「寺田本家」酒蔵見学 / "Teradahonke" sake brewery tour

2019-03-17 | 日本酒 / Sake
日本を代表する
"自然派"な日本酒の蔵元
「寺田本家」さん。

同蔵の一般公開は、
基本的に、毎年、この時期に
町を挙げて開催される

"発酵"のお祭り
「お蔵フェスタ」のみ。


そのもようをレポートします。


【洗う】
ガイド役の蔵人さん曰く、
全仕事の半分以上は
「洗い」とのこと。

(精米したお米や、
醸造に用いる道具etc)

10kgのお米を、
1分かけて2度洗います。
多い日は1日に1㌧。

5~6人体制で
2時間半かけて100回(!!)
繰り返します。


※(女性の)蔵人さん曰く、
「よく蔵人の手(肌)は
 ツルツルと思われがちですが、
 大変な水仕事で、水温の下がる
12月~2月が最も過酷」とのこと。

また、洗うときの"しゃがむ"
姿勢も、腰へのダメージが
大きいようです。

※伝統の下、手作業を重んじる
 寺田本家さんならではですね!

こうして、洗い終えたお米に
水を加えて「浸漬」します。

【蒸す】
大きな釜の上に乗せた
甑(こしき)でお米を蒸します。
(これも新人さんの役割)




※現在は、ボイラーを
 活用しているが、かつては、
 薪をくべていたため、
 温度管理に熟練の技能が
 必須であった。





こうして、蒸したお米を
一定の温度まで冷まします。

※冷ましたお米の保温に使われる
 "麻布"は、戦時中から
 受け継がれています。


【麹づくり】
蒸した米に麹カビの種を蒔き、
麹室(こうじむろ)と呼ばれる
温室で、カビを繁殖させます。


※このとき用いられる
"種麹(たねこうじ)"を、
ほとんどの蔵元が、もやし屋
と呼ばれる(全国に5社ほどの)
専門店から購入する中、

寺田本家では、自家培養に挑戦し、
2016年冬の仕込みから、同蔵に
生息する蔵付の麹菌を採用!




※ここで、興味深い質問。
「日本酒の醸造と
納豆(菌)について」

よく、納豆菌は麹づくりの
天敵であり、

他所では「蔵見学の当日に
納豆を食べないように」
注意される、話も聞きます。

これついて、蔵人さんは、
「体に付着していたり、
 食べた手を洗わないのは
 御法度ですが、当日の朝に
食べることは問題ない」とのこと。

なぜなら、

日本酒を醸す空間(=蔵の中)は、
元々、雑菌が存在、共存しており、
そのバランスを保つことが重要。

さらに、蔵人さんが、
ユーモアたっぷりに続けます。

「来週から仕込みが始まります。
本日、お越しいただいた皆さんが
蔵の中に持ち込まれた様々な菌も
お酒の味わいに影響しますので、
今年の秋に出来上がりますお酒も
楽しみになさってくださいね☆」

【酒母づくり】
次工程「もろみづくり」において、
もろみを発酵を促すために必要な
「酵母」を育てます。


"半切り桶"という小さな桶に
麹・蒸米・仕込み水を入れ、

「酛摺り唄(もとすりうた)」を
歌いながら、櫂(かい)を用いて、
2人1組、リズム良く攪拌します。


※多くの蔵元が取り入れる
「速醸酛」という酒造法では、
人工的な「乳酸」を添加し、
本工程を14日間程度で完了させますが、

同蔵では、蔵に生息する
酵母や乳酸菌、硝酸還元菌といった
自然の力を借り、30日以上を
費やします。(=生酛づくり)

そうすることで、

一般的なお酒よりも、
乳酸の酸味がきき、
アミノ酸を多く含み、
旨みが濃くて香りも複雑な、
"味わい深い"お酒が生まれます。

※お燗で旨みが膨らむのも、
 このような自然の生命力を
 最大限に活かしたお酒ですね!

「酛摺り唄(もとすりうた)」の
 動画はコチラ(YouTube)

(※フェスタ会場ではCDも販売!!)

【仕込み/もろみづくり】
麹と酒母(酛)がそろい、
いよいよ、
日本酒づくりの本番です。

酒母に、麹・蒸米・仕込み水を
加えて、原酒となる「もろみ」を
30日以上かけて発酵させます。

この仕込みは、
「初添/中添/留添」の
3回に分けて行われるため、
「三段仕込み」とも呼ばれます。

※なお、同蔵では、
ホーロー製のタンクに加えて、
伝統的でナチュラルな

"木桶仕込み"にも取り組んでおり、
今後も一層注力していきたい、
とのこと。


【上槽(じょうそう)】
こうして、仕込みを終えた
「もろみ」は、圧搾して、
新酒と酒粕に分けられます。

新酒は、夏の間、
じっくりと熟成され、

酸味・旨みにまるみが出て、
バランスの取れた味わいとなる
9月9日(重陽の節句)以降に
出荷されます。

・・・・・・・・・

以上、日本を代表する
"自然派"日本酒の蔵元
「寺田本家」さんの醸造工程の
駆け足レポートでした!

僕自身、日本酒も"飲む専門"で、
蔵元を見学した経験は
数えるほどしかありません。

今回は、これまでのような
"速醸酛"ではなく"生酛"づくり、
さらに「種麹」を自家培養する

おそらく、
最も原始的/伝統的な酒蔵を
見学することができ、

とてもワクワク
&勉強になりました☆


・・・・・・・・・

【おまけ】
今回、築地の
自然派ワインショップ
酒美土場さんの企画する
バスツアーで訪問したのですが、


なんと!
酒々井インターチェンジから
ヒッチハイカーも合流。


※招き入れた酒美土場のIさんも
 なんともまぁ凄いのですが、
 ヒッチハイカーさんもまた凄い。

岡山県の某酒蔵の蔵人さんで、
お蔵フェスタ目指して、
昨夜8:00に出発し、
7台を乗り継がれた、とのこと。

※ちなみに、帰り道も(都内まで)
 ご一緒しましたが、
 やはり岡山までヒッチハイク
 されるようです(笑)

フェスタからの帰りの車内。
"岡山さん"が進んでマイクを握り、

ご自身の蔵でも醸造されている
「菩提酛(ぼだいもと)づくり」の
特別レクチャーをご披露!

さらに、
サービスエリアの休憩中には、
僕の好奇心満々な質問にも
快く応じてくださり、

(本日の蔵見学と併せて)
日本酒に対する理解・関心が
ますます深まります。

"岡山さん"(そしてIさん)、
ありがとうございます!

・・・いやぁ、濃い1日でした。

※※
フェスタ会場のもよう(写真)も
改めて、アップしますね!
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