紫陽花を見ていた。
砦のベランダから、雨に濡れる紫陽花を。
『蹴球、なに黄昏てるの?』
真後ろから声を掛けて来た真っ赤なドレスの女性・・・ニレコは、うん?もう夜だし夜てる?いや、どうなんだ(*'ω'*)?
等と呟く。
気楽なものだ。あれだけ、オレのせいで恥をかかされたのに。
「ニレコ、すまんな」
本当は謝りたくなんてないから、紫陽花にむかって謝る。
そんな情けないオレにニレコは
『・・・帰ったら暇な時に練習付き合ってやるから な!』
なんて、笑顔で(きっと)言いやがる。頭・・・あがんねぇな。
パーティーはまだ続いている、このベランダなんかじゃ無く、砦内でだけ。
『いやもーマジ暇な時だけな?な?』
最後の一言だけ余計だった。
なるべく繊細にステップを踏む。まるで、踏みしめる先に地雷があるみたいに。
「たったらった・・・たらった・・・・」
記憶を頼りに、ステップ。薄氷を踏むように。
っと・・・ここでパートナーの肩に手をまわ・・・
すっと上げるつもりだった右腕はギシギシと鳴るブリキの様。
ちっ・・生地に金を掛けすぎてフォームは適当になっちまったっぽい。
どうも肩があがりにくいのだ。せっかくオーダーで作ったのに。
ぼやきながらタキシードの裾を翻してくるりとターン。
「たたったらっ・・・・た・・・・た・た・・」
首を回す一動作ですらぎぎぎと音がなる。シャツまでギリギリサイズだ。
よし、ここでパートナーの腰を持って一気に・・・!
ズズズ。地響き。地震ってレベルまではいかないけれど、微妙にバランスが崩れる。それでもすでに足を踏み出していて・・
タンッ。
「あ」
踏んだ。間違いなく踏んだ。
勢いに任せて踏み出した右足は、イメージの中にしかいない女性の左足の爪先を間違い無く踏みしめている。
「・・・あらー・・・」
すでに脳内投影機は相手が顔を顰めて中指を立てている絵まで浮かび上がらせる。
『いてーよはげ!』
声まで聞こえてきた。
何、別に大した事じゃない。なにせ足を間違えて踏んでしまうのも、もうこれで5回目。脳内投影も慣れたもので相手はどんどんリアルになっていく。
「どっかで必ず失敗するんだよなぁ・・・」
今回はまぁ地響きのせいってのはあるんだけれど、あんな小さなアクシデントでダメになっちゃうのはなぁ・・。
脳内の相手がべーっと舌を出して消えてからぽつりと呟く。何やってんだオレ。
「あーぁ、ニレコー、見てないで練習付き合えよー」
「やだね(・ω・)”」
自分はだれもいない大広間で練習していた。それでも、そんな鎌をかけたのは、本当になんとなくだったので声が返ってきた事にびっくりする。
くるりと回って声のした方を向く。部屋の隅に人影。
「足を踏まれまくるのなんてマジ勘弁だ(・ω・)”」
ピンクと白の色とりどりなワンピースを着たニレコが、部屋の隅にある机に肘を突いてこっちを見ていた。
「いや、でもなぁ・・イメージじゃどうにもこうにもうまく・・ってお前なに食ってんの?」
なんかさっきから咀嚼してるなーなんて思っていたのだけれど、その机・・・
「うん?(・ω・)”もぐ。いや、ちょっと聞いてよ奥さん(・ω・)”もぐ。」
左腕は肘を突いたまま。何やら右手が高速で口に何かを運んでいるようなのですが・・
「砦のメンテ前にERを掃除しようと大広間に入ったらですね(・ω・)”もぐ。何やらクルクルぱたぱたやってる人がいるじゃないですか(・ω・)”もぐ。」
な・・なんだあれ?咀嚼が異常に早いのか、口にモノを入れてから直に口を開くのにそこには何も無い・・・。
「それがあんまりぎこちなくて面白かったからちょっと見学しようと(・ω・)”もぐ。座った席の机にこれがあったのごちそうさま。」
綺麗になった皿をこっちに向けてごちそうさまをしてくるニレコ。
そ・・・その机には確か・・・
「ばかwwww!ちょ、おま、それはおれが気分を出すために用意しておいたモンなの!」
蹴球特製”一人の晩酌も寂しくない”豪華三種盛り。
居酒屋のバイトでつちかったノウハウを導入した最新作である。
「いやいや、さすがバージル君は料理がウマイネ(*'ω'*)」
フォークを名残惜しげに眺めるニレコ。
「オレが作ったんだよ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「(;゜ω゜)・・・」
かちゃーんと音を立てて床に落ちるフォーク。
「は・・・は・・・・」
「は?」
歯がどうかしたのか?
「謀ったなー!!ど・・どどどど毒!?毒なのか!?」
ぐぇ、と喉を両手で押さえて立ち上がるニレコ。待て、いまウマイっつっただろ。
『warning。warning。unknown forceにより砦に攻撃が与えられました。自律プログラムでは対処不能、”管理者”による外部サポートを希望します。繰り返し・・』
「オレが食う予定だったものに毒なんて入れるかwwww」
「ぐぐぐg!清めなければ!」
がっ!と机の上に残されていたワイングラスを手に取り、中に満たされていた紫色の液体をぐいっと飲み干す。
「ふぅ(*'ω'*)」
「おいwwwwwwそれボトルで9kくらいするんだぞwwwwww」
微妙とか言うな。
「毒は清められた(*'ω'*)」
「元から入ってねぇwwwwwwwww」
グラスの横に置いてあるバケツの中から、冷やされているボトルを回収する。二杯目とかに突入されたら事だ。
「(;`ω´)」
「狙ってんじゃねwwwwwwww」
まったく、ほんとに狙ってやがった。
「はぁぁああぁあぁ、ヤダヤダ、小さい男はやだねぇ(*ω*)」
ボトルを天井のライトに翳して中身を見る。ほっ、どうやら無くなったのは一杯分だけだ。
パンッとどこかで破裂音。
「見てよ奥さん、アイツ中身の確認とかしてやがんのっ!ちいせぇちいせぇ!」
「うるせぇwwwwwwワイン一気飲みするお馬鹿は黙ってろよwwwww」
がたんっ!と椅子を蹴り上げていきなり席を立つニレコ。お・・・怒った?
「kr・・・・・・」
「は・・はいっ?」
何故か額を冷や汗が落ちる。なんだこの緊張感は・・・・。
ざわ・・・ざわ・・・と、何やら嫌な予感がする。いや、マジでなんかこえーんすけど。
目の前まで進んできたニレコはすっと右手を挙げて・・・
「ひっ」殴られる!?
そのまま右の手の平を額に当ててきた。
「?」
「kr・・・大丈夫?病院行く?」
さっきまでの緊張感はどこかに消え、ニレコの表情は重症の患者を看取るような、慈愛と哀れみに満ちていて。
瞳には涙のようなモノが盛り上がっている。
そんな、表情でニレコは諭すように言った。
「ちびちび飲むのはウィスキー。ワインはぐい飲み。これ・・常識だよ?」
「ちげwwwwwwwwwww」
どうやらシリアスは10秒くらいが限界のようです。
バッと額に乗せられていた手を叩いてどける。
「せっかくおねぇさんがワインの正しい飲み方を教えてやってるのに(;`ω´)」
大真面目に言ってやがる。こいつ、マジか?
