海自いじめ自殺訴訟 国と元上官に賠償命令、7300万円に増額
海上自衛隊の青年の自殺をめぐる裁判です。
東京高裁は、23日の判決で国の責任を認め、一審を大幅に上回る賠償額の支払いを命じました。
また、国側が重要な証拠を「捨てた」と回答していたことについて、違法な証拠隠しと厳しく指摘しました。
遺影を抱え裁判所に向かう母親。
所属する海上自衛隊でいじめにあい、自殺した息子の裁判は2回目の判決を迎えました。
「元上官と職場の上司は、男性隊員の心身の状況を容易に把握でき、自殺を予見できた」
23日、東京高裁は、「上司らが元上官のいじめについて、適切な指導をしていれば、男性隊員の自殺は回避された可能性がある」として、国側の責任を認め、
賠償額7300万円あまりの支払いを命じました。
一審の440万円から大幅の増額。その理由は、控訴審で明らかになった「新たな証拠」です。
男性隊員の自殺直後に隊員190人にとられた「艦内実態アンケート」。
いじめの実態を示す重要な証拠ですが、国側は、一貫して「防衛秘密」「すでに破棄した」と主張していました。
しかし、控訴審の途中で現役の自衛官がその存在を告発し、国は一転公表しました。
そこには男性隊員へのいじめが明確に書かれていました。
「国の担当者が アンケートの存在を認識していながら、隠匿した行為は違法である」
東京高裁は、国が初めから文書を公表しなかったことについて「証拠隠し」と認定し、「遺族は主張立証の機会を奪われた」と厳しく指摘しました。
「息子の命に対する(国の)責任が(判決で)通らなければ、勝ったとは言えないので良かったです」(自殺した隊員の母親)
10年かかってようやく認められた国の責任。
告発した自衛官は判決を傍聴し、「遺族の方がこれで前向きに生きていかれれば」と話しました。
しかし、長い年月の中で失われたものはあまりにも大きいのです。
「もっと早く文書が出ていれば、(夫が)生きていたという思いは変わらない。隣で一緒に判決を聞きたかった」(自殺した隊員の母親)
防衛省は、「判決内容を慎重に検討し適切に対処してまいりたい」とコメントしています。
(2014年4年23日23:33)
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