今日は唯一レッスンがお休みの日。
そこでトロペジェンヌを食べにサン・トロペに行こう!と思いつきます。
Tropezienneトロペジェンヌとはサン・トロペっ娘という意味。
サン・トロペのお菓子です。
ブリオッシュ生地の間にクリームを挟んだシンプルだけどリッチな味わいのものです。
今ではサン・トロペのスペシャリテとして定着していますが、その歴史はそれほど古くありません。
ポーランド出身のアレクサンドル・ミカさんが1950年頃サン・トロペにパン屋さんを開きました。
そこで他のパンやピザと同じように、ミカさんの祖母が作っていたクリームを挟んだポーランドのお菓子(後のトロペジェンヌ)も置いていました。
1955年映画の撮影部隊がサン・トロペにやってきて、その時の食事をミカさんのお店に頼み、そのデザートとしてそのお菓子を持っていきました。
すると、とてもそのデザートが気に入られ、毎日オーダーが入りました。
それまで特別な名前がなかったこのお菓子に”タルト・トロペジェンヌ”という名前はどうかしら?とその映画に出演していた女優ブリジット・バルドーが勧めたのがきっかけでこの名前になったという訳です。
その後このお菓子はフランス中で人気のお菓子になっていったのです。
そのお店は本店をサン・トロペの隣町に構え、南仏を中心に店舗展開しています。サン・トロペにももちろんお店があり、元祖トロペジェンヌを発祥の地で食べようと思ったのです。
残念ながらカンヌなどコートダジュールにはそのお店がなかったので、より一層期待が膨らみました。
まず、カンヌからSt-Raphaelサン・サファエルまで電車で行きます。
それからバスに乗り換えるのですが、ガイドブックに書いてあった駅裏のバスターミナルが見当たりません。
廃墟のような切符売り場にバス乗り場が変更したとの張り紙が・・・
とりあえず、駅前のインフォメーションで聞くと、ここではなく港側の観光案内所で聞いてください、とのこと。
港の観光案内所で場所を聞き、バスターミナル発見。
どうも最近変わったような感じで、切符売り場はまだプレハブでした。
本当に港の中にあるバスターミナルで、すぐ横は海です。
ここからの景色もよく、教会などもすぐ近くに見えます。
切符を買い、出発までしばらく待ちます。
出発時刻がやってきて続々と人が集まってきますが、肝心のバスが来る気配がありません。
待ちくたびれ、45分後、ようやくバスはやってきました。近くにいたフランス人もうんざりした感じでした。
バスは一杯の状態で出発します。ここからさらに1時間半バスの旅です。
ちょっとげんなりした気分で乗り込みましたが、バスから見える景色がすばらしいのです。

断崖に打ちつける波や美しい浜辺、パラセーリング・サーフィンを楽しむ人々・・・
リゾートらしさ満開です。
景色を眺めているうちにバスの旅も終わり、無事サン・トロペ到着です。
降りると、そこはプチ・モナコ。
豪華なクルーザーが並び観光客でごった返しています。
まずは、トロペジェンヌ。
観光案内所でもらった地図で場所を確認し、いざお店へ。
細い道にたくさんのお店が連なったジョルジュ・クレモンソー通りを行くと、発見!
その名も”La Tarte Tropezienne”

ありました!でっかいトロペジェンヌが。
でも、一番下の大きなものがノーマルのよう。直径30センチくらいあります。

ミニ・トロペジェンヌ・フランボワーズを購入し近くの公園で食べます。
一番小さなものですが、これでも直径15センチ、高さ10センチくらいはあります。

お味は想像以上に軽く、大きさの割には意外に食べられます。
ブリオッシュも密度が濃くなく、空気をたくさん含んだ軽いもの。
クリームはいわゆるクレーム・レジェール(生クリームとカスタードクリームをあわせたもの)だと思われますが、濃厚ながらくどくありませんでした。きっと良質の材料を使っているのでしょう。
今回選んだのはフランボワーズで、より爽やかにいただくことができました。
このお店は、他のパティスリーやトレトゥールも充実していてレベルの高さが伺えます。
他のパティスリーやブーランジェリーどこでもトロペジェンヌは置いてありました。
ちなみに食べた公園では、南仏の風物詩、ペタンクに興じているおじ様たちがそこかしこに。
この後、町の中を急ぎ足で観光します。

町のシンボルの教会が色鮮やかでとてもきれいです。
サントロペは断崖に突き出すように作られた町。
モナコとはまた違い、波の音が聞こえる素朴さもあるところでした。
帰りはサン・ラファエル行きの船に乗り、荒波の中帰って行きました。
沖から見えるサン・トロペの町が一番きれいだったように思います。
残念ながら立っていられないほどの波で写真を撮ることはできませんでした。
6月以降のバカンスシーズンはカンヌや他の街からもサン・トロペ行きの船がでるようです。
船旅も楽しいですね。