FileMakerでシステム開発

SE経験者がファイルメーカーを用いた場合、どのような設計、開発を行うのかを検証するブログです。

商品元帳について

2022-07-05 17:03:23 | FileMakerでの構築(販売管理システムの仕組み)
今回は在庫管理の帳票である商品元帳についてご紹介いたします。

品目には、商品・製品・中間品・原材料・素材・消耗品(製品・工場)など、業種と特性によって類別して管理される場合があります。そのほかにも製造業での組立品・加工品・購買品、資産として区別する製品・半製品・仕掛品など様々な呼び方が存在します。

1.品目の属性
現在、FileMakerで製作中の販売管理システムでは以下の属性で品目を類別します。

 0.通常商品
  一般の商品で、仕入先から納入され販売するものです。
  製品以外の品目(商品・原材料・素材・消耗品など)が該当します。

 1.セット商品
  通常商品を複数組み合わせた一つの商品を指します。
  伝票入力の時に指定することで構成する通常商品が画面に展開されます。
  (この時、指定したセット商品は画面からは削除されます。)

 2.完成商品
  いわゆるBOM(部品表)を構成する最終の品目を指します。
  単一階層(サマリー型)の場合、下位構成品としては通常商品のみです。
  多段階の階層(ストラクチャー型)の場合、下位構成品としては中間品と通常商品となります。
 ※現在のバージョンでは未対応としています。

2.在庫管理
2.1.数量
商品別倉庫別に在庫を管理します。
直送された商品は架空の倉庫としての「直送倉庫」を使用します。
・直送仕入 ・・・ 「直送倉庫」に入荷されます。
・直送売上 ・・・ 「直送倉庫」から出荷されます。

2.2.評価単価
商品別に在庫単価を計算します。 注)倉庫別には計算しません。
現在、FileMakerで製作中の販売管理システムでは以下の評価方法で計算します。
 0.標準原価
 1.最終仕入
 2.月別総平均

注)移動平均も当初検討しましたが、この方法を採用し価値を見出すためには各種伝票入力の内容が正しく且つ正確なタイミングで運用されることが前提となります。一時的に在庫数がマイナスになったり、仕入の入力が遅延し先に売上(出荷)してしまったりなど、考慮すべきことが発生します。

2.3.在庫の集計と評価計算
特に仕入(入荷)と売上(出荷)については、伝票登録時に即時更新し、在庫数を変動させる仕組みを多くの企業では採用されていると思います。
但し、いわゆるバッチ処理にて在庫を集計して更新する仕組みも用意しているのが良心的?なitベンダーと思います。

FileMakerの場合、Oracleなど一般のRDBMSが実装しているトランザクション制御機能が存在しないため、特に伝票入力で即時更新を行っている場合は上記下線の処理は必須であると思います。
FileMakerでもトランザクション制御機能は存在するとの情報もあるようですが、①複数テーブルに対して同時にレコード単位の明示的なロックと解放などの機能が存在しないこと、②commit/rollbackによる現行のトランザクション中にデータベースに加えられた変更をすべて確定またはすべて取り消しの機能が存在しないことにより、おそらく一部分(親子のリレーションだけの世界)かつ一時的(一つのレイアウト・ポータル)なことを言われているのではないかと思います。

話を戻します。
現在、FileMakerで製作中の販売管理システムでは伝票入力での即時更新は採用せず、上記下線の処理を「月次集計」として実装しています。現時点での在庫数を確認する場合は、最終月次年月の在庫数を基点として現在までの受払を集計した値を表示させるようにしています。

3.月次集計
詳細は記載しませんが、最終月次更新日(年月)の残高を基点として、入力されている伝票の最も新しい日付(年月)までの集計を、年月単位に実行します。
この時、在庫の確定は行っていません。(何回でも集計は実行可)


例)最終月次更新日(年月)                 : 2022年1月
  入力されている伝票の最も新しい日付   : 2022年7月

        ↓    (作成されるレコード) 

         2022年2月 ・・・ 売掛残高、買掛残高、在庫残高
   2022年3月
   2022年4月
   2022年5月           同上
   2022年6月
   2022年7月

4.商品元帳

 年月、倉庫コードを指定すると在庫残高の該当レコードが表示されます。
表示したい商品に✔して、画面上部の[元帳]ボタンをクリックします。



(テストデータなので当月末在庫がマイナスになっています。)
在庫明細は以下伝票より作成されています。

1)売上入力
  明細区分が、[出荷] または [出荷返品] のものです。
  伝票番号は売上伝票と同じ番号です。
  金額は在庫評価計算後の単価で再計算(洗替)されています。(出庫原価金額)
2)仕入入力
  明細区分が、[入荷] または [入荷返品] または [入荷(値引)] のものです。
  伝票番号は仕入伝票と同じ番号です。
  金額は仕入入力した金額がそのまま集計されています。
  ※入荷(値引)は、いわゆる商品値引の明細です。 ※伝票値引ではありません。
3)在庫関係
  以下伝票入力から作成されます。
   ・出庫入力
   ・倉庫移動入力
   ・完成品入庫入力
   ・完成品解体入力
   ・在庫棚卸処理
  金額は在庫評価計算後の単価で再計算(洗替)されています。

  注)ここでの洗替とは、低価法での洗替法とは違います。
    単純に再計算という意味です。


以上です。


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