「可愛いいなぁ…。」
通信を終えたカガリ・ユラ・アスハ代表首長は独り言ちた。
元戦友かつ元部下のミリアリアが顔グロパツ金エロスマンとの間に子を授かり、他国で出産したのはつい先日のことだ。
スカンディナビア公国への正式訪問予定は来週なので、今は通信でしか話せないし映像しか見れない。
それでも、幸せそうなミリアリアと赤ちゃんを見ていると、平和への誓いをあらたにするのだった。
お祝いに送ったオーブ原産の大ぶりなユリ『ゴールデン・アスハ』も無事病室に届いていて、一安心だ。
アスハ家所有のとある島にだけ咲くこの花は近年品種改良が進み、切り花として需要が増えている。
来年は輸出も視野に入れて…と思いめぐらしていた時、補佐官のサイ・アーガイルが呼びに来た。
定例記者会見の時間だ。
今日は来週のスカンディナビア公国訪問についての発表と記者からの若干の質問を受ける程度の予定だった。
ところが耳ざとい記者から、予期せぬ質問があがった。
「アスハ代表の元部下の女性と元フェブラリウス代表議員の子息との間に子供が生まれたそうですね。
第2世代コーディネーターの出生率が下がる一方の現状で、ナチュラルとの婚姻が少子化の歯止めになるとお考えですか?」
「政策として、婚姻統制のようなことは望まない。命は作り出すものではなく授かるものだからな。
だが、ナチュラルでもコーディネーターでも子供を望めば養育の支援はやぶさかではない。
医療費や学費の補助などはこれからも検討すべき課題と考えている。」
無難な回答に側にいたサイも満足げだ。しかし、ここでさらに突っ込んだ質問が飛び出た。
「アスハ代表ご自身のご結婚・出産についてはどのようにお考えですか?」
一瞬、アスランの顔が頭によぎる。が、二人の間に具体的な進展はまだ望めない状況だ。
トーヤに全てを任せるにはまだ荷が重すぎる。
「次世代が育ってきていることだし、遅かれ早かれ代表首長の座を降りる日は来る。
トップがいつまでも同じだと必ず閉塞してしまうからな。
何時とは言えないが、いずれはするかもしれないとだけ答えておこう。」
ここでサイが、そろそろ時間ですので、と会見を引き上げようとする。
「では代表交代後に婚活を?」
「いや、妊活が先だろう。結婚はいつでもできるが出産できる年齢は限られるし子育てには体力がいる。
早めに優秀な遺伝子を提供してもらうつもりだ。」
爆弾発言に記者団および補佐官・護衛・報道スタッフ一同が仰天する。
「会見はこれにて終了です!」
すかさずサイが叫び、護衛と一緒に代表を強制的に会見室の外へ連れ出した。
一拍遅れて記者達が騒ぎ出す。執務室ではお歴々が眉間にしわを寄せて待っていた。
ついさっきまでミリアリアの赤ちゃん可愛い可愛いと言ってたからなぁ、とサイはため息をついた。
出向先から戻る途中、アスランはオーブ国内のニュースに目を疑った。
どのメディアもアスハ代表の妊活宣言を取り上げ、まじめに、あるいは面白おかしく報道している。
ネット上ではさらに過熱しているとメイリンが楽しそうに報告してくる。
なんとしても直接会って話がしたいと、分刻みの代表首長のスケジュールの隙間を狙い、
スカンディナビア公国訪問のため空港へ向かう車に護衛として同乗した。
「なんで通信に出なかった?」
「いやぁ、おまえ、怒ってるみたいだったから…。」
「怒ってはいない、あきれてるだけだ。どうして公の会見で妊活なんて言ったんだ?
