偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏153鍋割山(神奈川)

2008年07月17日 | 登山

鍋割山(なべわりやま) 観音菩薩(かんのんぼさつ)

153  【データ】鍋割山 1272メートル▼25000地図 大山▼最寄駅 小田急線・渋沢駅▼登山口 神奈川県秦野市大倉▼石仏 鍋割山の西にある鍋割峠

1531  【案内】鍋割峠に立つ石仏は蓮華を持っているように見えるので聖観音菩薩としたい。しかし頭上に馬頭らしき姿があるので馬頭観音のようでもある。観音には聖観音はじめ、千手・十一面・如意輪・馬頭など多くの仏があり、それぞれ固有の像容を備えている。鍋割峠の観音はそのなかの一つにあてはまるはずだが、像容がはっきりしないので尊名を決めかねている。一般的には峠にある観音といえば馬頭観音が多い。峠超えの荷物運搬に馬が使われ、その供養を兼ねている。しかし鍋割峠に関してはこれが当てはまらない。峠とは名ばかりで、南の寄集落とつなぐ北の集落がないのである。かつては北に下る道もあったのだろうが、古い記録からはそれを探し出せないでいる。あまり紹介されていない峠、生活の臭いがない峠なのである。そこで石仏の尊名だが、かぎりなく馬頭観音に近いが観音菩薩としておく。

1532  【独り言】鍋割山の鹿 寄(やどりき)から鍋割峠への道はいくつかの沢を渡ります。くわえて雨山峠道と別れて鍋割峠へ突き上げる沢=写真上=に道はなく河原歩きになるので、雨の日は危険です。それに沢の源頭から峠に取り付く地点は右岸にありますが、ここが見つけ1534 にくいので、鍋割山~鍋割峠~寄と歩くコースがおすすめです。それにしても鍋割峠一帯は昔から崩壊が激しいところで、それは今も続いています=写真中=。その一因は、素人考えですが山に雑木や下草が生えないためで、保水力がなく雨が降ると水が土砂を巻き込んで一気1533 に流れ出すのでしょう。雑木や雑草が生えないのは鹿が食べてしまうためです。30年前の鍋割峠はスズタケに覆われ、石仏が隠れるような茂りようでした。それが今では峠一帯に一本のスズタケすら見当たりません。丹沢には昔から鹿が多く生息し、今回も鍋割山頂の近くで出合いました=写真下=が、山を守るか、鹿を守るかの選択を迫られている状況に見えました。ふもとの林道には「只今この山中で銃器による有害鳥獣の捕獲を週2回行っています」の立て札がありました。

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