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煌明公司nettaskforce

こちらは「ガンダムSEED」のディアミリファンサイトです。個人の趣味での二次製作作品をご理解の上閲覧くださいませ。

 ディアミリ二次創作 春節祭3

2025年04月25日 | 小話



 オーブの幼稚園に通っていた頃、お友達には兄弟姉妹がいて羨ましかった。
 お家で一緒に遊んだとか、兄姉にやさしく慰めてもらったとか、弟妹がお兄ちゃん大好き(お姉ちゃん大好き)とか言うので可愛いとか聞くと、自分には体験できないことだから尚更憧れた。願い事やプレゼントのリクエストを問われれば、弟妹が欲しいと言っていた。
 それも学校へ上がった頃には次第に口にしなくなった。学校・学童・習い事など友達と過ごす時間が多くなり楽しかったからだ。また成長するにつれ、第二世代のコーディネーターからの出生率の低下も聞きおよんでいた。もちろん内心では兄弟姉妹がいたらなぁ、と思うことは度々あったのだ。

「びっくりさせちゃったかな?」
ミリィが不安げに尋ねる。
「うん。ちょっと驚いた。でも嬉しい。」
だって、ずっと欲しかったものだから。
「弟? 妹?」 
「お前、どっちがいい?」
「どっちでもいいよ。ってか、今更替えられないだろ!」
「ブラコン、シスコンになるなよ~」
ディアッカとしょうもないボケツッコミを繰り広げ笑いあった。

 ミリィもディアッカも一人っ子で兄弟姉妹がいない。昔、コロニー開発途上の時代には移住条件が厳しく一家族の子供は一人までだったそうだ。ミリィの同級生達も一人っ子だ。ディアッカにしてもコーディネーターの出生率低下のためか、その同僚達は一人っ子が多い。きっと二人にも兄弟姉妹への密かな憧れがあったのかもしれない。今はただ無事に生まれてくることを祈るだけだ。

 「最高のお年玉だよ。ありがとう、ミリィ、ディアッカ。」



※  コロニー移住条件は当サークルのオリジナル設定であり、公式設定ではありません。
※※ 近々サイトのお引越しを予定してます。決まったらお知らせします。GW以降~?
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ディアミリ二次創作 春節祭2

2025年02月25日 | 小話


 旧暦新年を迎えた街は色とりどりのランタンやオブジェが並び明々としていて、行き交う人々も活気にあふれていた。
人気店の料理はどれも美味しく、大満足の夕食だった。
学校の授業や寮生活、友人達について一通り話し終えたので、そろそろ本題を聞こうと思う。
ミリィの食べる量が少なかったのが気になる。小柄なくせに結構食べる人だったけど。
何か難しい病気が見つかったのだろうかと、少し心配になる。

「で、なんで急に華南まで呼び出したの?」

間。

それはだな、と口を開きかけたディアッカをミリィが制した。
「私から話すわ。」
ミリィが僕を真正面から見つめ、深呼吸一つして覚悟を決めたかのようだ。
僕もゴクリと息を飲む。
「あなた、もうすぐお兄ちゃんになるの。」
「へ?」
寝耳に水? 晴天の霹靂? 僕がお兄ちゃん?
「おまえ、昔から弟か妹が欲しいって言ってただろ? だから、俺は日夜奮励努力してだな・・・」
「うわ˝あぁ! やめろ! 」
思春期真っただ中の息子を前にして、言うことか?!
「幼稚園の頃、七夕の短冊や絵馬に書いてじゃないか。サンタさんへの手紙にも。」
「そんな昔のことを今持ち出すなぁ!」
完全防音の個室でよかった。
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ディアミリ二次創作 春節祭1

2025年02月23日 | 小話
 異国の街は赤いランタンと爆竹の音であふれていた。



 毎年2月14日は追悼の日だ。プラントでは慰霊祭が催されるし、学校や職場でも黙祷が行われる。
僕が通う医療専門校でも同じだ。ただし午前中の平和教育の講話や避難訓練などを終えると、午後は半休となる。
14日を明日に控え、学生寮の仲間たちと午後から外出許可をもらい街へ繰り出そうかと話していたところ、モバイルに連絡が入った。
祖父からだった。これから迎えを寄こすから地球へ行く用意をしておくように、と。
「はぁ?」
どうした、何かあったのか、とルームメイトが心配する。
そこに舎監がやってきて、間もなく迎えが来るので急ぐように、エルスマン氏が直接学校へ連絡をくれたので外出届は戻ってからでよい、という。
祖父がこんなに慌てているなんて、もしや地上の両親に何かあったのかと不安になる。
手配された車に乗り祖父に連絡を入れても、行けばわかるとはっきりしたことは語ってくれなかった。
空港には祖父の個人秘書が待っていて、チケットを渡された。
「現地の空港でディアッカ様が直々に迎えにいらっしゃいますから。」
行き先は華南(カオシュン)、ディアッカの赴任地だった。

 空港では一般客とは別ルートでゲートに案内された。
ここ華南はかつてザフト軍が侵攻した都市だ。いまだ禍根を残す。
モヤモヤした気持ちでラウンジに着くと両親が待っていた。二人とも無事でホッとした。
「お帰りなさい、また背が伸びたわね。」 
ミリィが微笑む。
「背ばかり伸びやがって…。もっと筋肉つけろ、体幹も鍛えろ。」
「僕、軍人じゃないんだけど…。」
相変わらずディアッカは口が悪い。
「うまい中華料理店を予約してある。しっかり食えよ。」
口は悪いが歓迎しているのは伝わる。いつものことだ。
「うん、食べる。シャトルの機内食ちょっと苦手な香辛料が入っててあまり食べれなかったんだ。」
二人は変わっていく僕と変わらない僕に満足したのか、慈しむ視線を投げかけてくる。
ちょっと気恥ずかしくなり、早く行こうよ、と先にラウンジを出た。
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ディアミリ二次創作 夏至祭12 epilogue3

2025年02月21日 | 小話
 「可愛いいなぁ…。」
通信を終えたカガリ・ユラ・アスハ代表首長は独り言ちた。
元戦友かつ元部下のミリアリアが顔グロパツ金エロスマンとの間に子を授かり、他国で出産したのはつい先日のことだ。
スカンディナビア公国への正式訪問予定は来週なので、今は通信でしか話せないし映像しか見れない。
それでも、幸せそうなミリアリアと赤ちゃんを見ていると、平和への誓いをあらたにするのだった。
 お祝いに送ったオーブ原産の大ぶりなユリ『ゴールデン・アスハ』も無事病室に届いていて、一安心だ。
アスハ家所有のとある島にだけ咲くこの花は近年品種改良が進み、切り花として需要が増えている。
来年は輸出も視野に入れて…と思いめぐらしていた時、補佐官のサイ・アーガイルが呼びに来た。
定例記者会見の時間だ。

 今日は来週のスカンディナビア公国訪問についての発表と記者からの若干の質問を受ける程度の予定だった。
ところが耳ざとい記者から、予期せぬ質問があがった。
「アスハ代表の元部下の女性と元フェブラリウス代表議員の子息との間に子供が生まれたそうですね。
第2世代コーディネーターの出生率が下がる一方の現状で、ナチュラルとの婚姻が少子化の歯止めになるとお考えですか?」
「政策として、婚姻統制のようなことは望まない。命は作り出すものではなく授かるものだからな。
だが、ナチュラルでもコーディネーターでも子供を望めば養育の支援はやぶさかではない。
医療費や学費の補助などはこれからも検討すべき課題と考えている。」
 無難な回答に側にいたサイも満足げだ。しかし、ここでさらに突っ込んだ質問が飛び出た。
「アスハ代表ご自身のご結婚・出産についてはどのようにお考えですか?」
 一瞬、アスランの顔が頭によぎる。が、二人の間に具体的な進展はまだ望めない状況だ。
トーヤに全てを任せるにはまだ荷が重すぎる。
「次世代が育ってきていることだし、遅かれ早かれ代表首長の座を降りる日は来る。
トップがいつまでも同じだと必ず閉塞してしまうからな。
何時とは言えないが、いずれはするかもしれないとだけ答えておこう。」
 ここでサイが、そろそろ時間ですので、と会見を引き上げようとする。
「では代表交代後に婚活を?」
「いや、妊活が先だろう。結婚はいつでもできるが出産できる年齢は限られるし子育てには体力がいる。
早めに優秀な遺伝子を提供してもらうつもりだ。」
爆弾発言に記者団および補佐官・護衛・報道スタッフ一同が仰天する。
「会見はこれにて終了です!」
 すかさずサイが叫び、護衛と一緒に代表を強制的に会見室の外へ連れ出した。
一拍遅れて記者達が騒ぎ出す。執務室ではお歴々が眉間にしわを寄せて待っていた。
ついさっきまでミリアリアの赤ちゃん可愛い可愛いと言ってたからなぁ、とサイはため息をついた。

