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Retro-gaming and so on

お屠蘇がない

この時期が嫌いである。

いや、昔はそうじゃなかった。
しかし、今は毎年毎年どんどん嫌いになっているのである。
原因はハッキリしてる。
屠蘇散が売ってないのだ。

皆、正月は酒のんで寝て、ってんで楽しみなのかもしんない。
しかし、僕は年々億劫になっている。
正月のお屠蘇を仕込もうと思っても、屠蘇散が売ってないのだ。屠蘇散を探し回るのに疲れるのだ。
そして毎年、「屠蘇散がなんぞや」を説明するのが億劫なのだ。
アタマに来るのが薬局でさえ売ってないし(原理的には漢方薬の一種である)、挙げ句の果て、店員が

「屠蘇散って何ですか?」

とか聞き返すのだ。薬局の店員が、だぜ?
お前らお屠蘇を飲んだ事がないのか。本当に日本人なのか。
今日なんか、

「お屠蘇って何ですか?」

と宣う若い女性店員さえいた。

「正月に飲むお酒で・・・・・・。」
「お神酒ですか?」

バカタレが
そりゃ神社で出すやつでお屠蘇とはちげーよ。
どいつもこいつも・・・・・・。
結構可愛い女の子だったんで、怒りまくるワケにもいかなかったんで、笑って流しておいたが、一体最近の日本はどーなってんだ。
まぁ、一説にはバカな女程可愛い、とか言うけど、生憎俺の趣味ではない
お屠蘇を知らんのか。お屠蘇を飲んだことがねーのか。
まさか正月に清酒飲めばそれがお屠蘇だと勘違いしてんのか。
マジで頭痛がしてくる。

以前、Twitterをやってた頃にも愚痴った事があったが、事実、そこでも

「屠蘇散て何?」

と言うレスが来て呆れたモンである。
お前ら、文化、っつーものを知らんのか。
屠蘇散を使わねばお屠蘇になんてならない、なんて常識だろ、って言いたいトコなんだが。
こうも屠蘇散を知らんエセ日本人が増えたトコ見ると、俺が持ってた常識ってのは常識じゃなかったのか、とか思い始めている。
怖い。
俺はひょっとして異世界に迷い込んでるのか。

マジでお屠蘇を知らんヤツがいるかもしれんので、一応作り方を説明しておく。
用意するのは日本酒、みりん、屠蘇散の三種類だ。
基本的には日本酒とみりんを1対1の割合で混ぜておいた酒液に屠蘇散を入れて一日くらい漬けておくだけ、である。
ただ、日本酒とみりんが1対1だとちと甘すぎるかもしれない。好みで2対1とか3対1とかにしてもいいだろう。
しかし、繰り返し言うと、屠蘇散を入れなければそれはお屠蘇ではないのだ。
つまり、牛肉抜きの牛丼とか、牛肉抜きのビーフカレーとか、そういうおかしな物体と同じになってしまうのだ。
覚えた?

ちなみに、屠蘇散は平たく言うとシナモンを中心に組み立てた一種漢方薬である。陳皮なんかも入ってる場合があるのかな。
いずれにせよ、かつては、薬局が年末、正月に備えて屠蘇散を入荷して売ってたモンなんだが、薬局はかなりの確率でそういうシーズンモノの営業努力を怠るようになってきてる。

少なくとも、東日本での屠蘇散の入手可能性はマジで年々減ってると思う。
そして店も「売れないから」扱わない、とか間違った対応をしてる。君らもマーケティングとしては消費者を啓蒙せんとアカンよ。
それよりも悪いのは消費者かもしれんがな。酒さえ用意しとけばそれを正月にはお屠蘇と呼ぶ、ワケじゃねーのだ。そして屠蘇散を知らんガキが増えてる、ってのは大人の責任なんだ。
キチンと文化を伝えろよ。

マジで、俺は年々増してる「屠蘇散が売ってない」状況に目の前が暗澹たるものになっている。
そして「お屠蘇が何か」知らないヤツが「日本の文化が〜」とか言っても絶対信用しないようになってるのだ。

ホント、この時期は大嫌いである。

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