「いあいあ、それ違うから!ワインの飲み方じゃないから!」
予備で持ってきていたグラスをワインを運んできたカートから出してワインを注ぐ。とくとくとく。
「いいか?そもそもニレコはグラスの持ち方からして違う!」
キュッとワインにコルクを挿して栓。1/3ほどワインを注いだグラスの『首』を持つ。
『こちらERバージル。”管理者権限”を発動。現在砦はunknown forceにより攻められている。総員第一種戦闘配置に着け。繰り返す、総員第一種戦闘配置に着け』
「さっきお前はこのグラス自体を手の平で持ってたろ?こう・・こんな感じで」
右手の中指と薬指の間にグラスの『首』を差し込んでグラス自体をワシ掴む。
「帝王持ち(・ω・)左手は猫を撫でる」
居もしない猫を撫でるニレコ。だ・・だめだ・・・・。
「それ漫画の見すぎwwwwwwワイン温くなっちゃうだろwwwwwwww」
「温くなったら捨てて新しく注げばいいじゃない」
「どこのマリーだよwwwwwwwwww」
なんか・・・最初から説明しなきゃいけないような気がして鬱になる。く・・手強いな。
「そんでだ、グラスを持ったら・・・」
「はいはいせんせー」
ビッと手を上げる生徒ニレコ。
「なんだ?」
「その面白服は私を笑い死にさせる為ですか(;`ω´)?」
「タキシードだよwwwwww」
「芸人になるんですか(;`ω´)?」
「お前空気読めよwwww殴るよwwwwww」
『ERバージルより各員、砦は完全に包囲されている。襲撃備え』
「まさか・・・コスプレですか(;`ω´)?」
「・・・ニレコ・・・・ちょっと額を出せ」
とことこと寄って来て前髪を上げるニレコ。瞳がキラキラと輝いている。なにやらすっごい楽しみにしている模様。素直か馬鹿なのだがぜひとも後者の線で行きたい。
「ていっ!」
「あ痛っ!」
ペチンとつるつるの額にデコピン。参ったか。
「なにしやがるヽ(`□´)ノ」
「話を聞けwwwwww」
また最初に立ち返り、グラスを持つ。
「いいか?ちゃんとこの『首』を持ったら・・・」
「グラス自体を親指で弾いて『首』から切り離すんですな(;`ω´)?」
「筋肉馬鹿漫画じゃねwwwwwwwwwwwww」
『砦内配置各員に告ぐ、現在砦はunknown forceからの襲撃を受けている。その際、空間干渉系の攻撃を受けたものと予想され砦は空間移送を強制的に受けたと思われる。砦が割り出した現在地は”ニブルヘイム5”繰り返す、ここはプロンテラでは無い。現在地は”ニブルヘイム5”。各員unknown forceからの防衛を第一とし、迎撃せよ。敵を迎撃せよ。』
「まずは匂いだ!ワインはまず匂いをかいで・・・・うん?」
何か今聞こえたような・・・・
「匂いとは変態めヽ(・ω・)ノ」
どこをどう勘違いしたのかわからないが、なにやら凄い表情でこちらを窺うニレコ。
どれくらい凄いかと言うと・・・(*゜ω゜)・・・な感じなのだが。
まぁいい(良く無いが)今はそれよりも確認しなければ・・・
「なぁニレコ、今何か・・・」
「匂いは嗅がせない ぞ!ヽ(`□´)ノ」
ばっと胸を両手が隠して飛び退るニレコ。
「話を聞いてくれよ頼むからwwwwwwwwwwww」
それから斯く斯く云々と(自分が匂いフェチで無い事から)違和感や、なんとなく聞こえた事に付いて説明する。
するとニレコは
「あぁ、そういえば。」
ぽん、と手を打ち
「面白服を着た人がロリコンとショタコンとペドの違いについて熱く語っている時に『第一種戦闘配置』とか『防衛』とか『迎撃』って聞こえたような気がする(;`ω´)」
「そんな話してねよwwwwwwwwっと、じゃあニレコも聞こえたのか。」
あいヽ(・ω・)ノと手を挙げるニレコ。じゃあ早く教えろよ・・・とは言えないか。おれも聞いてなかったし・・な。
「まさかくっちゃべってて砦内放送聞いてなかったなんてバレたら・・・」