 出向先から戻る途中、アスランはオーブ国内のニュースに目を疑った。
どのメディアもアスハ代表の妊活宣言を取り上げ、まじめに、あるいは面白おかしく報道している。
ネット上ではさらに過熱しているとメイリンが楽しそうに報告してくる。
なんとしても直接会って話がしたいと、分刻みの代表首長のスケジュールの隙間を狙い、
スカンディナビア公国訪問のため空港へ向かう車に護衛として同乗した。
「なんで通信に出なかった?」
「いやぁ、おまえ、怒ってるみたいだったから…。」
「怒ってはいない、あきれてるだけだ。どうして公の会見で妊活なんて言ったんだ? 
あんなこと言ったら騒がれると予測できただろう?」
「そんなにダメなことなのか? 子供を産み育てることは自然な営みだぞ? 」
 どこまでもまっすぐなカガリに、アスランは嬉しいような虚しいような気持ちでため息をついた。
「ミリアリアの赤ちゃん、可愛かったぞ。私も人として子供を育ててみたいんだ。だから、あの…」
急に下を向き耳まで赤くしたカガリを心配して、アスランは具合でも悪いのか?と肩に手をかける。
そのアスランの腕を両手で掴んだカガリは俯いたまま呟いた。
「おまえの遺伝子、もらえるよな?」

 その日以来、ディアッカと頻繁に連絡を取り合うアスランを生温かく見守っているメイリンであった。
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ディアミリ二次創作 夏至祭11 epilogue2

2025年02月20日 | 小話
 その子守歌は赤ちゃんだけでなくミリアリアをも熟睡させた。
3時間おきの授乳で睡眠不足は否めないが、短い時間ながらも熟睡できるのはありがたい。

 出産祝いにラクスとキラが音源データを贈ってくれた。ラクスが子守歌を何曲か歌ってくれたものだ。
まったくの私的な録音データというから、忙しい身でありながら時間をやり繰りして歌ってくれたかと思うと、二人には感謝しかない。
そのうち、同じ病院内の小児科から音源をコピーさせてもらえないかと、問い合わせが来た。なんでも幼児のお昼寝時間や就寝時間に子守歌を聞かせたいとのこと。小児科限定ならという条件でラクスも承認してくれたのでさっそく実施され、子供たちは寝つきが良くなったと評判になった。
 すると他所でも音源が欲しいと問い合わせが続いた。その頃私はもう退院していたのだが、検診の度に病院スタッフからも相談された、公式に発表できないかと。ディアッカやキラ達も海賊版が出回るより先に手を打ったほうがいいだろうという意見にまとまり、正規音源として販売することになった。もっともキラが構築したプログラムなら違法コピーは不可能だろうけど。
 久しく芸能活動を行わなかったラクス・クラインが歌ったというので、子守歌は異例のヒットとなった。売り上げの純利益は戦争孤児のための基金に全額寄付される。早くも第二弾を、との声も上がっている。

 世界はまだ混沌としていて、紛争地域もあれば復興が進まない国もある。
それでも子供たちの平穏無事を祈ることは変わらない。より良き未来でありますようにと。
小さな息子の寝息を聞きながら、強く願った。
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