒットで唯一無二の存在となります。
テープ・コラージュや、シンセサイザーの SE だけで成り立つ楽曲は割愛し、中核を担う「 Breath 」「 The Great Gig in the Sky (虚空のスキャット)」「 BrainDamage< 」「 Eclipse 」の4曲が順に演奏されます。
Pink Floyd Dark Side of The Moon LP

(虚空のスキャットは14:30〜)


以上です。
中でも「狂気」の中の「虚空のスキャット」で見せる石田泰尚の叫びは、石田ファンならずとも一見の価値があると思います。
お楽しみに!
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YAMATO S.Q.の裏方にも光が。

2017-09-05 | YAMATO String Quartet
昨年の10月2日に文京シビックホールでYAMATO S.Q.の出演するコンサートがありました。
「山田耕筰の音楽」と題されたコンサートの半分を担当し、山田耕筰の弦楽四重奏曲全3曲を紹介するという任務を仰せつかったのです。



丘山万里子さんという評論家の先生が、このコンサートの模様をウェブマガジンに書いてくださったそうです。
書いていただいたことも全く知らなかったのですが、このウェブマガジンが国会図書館に収蔵・保存されることになったとか。
写真などの転用許可の連絡をいただいて初めて知ったのです。
記事はこちら

そういえば、当日ホールの方が仰っていました。
「まさかいらっしゃるとは思っていなかったテゴワイ評論家の先生がご来場です。」
もとより好き嫌いははっきり分かれるグループです。
今更批判にさらされることなぞ怖くは無いので聞き流していたのです。

結果、とても好意的に書いていただきました。
特に普段誰も気にも止めない「企画者の仕事」にスポットを当てていただけたことが嬉しいですね。
連絡先も知らずお目にかかったことも無いのですが、この場を借りて丘山先生ありがとうございます。
お目にかかったことが無いのは丘山先生のせいではなく、本番終了後お客様の誰より早く全員いなくなっていたYSQのせいです。
ご挨拶もせず、大変失礼致しました。

依頼をいただいてから本番まで、ホールの企画担当である岩下さんとかなり細かい打ち合わせをしました。
とてつもなく長いメールが飛び交い、岩下さんには通常のコンサートの数倍の負担がかかったことと思います。
こちらもこの場を借りて、岩下さんありがとうございます。


ところで、YSQと山田耕筰の弦楽四重奏曲の関係を知る人はもう少ないでしょう。
はるか彼方昔にこの作品群をCDに録音しているのです。
録音会場や録音にかけられる時間など、思うに任せない状況の中でした。
若くて対応する術も知らなかったこともあり、ジャケット写真にはメンバーの疲労の色がありありと映し出されています。

もし、奇跡的にこのCDを手にされた方は是非大事にしてください。
金庫に入れて誰の目にも触れないようにすることをオススメします。
絶対無くさないように、鍵はお預かりしますよ。
コメント (2)
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