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Retro-gaming and so on

風の谷のナウシカ

噂がある。
ただ、色々考えると信憑性が高い、としか言いようがない噂だ。

徳間書店が制作した劇場用アニメ第一弾(※1)、宮崎駿原作の「風の谷のナウシカ」。
元々、音楽制作を依頼したのは元Y.M.O.の細野晴臣だった、と言う話だ。
そこで細野サイドは宮崎駿とミーティングを行い準備をしてたが、いつの間にやらその話は立ち消えになってしまった、との事。
どこかで細野さんが

「相性が悪かったんですかねぇ。」

とか言ってたような気がする。
いや、だからこそ「信憑性が高い」んだ。
宮崎駿は共産主義者だ。本人はもう止めた、とか言ってるみたいだが、1984年のこの時点、間違いなく宮崎駿は共産主義者であって、ナウシカと言う映画のメッセージを鑑みえば分かるだろう。このアニメ映画は共産主義者のメッセージで塗り固められてる話だ。
従って、共産主義とかそんなものと関係ない立ち位置の仏教徒、細野晴臣、と言う人間と相性が良いわけがないんだ(※2)。
つまり、細野さんとのコラボが立ち消えになった原因は音楽性がどーの、って問題でなく主義主張が違ったって事なんだろうな。こういう仕事の切り方を共産主義者は良くやる。
そして代わりに白羽の矢が立ったのが、その後宮崎アニメの常連になった久石譲ってわけだ。

ちなみに、細野さんはこの頃から「環境音楽」と言うコンセプトで難解な楽曲を発表していくようになり、同時にアニメの劇伴も引き受け、「銀河鉄道の夜」「源氏物語」と言う二作で極めて難解な劇伴を披露している。

閑話休題。
さて、そういう二人の天才、幻のコラボ、となった「風の谷のナウシカ」だが、一方、唯一この当初の企画の仕事として残ったのが木梨憲武の嫁のデビューシングルである「風の谷のナウシカ」だ。
木梨憲武の嫁、はメディアミックスを仕掛けようとした徳間書店の意図によるナウシカガールコンテスト、と言う新人アイドルオーディションの受賞者で、ナウシカガールとしてデビューした。
その宣伝戦略の一環で、「レコードデビュー」と言うモノが付いてきたんだな。
そして、後の細野さんのアニメ劇伴は難解化の道を辿ったが、唯一この曲のみ、が当時のポップス範疇に入ってる制作曲となる。

ところで、細野晴臣、と言うミュージシャンは僕が大好きな音楽家の1人ではあるが。この木梨憲武の嫁が歌った「風の谷のナウシカ」。僕は全く評価していなかった。
と言うのも木梨憲武の嫁の歌が超ヘタクソなのである。
もうホント、それで全ておじゃんだ。
どんなに良い曲だろうと、歌が下手なら成り立たないんだ。当たり前の話だ。
僕がアニソンを大して評価してないのもそれが理由だ。どんないい曲を書こうと、歌がヘタクソなヤツに歌わせれば「作品としてはそれはゴミ」なんだ。
最近だと、RWBYと言うアニメのエンディングで誰かが金切り声で歌ってたりしてまさしく騒音公害だったわけだが。
もっとも、80年代のアイドルブームとか、ホント、歌が下手なヤツのレコードがガンガン売れてたわけで、音楽って所詮そういうビジネスなんだよな、って事なんだが。
いずれにせよ、結果、さすがの細野さん作品だろうと「風の谷のナウシカ」って曲がどれくらい良い曲なのか、ってのはサッパリ分からなかったわけ。

とまぁ、僕の、シングル「風の谷のナウシカ」の評価はサイテーだったわけだけれども。
フランス人のボサノヴァ歌手、クレメンタイン(※3)、がこの、細野さんの「風の谷のナウシカ」をフランス語でカヴァーしてる。
これがビックリする程良い
遅ればせながら、今更、細野さん作曲の「風の谷のナウシカ」のメロディラインの良さ、ってのを実感した次第だ。切なく、甘い。
御覧じろ。

Clementine - 風の谷のナウシカ

やっぱ歌が上手いヤツはいいね。人類の至宝だ。木梨憲武の嫁たぁ大違いだ。

※1: この時代、とにかく徳間書店は、印象的には角川の後追い、と言うカンジだった。
この「風の谷のナウシカ」制作も、明らかに角川が参入したアニメ制作に対して対抗心があったんじゃないか。

※2: 細野さんが仏教大好きな人、ってのも有名。「宗教が死んだ」とする共産主義者と相性が悪いのは当然だろう。

※3: 英語読み。本当はフランス語ではクレモンティーヌ。女性名だ。
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