偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏230大日山(千葉)

2009年12月14日 | 登山

大日山(だいにちやま) 経刻塔(きょうこくとう)

 

230 【データ】大日山 330メートル▼25000地図 安房古川▼最寄駅 JR内房線・南三原駅▼登山口 千葉県南房総市増間上組集落▼石仏 大日山から御殿山方面の尾根上にある小ピーク

 

 【案内】大日山は御殿山の南西に位置し、二つの山は尾根続きでハイキングコースが整備されている。増間上組からの道は標識や柵や階段が整備され、歩きやすい。そ2301 2302 の尾根上には「水分神」=写真左=「宝篋印塔」「大日如来」=写真右=などの案内板があり石造物が祀られている。なかでも大日山の石巌(せきがん)に祀られた智拳印を結ぶ坐像の大日如来は美しい。この山頂には他にも大日如来の碑があり、大日信仰の中心地だった形跡がある。それを支えたのはこの山の南の山中にあった寺院で、いま杉林と化してなんの23031 痕跡もないが、君塚文雄著「安房の山岳信仰」(山岳宗教史研究叢書8関東の修験道、昭和54年、名著出版)には増間廃寺址として「口碑によると、往時は薬師堂・閻魔堂・尼堂・六角堂などがあり大日山蔵福院と号した」とある。そして宝篋印塔については入定塚として「口碑によれば、昔修行僧を生き埋めにした所」と紹介している。この塔23032 2304 は石塔の分類からすると正面に「一切如来……陀羅尼経」という文字や四方に金剛界四仏の種字があるなど宝篋印塔的ではあるがそうではなく、経典の名称や経文を刻んだ「経典供養塔」の中の「経刻塔」である。残念なことに梵字で刻まれた経文は風化がひどく、ほとんど分からないまでになっている。

 

 【独り言】房総の山で二つの珍しい道具を見ました。一つはミルク缶(正しい呼び2305 2306 方があるのかな?)。大日山や御殿山がある南房総市の旧丸山町は日本酪農発祥の町だそうで、町内各所に風車のモニュメントが立っています。そんな町ですから、山のなかにミルク缶があってもおかしくはありません。どんな目的で置かれたかは想像していただくとして、御殿山と大日山の中間にあるミルク缶はだいぶ年期が入ったものでした。どれだけ放置すればこうなるのかは想像もつきませんが、丸山町で酪農を始めたのは江戸時時代からだそうですが、当時このようなミルク缶があったとは思えません。せいぜい50年ぐらいの寿命でしょうか。二つは大日岳の下りでは見た猪の罠。仕掛けをした猪捕りの檻2307 2308 が山道の脇に置かれ、周辺には「危険」など罠を知れる張り紙がベタベタ貼り付けてありました。猪は字が読めないからいいものの、人間にはおかしな光景です。しかしこれが貼り紙もなく突然現われるとギョッとします。畑集落から吉野への近道、国土地理院の地図では破線がありますが、すでに獣道になっているところで藪のなかで突然罠に出くわしてビックリ。あたりには猪の足跡がたくさんありました。しかし容易に罠にはかからない様子。大日山一帯は房総の南端ですが牛や猪が楽しく暮らす山深いところでした。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする