前受金の管理と排他制御について

今回は、Profit美容室管理の前受金の入金と充当についてご紹介いたします。
それらの排他制御についても少しご紹介いたします。


☞　前受金とは
販売する商品代金の一部または全部を、商品を納品する前に事前に受領した時に使用する勘定科目です。
前受金は、商品を納入した際、「売上高」に振り替えます。

例１　前受金を現金で受領
１）翌月に商品を納品する契約で、商品の代金の一部である20万円を事前に現金で受領
　　 借 方 　　　 　　 貸 方
　　-----------------　-----------------

　　 現金　 200,000     前受金　200,000

２）翌月に商品を納品(売上)
　　 借 方　　　　　　 貸 方
　　-----------------　-----------------
　　 前受金　200,000　 売上高　200,000

例２　前受金をクレジットカードで受領
１）翌月に商品を納品する契約で、商品の代金の一部である20万円を事前にカードで受領
　　 借 方　　　　　 　 貸 方
　　-----------------　-----------------
　　 売掛金　200,000　 前受金　200,000
　　 (カード)

２）翌月にカード会社から入金
　　 借 方　　　　 　　 貸 方
　　-----------------　-----------------
　　 預金    200,000　  売掛金　200,000

                         (カード)
　　注)クレジットカードの場合、支払手数料が発生します。

３）翌月に商品を納品(売上)
　　 借 方　　　　　　　 貸 方
　　-----------------　-----------------
　　 前受金　200,000　 売上高　200,000

注）前受金は将来的に商品の納品(売上)およびサービスの提供を行う義務があります。
　　ゆえに前受金は「貸方」に「負債」として処理します。

☞　前受金と混同しやすい勘定科目
仮受金
・取引の理由が不明な時に使用する勘定科目
（内容が不明な入金、振込元が不明な入金など)

前受収益
・契約により継続してサービスを提供する際、事前に代金を受け取った際に使用する勘定科目です。
・前受金は継続的でないサービスの際に使用しますが、前受収益は継続的なサービスに使用します。
例）受取利息や地代、手数料、賃貸料、家賃など

預り金
・役員・従業員、取引金などから、一時的に預かったお金であり後日、本人に返金又は本人に代わり第三者に支払うお金を処理する時に使用する勘定科目です。
例）税務署に納付するため給料から天引きする所得税、住民税など



１．Profit美容室管理での前受金管理
Profit美容室管理をご利用されているオーナーさんの店舗では、ウィッグの注文に対してほとんどオーダーメイドとして製作をするそうです。メーカーに対して、製作仕様書を作成、指示依頼、(製造)、入荷・検品をしています。（入荷・検品後の加工、調整は店舗が行っています。）

１）前受金の入力
　　お客様が新たにウィッグを購入される際、お客様との間で契約書を取り交わします。
　　☞　増毛商品・契約書
　　通常、契約書の契約条項には、商品の製作準備と引渡条項に以下のような記載があります。
　　「乙は仕様内容通りの増毛商品を製作するにあたり甲から契約代金の〇〇％以上を入金しない限り
　　　製作準備義務を負わないものとします。」

　　契約の際に、上記下線の部分の金額を前受金として入金入力します。
　　☞　Profit 前受金入力


２）前受金からの充当
　　ウィッグが工場から納品され、店舗にて加工・調整後、お客様へ納品します。
　　（納品時に更に調整することもあるようです。）
　　☞　Profit 予約・売上入力 → 精算入力にて前受金からの充当を指示


２．画面と排他制御
２．１．前受金の入力
１）前受金の確認画面

【前受金】
　入金日　　　　：前受金を入金した日付（通常は契約日と同じ）
　伝票番号　　　：前受金入金の伝票番号
　顧客コード　　：入金(契約)した顧客コード
　前受金　　　　：受領した前受金額
　金種　　　　　：受領した前受金の金種
　充当額（累計）：受領した前受金のうち売上へ充当した累計金額
　充当残額　　　：前受金 － 充当額（累計)

【充当情報】
　伝票番号　　　：前受金を充当した予約・売上伝票の伝票番号
　充当日　　　　：予約・売上伝票の来店日
　充当額　　　　：前受金から充当した金額

今回の例では
・7/27に鈴木一郎さんから前受金125,000円を受領し、
・7/30に鈴木一郎にウィッグを納品(売上)しています。
　但し、125,000円のうち、37,000円のみ前受金から充当しています。
※前受金残　125,000円 － 37,000円 ＝ 88,000円