「(((・ω・)))お・・お前は早く持ち場に行けよっ!ここは私が守るからっ!」
ガクガクと震えながらいつの間にか出した杖でシッシッとオレを追い払おうとするニレコ。ずるぃ・・・。
「のりちゃんに怒られる時は一緒だからなwwwwwwww」
「(((・ω・)))シッシッ」
槍を作りながら走り出そうとした時、不意に胸に青い光が立った。
「うぇ?」
「あぁ?」
この青い光は・・・・
「ねぇ、この光って確か・・・」
すぃすぃと手を青い光に翳しながらニレコがこちらを向く。そう、この光は確か・・・
「バージル君の”ブルーリンクス”・・・・」
同時多数支援を可能にするバージル君の特殊能力であり、ある意味幻影騎士団における”極限連携多重戦闘状態”。
同時に多数の支援を可能にはするのだが、それはつまりバージル君一人に全ての負荷が掛かるという事でもある。
故に、戦場においてこの能力はいつも”切り札”的な使われ方をしてきた。それ程までにきつい負荷。苦しい・・・能力。なのにその発現は・・。
「随分とマズイのかな・・・」
心を見透かしたようなニレコの独り言。そう、この能力の発現はそれを意味する。楽な戦いでなんて・・・使わない。
「なぁ、確かこれってつないでいるだけでもエーテルを食うんだよな」
手に絡まない青い光を手で遮ったりしてみる。効果なし。
「うん・・・・何もしなくても私たちの状態を数値化して送ってるはずだから・・・」
いくら手で遮ったところで光は途切れないのに、幾度もその光に手を添えるニレコ。
「オレはニレコといるから・・・これ・・解除してもらえないかな」
うん・・と俯き、ニレコは光の先・・・壁を見る。
「いつもはプライバシーの関係でリンクする時に許可を求めてくるんだけれど・・・」
そうだった。いつもバージル君はこの能力を使う時には必ず許可を求めてきたっけ。
それが今回は無かった。有無を言わせない強制接続。つまり・・・・
「戦況は・・・随分じゃなくて・・・かなりヤバイ事になってるのかもね・・・」
慈愛の瞳で壁を見るニレコ。その先に、苦しんでいる仲間がいるのが見えるように。
「なら・・・・・早く行こう」
とりあえず槍だけを作りだしてニレコを促す。この事態を早く解決する事が、仲間を救う事だと信じて。
もう一瞬だけ光が差す先の壁を見て、ニレコはこちらを見る。強い瞳で。
もう大丈夫。そう言っているような瞳を見た時
”それ”は出てきた。耳を劈く轟音を伴って。
「!?」
「・・・・!」
天井に鉄の板が変な形になって突き刺さっている。
その真下には暗い・・・暗い穴が一つ。ADの入り口。
地を滑るように這い出てきたそれ・・・・ミニデモは躊躇い無くニレコの足に向かって突進してくる。
それを左手に持っていた槍を回転させ、槍の柄でふっ飛ばし、槍先を次に出てきたボロ布骸骨・・・デッドリーゴーストに向ける。
「ニレコ!支援!」
と、言い切る前にブレスと速度が自身にかかる。ついでの詠唱でマニピに入るニレコ。
現状の把握・・・ADが内側から破られ、修練用に飼われていたMOBが溢れ出した。
絶対に破られる事の無いと云われていた、扉を破って。
その扉は今はもう力なく天井に突き刺さり、役目を果たしていない。
あの穴を塞がなければ砦は・・・
現状を把握し、対策を練っていた一瞬にボロ布骸骨の多分指先であろう部分がキラリと光る。
次いで、砦のタイルが波打ちこちらに近づくにつれ鋭利な刃になっていく。アーススパイク。
「!!」
槍の柄を両手で順手に持ち、前に押し出す。体内にエーテルが満ち、体の内側から見えない円が広がる感覚。
べきりっ、と音を立てて大地から切り上げる刃は槍の少し手前で粉々に消え去る。レジスト成功。
槍を右手に持ち、ボロ布骸骨に切りかかろうとした時、右目の端に銀の光弾が見えた。
先程ふっ飛ばしたミニデモのユピテルサンダー。照準は・・・ニレコ!
