葉山(はやま) 大黒天(だいこくてん)
【データ】葉山 1462メートル▼25000地図 葉山▼最寄駅 JR奥羽本線・村山駅▼登山口 山形県村山市岩野▼石仏 葉山山頂の木祠内
【案内】インドでは仏教の守護神、戦闘の神など荒ぶる神として の信仰がある反面、厨房の神などとして祀られた大黒天。日本では寺の守護神、豊穣の神、厨房の神など穏やかな神に変化して、七福神に代表されるような福の神として信仰されてきた。その姿も三面六臂の忿怒形から頭巾をかぶって袋を背負う姿、そして打ち出の小槌を持って米俵にのる大黒天に変化した。葉山の神は稲の豊作を願う作神として信仰され、かつては山麓の大円院で出す御札と境内の笹を持ち帰り、枝にはさんで田んぼに供えると虫がつかない、と信仰されたという。ただこの神が大黒天としていいのかどうかは、まだ分からない。出羽三山と並ぶ修験の山として一時は宮城・福島まで信仰圏があったようだが、明治の神仏分離以後寺勢は衰え、今は寺院跡が残るだけである。
【独り言】福島県の阿武隈山地の北部は、葉山とよぶ小さな山が多いところです。羽山・麓山などの字をあてるこの山には、山麓の集落で祀る神が鎮座しています。社は大きな社殿から小さな木祠までさまざまです。祭りは集落の人たちで執り 行い、その形は修験の影響が色濃く残っていることが指摘されています。この葉山のなかには、山形の葉山から勧請した形跡があると指摘したのが岩崎敏夫氏の『本邦小祠の研究』(昭和38年)でした。
葉山が多い阿武隈山地を歩いて気付くことは、大黒天の石仏が多いということです。これは山形の葉山の大国天とかかわりがあるの では? と考えています。しかし、祀られている場所は葉山に関係ない田んぼの畦や山際の土手などで、この二つを結ぶ接点はなかなかみいだせないでいます。写真上は旧岩代町(現二本松市)天皇山の山麓・川口の大黒天。写真市下は旧船引町(現田村市)片曽根山の山麓・本郷の大黒天です。