あんなこと言ったら騒がれると予測できただろう?」
「そんなにダメなことなのか? 子供を産み育てることは自然な営みだぞ? 」
どこまでもまっすぐなカガリに、アスランは嬉しいような虚しいような気持ちでため息をついた。
「ミリアリアの赤ちゃん、可愛かったぞ。私も人として子供を育ててみたいんだ。だから、あの…」
急に下を向き耳まで赤くしたカガリを心配して、アスランは具合でも悪いのか?と肩に手をかける。
そのアスランの腕を両手で掴んだカガリは俯いたまま呟いた。
「おまえの遺伝子、もらえるよな?」
その日以来、ディアッカと頻繁に連絡を取り合うアスランを生温かく見守っているメイリンであった。
通信を終えたカガリ・ユラ・アスハ代表首長は独り言ちた。
元戦友かつ元部下のミリアリアが顔グロパツ金エロスマンとの間に子を授かり、他国で出産したのはつい先日のことだ。
スカンディナビア公国への正式訪問予定は来週なので、今は通信でしか話せないし映像しか見れない。
それでも、幸せそうなミリアリアと赤ちゃんを見ていると、平和への誓いをあらたにするのだった。
お祝いに送ったオーブ原産の大ぶりなユリ『ゴールデン・アスハ』も無事病室に届いていて、一安心だ。
アスハ家所有のとある島にだけ咲くこの花は近年品種改良が進み、切り花として需要が増えている。
来年は輸出も視野に入れて…と思いめぐらしていた時、補佐官のサイ・アーガイルが呼びに来た。
定例記者会見の時間だ。
今日は来週のスカンディナビア公国訪問についての発表と記者からの若干の質問を受ける程度の予定だった。
ところが耳ざとい記者から、予期せぬ質問があがった。
「アスハ代表の元部下の女性と元フェブラリウス代表議員の子息との間に子供が生まれたそうですね。
第2世代コーディネーターの出生率が下がる一方の現状で、ナチュラルとの婚姻が少子化の歯止めになるとお考えですか?」
「政策として、婚姻統制のようなことは望まない。命は作り出すものではなく授かるものだからな。
だが、ナチュラルでもコーディネーターでも子供を望めば養育の支援はやぶさかではない。
医療費や学費の補助などはこれからも検討すべき課題と考えている。」
無難な回答に側にいたサイも満足げだ。しかし、ここでさらに突っ込んだ質問が飛び出た。
「アスハ代表ご自身のご結婚・出産についてはどのようにお考えですか?」
一瞬、アスランの顔が頭によぎる。が、二人の間に具体的な進展はまだ望めない状況だ。
トーヤに全てを任せるにはまだ荷が重すぎる。
「次世代が育ってきていることだし、遅かれ早かれ代表首長の座を降りる日は来る。
トップがいつまでも同じだと必ず閉塞してしまうからな。
何時とは言えないが、いずれはするかもしれないとだけ答えておこう。」
ここでサイが、そろそろ時間ですので、と会見を引き上げようとする。
「では代表交代後に婚活を?」
「いや、妊活が先だろう。結婚はいつでもできるが出産できる年齢は限られるし子育てには体力がいる。
早めに優秀な遺伝子を提供してもらうつもりだ。」
爆弾発言に記者団および補佐官・護衛・報道スタッフ一同が仰天する。
「会見はこれにて終了です!」
すかさずサイが叫び、護衛と一緒に代表を強制的に会見室の外へ連れ出した。
一拍遅れて記者達が騒ぎ出す。執務室ではお歴々が眉間にしわを寄せて待っていた。
ついさっきまでミリアリアの赤ちゃん可愛い可愛いと言ってたからなぁ、とサイはため息をついた。
出向先から戻る途中、アスランはオーブ国内のニュースに目を疑った。
どのメディアもアスハ代表の妊活宣言を取り上げ、まじめに、あるいは面白おかしく報道している。
ネット上ではさらに過熱しているとメイリンが楽しそうに報告してくる。
なんとしても直接会って話がしたいと、分刻みの代表首長のスケジュールの隙間を狙い、
スカンディナビア公国訪問のため空港へ向かう車に護衛として同乗した。
「なんで通信に出なかった?」
「いやぁ、おまえ、怒ってるみたいだったから…。」
「怒ってはいない、あきれてるだけだ。どうして公の会見で妊活なんて言ったんだ?
あんなこと言ったら騒がれると予測できただろう?」
「そんなにダメなことなのか? 子供を産み育てることは自然な営みだぞ? 」
どこまでもまっすぐなカガリに、アスランは嬉しいような虚しいような気持ちでため息をついた。
「ミリアリアの赤ちゃん、可愛かったぞ。私も人として子供を育ててみたいんだ。だから、あの…」
急に下を向き耳まで赤くしたカガリを心配して、アスランは具合でも悪いのか?と肩に手をかける。
そのアスランの腕を両手で掴んだカガリは俯いたまま呟いた。
「おまえの遺伝子、もらえるよな?」
その日以来、ディアッカと頻繁に連絡を取り合うアスランを生温かく見守っているメイリンであった。
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