旅人

テレワーク中のランチをどうにかすべく、隣町まで出かけた。
たまたま入ったMUJIにて、柿の種チョコを買おうかなでもこれってランチじゃないよねと逡巡しつつレジに並んでいたら、前のお兄さん(Black)が
｢荷物をここでなくしたんだけど見なかった？｣
と英語で聞いていた。そのレジに店員さんが4人集まっているものの、nobody speaks English状態で、レジが滞っていた。コレは、色々ムリかも…と思い、とりあえず｢なんかわかんないことでも？｣と英語でBlackのお兄さんに聞いてみた。
｢パソコンを入れたビジネスバックパックがなくなった｣
とのことだった。
｢MUJIの前はABCマートにいたが、そこにもなかった｣
とうったえていた。
隣町、ちょっと置いたものが持って行かれるくらい治安が悪いのか？…と思いつつ、埒が明かないので
｢ABCマート行ってみる？｣
とたずねると、そうしたい！ということで一緒にABCマートへ行くことにした。
｢中にはノートパソコンと国のIDカードと、運転免許と、USBが入っているんだ｣
そうか、それは大変なことだなと聞きながら、この時点で、この旅人を放置することができないことになったことを悟った。ランチタイム終了まであと55分。
ABCマートでは、
｢ここに座って、靴を試着している時にバックパックを置いた。気がついたらなかった。」
と言っているので、店員さんに聞いてみたところ
｢イヤ、さっきも来たんですけど、ないです｣
｢店に入ってきた時には既に持っていませんでしたよ｣
ということなので、一体この店に来る前はどこにいたのか？と聞いてみたら、都営地下鉄で岩本町から来たとのこと。トイレに寄ったというので
｢駅のトイレに入らせてもらおう｣
と駅員さんに許可をもらって、駅のトイレを探したところ、バックパックはそこにはなかった。まあ、トイレに置いてあればそのままにするか、届け出るだろう日本なら。
｢どうしたらいい？｣
とお兄さんに聞かれたので、じゃあ交番行きだな！と近所の交番へ行くことに。
お巡りさんは、さわやかな若者×2！
｢この彼が、パソコンの入ったバックパックをなくしたみたいです｣
と言ってここで｢それではごきげんよう！｣ができるかと思ったら
｢え？カップル？｣
みたいな反応されて、
｢違います、我は行きずりの通行人Aです、エイゴチョトシャベレマース｣
みたいな自己紹介をしたら、
｢じゃあ、ちょっといてください｣
と言われてそこから聞き取り開始。ここまでで我のランチタイム残り45分。
お兄さんの名前を聞いたのだけれど、国がコートジボアールということで、ネイティブフレンチのため、我には難読？難聞すぎて再現できない。脳内イメージがジュヴヴィォウヮみたいな感じで表現されて、ミドルネームは分かりそうな、サイモン？え、なんだっけと既に覚えていない。
お巡りさんも
｢じゃ、ここに名前your name書いて、ぅゎっ読めねー…｣
申請書(調書)はたんに何語でもいいから書けばいいらしい。
｢書き直すから大丈夫です、ぅえっ、でも読めない…｣
そして、親切にもうひとりが
｢ちょっとショッピングモールに行ってみますね｣
と見に行って下さった、お巡りさん優しい！
Bob(名前を聞いても分からなかったので、心の中でこう呼んでいた)の話を聞くに、政府から派遣されてJ○CAの研修に参加していたらしい。今日は朝から秋葉原へ出かけて今に至るとのこと。
｢おいた荷物を持ってかれちゃうところなんですか、ここは？｣
と聞いたら
｢うーーーん、全くないってことはないと思います｣
そうか、そんな治安なのね、隣町。
｢まあ、でも金目のものっぽくないので、そこらへんに放り出されて置いて行かれると思いますよ｣
と言っていた。一方Bobは
｢出てこないとクビになるかもしれない｣
と言い出して、そうか、そんな重要なカードを持ち歩いているのか、でもパスポートはケツポケに突っ込んであるし、マネーもポケットインだ。無造作。
長くなったので to be continued