21世紀新訳・仏教経典(抄)

西川隆範編訳・桝田英伸監修

自己について-法句経  その12

2011-01-09 19:53:07 | 経典
「もろもろのこと」より

“他人を苦しめることで、自分の快楽を得ようとする人”は、
“恨みの絆”に縛られて、〈恨み〉から逃れることはできない。



「象として」より

“戦場の象”が矢に射られても耐え忍ぶように、私も人々からの中傷を耐え忍ぼう。
多くの人々は“たちの悪い性質”を持ち合わせているものだから。
(古代インドでは、戦争の際、よく調教された象を戦車のように用いた。)


いかに素晴らしい驢馬や馬や象であっても、
“それらの乗り物では到達することの出来ない地(=涅槃の境地)”がある。
ただ〈慎みのある者〉だけが、自分を制御してそこへと到るのだ。


もしも〈思慮深く、正しく暮らす、確かな人〉を道連れとできるなら、ともに行くがよい。
ともにあらゆる苦難に打ち勝ち、喜び、歩むことだろう。


もしも〈思慮深く、正しく暮らす、確かな人〉を道連れとできないのならば、
“国を捨てた王”のように、“林のなかの象”のように、ひとりで行くがよい。



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