もしも高校野球の女子マネージャーが ドラッガーの『マネジメント』を読んだら 岩崎夏海:著 すると正義は、しばらく考えた後、こう言った。 「あなたは、どんな野球をしてもらいたいですか?」 正義は、インタビュアーに向かってそう言った。 本文 エピローグより抜粋 思いもよらない事情から、野球部のマネージャーとなった川島みなみ。 それでも、「野球部を甲子園に連れていく」という明確な目標と使命を、 彼女はもっていた・・・ある事のために。 みなみは、マネージャーのことを知るために『マネジメント』を手にした。 そして・・・・ と、こんなふうに書けるほどこの本は、ごく普通の学園小説として読むことも可能です。 なので、社長様方が「ドラッガー」「マネジメント」に惹かれて読み始めると 「つまらない!」と思うかもしれません。 でも、『マネジメント』に書かれた経営者としてのマネジャーが、組織として成果を上げるための物事の見方、考え方、行動を高校野球の女子マネージャーが本の通りにマネジメントを進めたら?そしてみるみる野球部が強くなったら? という著者の発想は堅苦しく、重くなりがちな組織改革や人財の活かし方、目標の共有等をわかりやすくしてくれていると思います。 ドラッガーの『マネジメント』には、1400ページにも及ぶ大著と、そのエキスを 凝縮したエッセンシャル版とがあります。 そこに挑戦する前に「マネジメント入門の入門」としてまずこの本を読んでみては いかがでしょうか? その後なら『マネジメント』も意外に楽しく読めるのではないでしょうか? 冒頭の抜き出しは、甲子園開会式前にキャプテンがインタビューに答えた時の言葉です。 この後彼はこう続けます。 「ぼくたちはそれを聞きたいのです。ぼくたちはそれを マーケティングしたいのです。なぜなら、ぼくたちは、みんながしてもらいたいと思う ような野球をしたいからです。ぼくたちは、顧客からスタートしたいのです。顧客が 価値ありとし、必要とし、求めているものから、野球をスタートしたいのです。」と。 岡 本