マグニフィカートがかかり、心が軽くなる。コマ送りの世界。光弾は詠唱を終え、無防備なニレコに!
ニレコの代わりにレジストしてやる為にはまずこちらがエーテルを練ってそれから右に横っ飛びに飛んで槍を相手に間に合わない!
”百機夜攻”
短く呟いて右足で砦のタイルを、地面を、いまこの世界を、踏みつける。
すでにニレコと光弾の間には人間一人分には少し余るくらいの空間しかない。
間に合うか?
ニレコが光弾に気が付き、スローに目を瞑る。
自分がした事に間違いは無いと信じ穂先をボロ布骸骨に向け、駆け出す。ニレコを置いて。
そして、光弾は炸裂した。
タイルから生えた人間よりも3周りは太い、鎧の腕に。
「どおおおぉぉりゃああああああぁあああああ!!」
骸骨相手に突いても意味がない。右手に持った槍を袈裟に断ち下ろす。
ガッ、ボロ布骸骨の左肩に槍の穂先が切り込むと同時に右手が刺し出される。槍のように尖った骨の右手が。
めきめきめき、と袈裟に割り続ける穂先。
左の首筋に刺し込もうと伸ばされた骸骨の腕。
しかしその腕は、タイルから生えたこれも同じような鎧の手に掴まれて握りつぶされる。
ばかんっ。
そして、ボロ布骸骨は袈裟に切り分けられ、灰になった。
足元に未練たらしく絡み付いてくる布を槍の穂先で払い、タイルを足で踏む。
たんたたんたんったたたん。
見るモノによっては、それは不出来なタップダンスに見えたかもしれない。
けれど、それはもちろんタップダンスなんかじゃなくて―
それが合図だったかのように、何かが、何か達が、地面からズルズルと這い出てくる。
ズズズ、と。ズルズル、と。
それは、鎧の騎士。人間よりも3周りは大きな、鉛色の、電動の・・・騎士。
「が・・・ガーディアン?」
ニレコが呆れ声で言う。それもそのはず、ガーディアンは本来GvG時間中にのみエンペリウムの力を借りて敵を討つ自動機械兵。
それがどう考えてもGvG時間では無い時間に現れ、自分たちを守っている。
つまり、蹴球の特殊能力は・・・
「あーあ!バレちゃったよ!オレのスウィートでミステリーな謎が!」
謎がかぶってるよ。
見れば部屋の端で剣機兵がミニデモを切り伏せていた。
「あ・・あんたねー!こんなの裏技じゃないの!ヽ(`□´)ノ」
「だから内緒だったんだよwwwwwwwwwwwww」
蹴球を守るように集まってくる機兵達。剣が3、弓が2、そして豪奢な外装を纏ったマスターガーディアン。
「蹴球騎士団!」
ダメだこれ・・・・。
「ともかく!あの穴は今は塞ぎ様がねぇからER入り口まで下がって防衛するぞ!」
見てくれはアレだが、その案には賛成だった。
現在ERは本部となっている。そこだけは守らなければならない。
急いでERへの通路に向かおうと穴に背を向けた瞬間、何かの破壊音がした。
ばきん、と。
次いで、ガシャンと。
見ればERへの出口には鋼鉄の板が下ろされている。
1Fへの階段がある通路にも、鋼鉄の板。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
恐る恐る背中を振り返ると、溢れんばかりの(実際溢れているのだが)MOBの下にコンソールパネルらしきものがぐちゃぐちゃになって転がっている。
「・・・・・・・・・・・・」
ええ?うそぉ?
「閉じ込められたwwwwwwwwwwwwwwwww」
進路も、退路も無くなった部屋にkrの絶叫がこだまする。