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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

ヘンダーソン夫人の贈り物

2007-02-05 | 映画
莫大な遺産を相続して未亡人になったヘンダーソン夫人(ジュディ・デンチ)は、未亡人の先輩の友人からアドバイスされた慈善事業にも手芸にも興味が持てず、たまたま通りすがりに見つけた閉鎖中のオンボロのウィンドミル劇場を衝動的に買ってしまう。
と言っても興行に関して素人の夫人は、有能なオランダ系ユダヤ人ヴァンダム(ボブ・ホスキンス)を劇場支配人として雇いい入れてミュージカル・ショーを上演しようとする。
しかしこの2人、オーディションや演目選びで事ある毎に衝突している。熟練のベテラン2人の遣り取りが最高に面白い。
ボードヴィル・ショーでなんとか観客を維持したものの、それも陰りを見せてきた時にヘンダーソン夫人が提案したのがヌード・レヴュー。それには、夫人の個人的な理由があることが後で判明するのだが…。

当局に裸の許可を取り付けるためにヘンダーソン夫人が行った手練手管の説得や、ラスト近くの劇場閉鎖命令に対抗する彼女の演説は、この映画でのジュディ・デンチの見せ場となっていて、快哉を叫びたくなるほどスカッとする名場面だ。
また最初は裸を躊躇していた娘たちが、男たちも裸になるならと、支配人を含む男性スタッフ・キャストをスッポンポンにさせる場面では、「やっぱりユダヤ人だったわ」と言う夫人の支配人へのコメントには大笑いさせられる。

ドイツ軍によるロンドン大空襲下でも、上演を続けて風車(ウィンドミル=劇場名)を回し続け、”We never closed”と劇場に灯りを点し続けた夫人。これこそショービジネスの原点”Show must go on”である。
バックステージ物に人生のほろ苦さをミックスした、粋な大人の映画である。


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