
手持ちの自転車を電動アシスト化して公道を走ることはできますか?
Quoraという質問サイトで自転車スペシャリストに質問が飛んできた。
私は三河屋幾朗という営業名で「回答千本ノック」に挑んでいる。
スポーツバイクに乗って45年。自転車スペシャリストなら知っていなければならん。
というわけで、シコシコと調べてみた。
結果は「無問題!」なのだが、そこにはイロイロあることが分かった。
ここで、それを全公開してみよう。
以下はQuoraに私が書いた回答だ。
結論から言うと「自作で電動アシスト化」しても問題はありません。
疑問を整理すると次の3つでしょう。
- 型式認定は必要か?
- 電動アシストではなく電動化(ペダル踏まなくても進む)は可能か?
- 安全基準マークが無いと公道は走れないのか?
法律的縛りは山田耕司さんが述べている様に「道路交通法施行規則第9条2」の基準適合は必須ですが、恐れることはありません。
以下詳しく述べていきます。
型式認定は無くても法律的に何ら問題はありません。これはメーカー側が気にすることで、自己責任で行う自作での電動アシスト化には何ら問題ありません。なぜメーカーが気にするかというと、将来、型式認定が無いものは政府から生産中止命令が下る場合が「あるかもしれない」という予防措置からくるものです。また、驚くかもしれませんが、型式認定があるからといって販売店が修理してくれる保証はありません。所詮は自転車です。自賠責保険もかかっていない乗り物です。修理を受けるか否かは販売店の気分次第です。
電動化については法律違反なのでNGです。違法ですから警察の取り締まり対象になります。アシストでない電動化は絶対にやってはいけません。電動バイク扱いになります。
安全基準マークについては、無いと公道を走っていけないなどということはありません。安全基準マーク付きを買うと安心、販売店もそれを唄うので、買う側の目安となります。自作で電動アシスト化すること自体、メーカーが作ったものから逸脱するので、メーカー保証部分も受けられなくなると思って良いでしょう。つまり、販売店から1年保証付きで買っても、改造した時点で保証は受けられないと考えるべきです。また修理を拒否されることも覚悟してください(はなから自己責任で改造するので、それが出来るスキルが有ることが前提なので実はたいしたことではないですが)。なお、販売店が後付け電動アシストキットで実装するのなら、販売店の保証次第なので聞いてみて下さい。
さて、核心部の電動アシストについて述べます。ここは重要です。日本独自です。海外のキットを組み込んだ場合でも、これに適合しないと公道は走れません。ヘルメット着用、ナンバー付きで原付免許が必要です。ウインカーなどの保安部品も新たに装着しなければなりません。
条件は簡単に言うと、
- 乗る人がペダルを漕がないと走行しない構造であること
(つまり電動化は不可) - 時速24キロメートルまでアシスト機能が働き、時速24キロメートルを超えると補助がなくなること
さらに詳しく言うと、
- 原動機が電気駆動であること
- 24キロ以上でアシスト機能は無くなること
ヒトのチカラ:原動機が補うチカラの比率は
- 時速10キロ未満⇒ 人:アシスト=1:2
- 時速10キロ以上24キロ未満⇒ 人:アシスト=1:2-(速度ー10)÷7
24キロ未満がややこしく見えるかもしれませんが、時速24キロになると2-2でゼロになるのでアシストは切れるという意味合いです。
詳しくは下記法令を読んでください。
(改定が繰り返されるので、くれぐれも最新のものを自力で検索すること!)
第一条の三 法第二条第一項第十一号の二の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
1 人の力を補うために用いる原動機が次のいずれにも該当するものであること。
イ 電動機であること。
ロ 二十四キロメートル毎時未満の速度で自転車を走行させることとなる場合において、人の力に対する原動機を用いて人の力を補う力の比率が、(1)又は(2)に掲げる速度の区分に応じそれぞれ(1)又は(2)に定める数値以下であること。
(1) 十キロメートル毎時未満の速度 二(三輪の自転車であつて牽けん引されるための装置を有するリヤカーを牽けん引するものを走行させることとなる場合にあつては、三)
(2) 十キロメートル毎時以上二十四キロメートル毎時未満の速度 走行速度をキロメートル毎時で表した数値から十を減じて得た数値を七で除したものを二から減じた数値(三輪の自転車であつて牽けん引されるための装置を有するリヤカーを牽けん引するものを走行させることとなる場合にあつては、走行速度をキロメートル毎時で表した数値から十を減じて得た数値を三分の十四で除したものを三から減じた数値)
ハ 二十四キロメートル毎時以上の速度で自転車を走行させることとなる場合において、原動機を用いて人の力を補う力が加わらないこと。
ニ イからハまでのいずれにも該当する原動機についてイからハまでのいずれかに該当しないものに改造することが容易でない構造であること。
2 原動機を用いて人の力を補う機能が円滑に働き、かつ、当該機能が働くことにより安全な運転の確保に支障が生じるおそれがないこと。
チャレンジャーのあなた、自作電動アシスト化はもうこれでバッチリですね!
自転車をめぐる法律は目まぐるしく変わっています。また各地方自治体によって独自の縛りを設けているものもあります。例えば二人乗り自転車が良い例です。長野県では乗れても東京では乗れません。自作で電動アシスト化する時は、住んでいる地区の状況を調べてから行うことをお勧めします。
結論:メーカーが完成車として保証するものではないので、全て自己責任であることは言うまでもありませんが、「自作で電動アシスト化」しても公道は走れます。
Wikipediaのページも添付しておきます。
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とまあ、こんな感じだ。やる気出てきたかな?
過去に電動アシストの付いたスポーツバイクについて書いたのは2015年だ。
振り返ってみよう。
VELO TOKYO 2015でヤマハYPJ-Rを見てきたが
じつにダサい。
4年半が経った。この時、ヤマハをクソミソに書いたが、想像通りセンスのないヤマハは時代遅れになった。MTBに特化している間に、シマノが電動アシスト用コンポーネントをフルラインで揃えてきた。海外はBoschが主流。そのうちカンパもやってくるだろう。パナソニックも頑張っている。
おっと、最近気になるコンテンツを見つけた。ブリジストンガ2月に出す前輪駆動式の電動アシスト車がカタログ値の130キロを遥かに超える航続距離を記録したテストの記事だ。ブリジストンがやったのではなく、トーシローが自転車道を走ってテストしている。これは一読に値する。
最大航続距離130kmの電動クロスバイク「TB1e」で新宿から千葉の銚子を目指したら、メーカーすら想定外の結果になって関係者全員笑った
マジかぁ!
こいつぁ凄い。確かに笑うしかない程の高性能だ。
ほどなく航続距離は200キロを超えるだろう。
今年還暦の鉄人チャリダーには嬉しい時代がやってきた。
ふふふの@BE2
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