明細欄の[🖊]ボタンをクリックすることで指定した前受金レコードを入力用としてのワークテーブルへ追加します。
・追加した際、既に同じ伝票番号のレコードが存在する場合、エラーとして入力不可としています。
　（他の端末で同じ伝票番号の前受金が処理中です。）
・同じ伝票番号のレコードが存在しない場合、以下の入力画面が開きます。

２）前受金の入力画面

　削除フラグ　　：充当額（累計）が、0 でない時、削除は不可
　顧客コード　　：充当額（累計）が、0 でない時、顧客コードの変更は不可
　前受金　　　　：充当額（累計）より少ない金額に変更は不可
　充当額（累計）：(入力不可項目)
　充当後残高　　：(入力不可項目)

☞　ワークテーブルをロック用のテーブルとしても使用しています。

２．２．前受金からの充当
　例として、今回新たに鈴木一郎さんに２台目のウィッグの納品(売上)を行ってみます。

１）予約・売上入力画面

【施術情報】

　ウィッグ調整　：入荷後の加工・調整
　型取り　　　　：ウィッグの型取り

【商品情報】

　ウィッグ　　　：ウィッグの売上

☞　登録ボタンをクリックします。
　入力項目にエラーがなければ、２）の精算入力画面が開きます。

２）精算入力画面

　今回ご請求金額：416,460円に対して、残りの前受金88,000円を充当します。
　☞　緑色のボタン[前受金充当額]をクリックします。
　　以下条件に一致する前受金レコードを特定します。
　　 <条件>
　　　前受金Ｄ.(顧客コード) ＝ (鈴木一郎さんと同じ顧客コード)

　　　　and

　　　前受金Ｄ.(入金日) ≦  (予約・売上入力の来店日)
　　　　and
　　｛ 前受金Ｄ.(前受金充当残) ＞ 0
　　　　　or
　　 （ 充当Ｄ.(予約・売上の伝票番号) ＝ (予約・売上入力の伝票番号)
　　　　　and
　　　 充当Ｄ.(前受金の伝票番号) ＝ 前受金Ｄ.(伝票番号) )
　　 ｝
　　 注)削除ﾌﾗｸﾞは割愛しています。

　☞　結果、特定された全ての前受金レコードを前述のワークテーブルへ全て追加します。
　　（ワークテーブルをロック用のテーブルとしても使用しています。）
　・１件でもレコードが追加できなかった場合はエラーとしています。
　　（他の端末で、鈴木一郎さんの前受金の処理が実行中です。）
　・全てのレコードが追加できた場合、３）の入力画面を開きます。

３）前受金の充当入力画面

　入力は明細欄のそれぞれの今回充当額に金額を入力します。
　・複数の前受金から今回充当することができます。
　・今回充当額の合計 ＞ 今回ご請求金額(税込)の場合、エラー

　・今回充当額 　　　＞ 充当可能額 の場合、エラー

　入力後、ＯＫならば登録ボタンをクリックします。
　・エラーがなければ、精算入力の画面に戻ります。

４）精算入力画面

　今回ご請求金額：416,460円に対して、前受金88,000円が充当されています。
　請求残（416,460円 － 88,000円 ＝ 328,460円）が今回入金額にセットされます。

　☞　今回お支払いいただく金額です。

　金種を設定し、登録ボタンをクリックします。

メッセージdialogが開き、OKボタンをクリックすると、施術明細書(PDF)が生成され、自動的に開きます。

５）施術明細書(PDF)


☞　鈴木一郎さんの前受金を確認してみます。

充当明細に以下が追加され、前受金の充当残額は 0 になっています。
・8/22に鈴木一郎にウィッグを納品(売上)しています。

<補足>
・前受金の充当を取り消す場合は、３）前受金の充当入力の画面で前受金充当額を削除し登録します。
・前受金に関係する制御パラメータ（管理マスタ)

前受金充当区分：予約・売上入力でウィッグの売上がある場合のみ可能にしたい場合、1を設定します。
前受金入金区分：前受金の入金において、金種を現金のみしたい場合、1を設定します。
金種　　　　　：現金の金種を設定します。


３．終わりに
今回、前受金の管理を実装することで精算・充当入力も新設しました。
これらにより、前受金の管理を手作業から解放することができました。
Profit美容室管理ではレジの機能はレジに任せることにしていますが、今後ハードウエアおよび制御するAPI等など、より使いやすく可用性、保守性の良いものがあれば検討したいと思います。

以上です。