
「コンバンワ、Bombyです」

「伊勢茶です」

「わらびもち おいしい です」

「そういえばよく食べてますね」

「大半のスーパーで売ってるし、値段も安いしね」
「今日のわらびもちは特売の78円、おつとめ品価格で半額の39円だ」

「安っ…採算取れているんでしょうか?」

「さぁ、どうなんだろ」
「賞味期限切れ前だし、処分することを思えばいいんじゃないか?」

「それもそうですね」

「しかし わらびもち おいしい です」

「…あれ、何でこんなところにきな粉の袋が」

「あー、それわらびもちに付いてきたやつだな」

「…え?」

「…何か?」

「わらびもちにかけないんですか?」

「いやかけなくていいだろ。きな粉は」

「…そういう人っているんですね」

「わらびもちって何もなしでも結構な甘さがあると思うんだけど…どうなんだ?」

「まぁ確かに甘みはありますけど…」
「折角、きな粉が付いてきているんですから使った方が美味しくないですか?」

「確かにきな粉は美味しいよ。だからちゃんと使うよ、後で」

「後で、ってことは…」

「きな粉だけで食べるってことだけど」
「袋からゴソソーッて口に流し込むように」

「……」

「冷やかにならないでください。お願いします」
「確かに大学の奴らに食べ方を全力で否定されたけどさ」

「そりゃそうですよ…」

「いやだって、きな粉は美味しいだろ。残すのはもったいない」

「だからって単品で食べなくても…のどにへばりつくじゃないですか」
「口の中の水分も持っていかれますし」

「うーん、そんなに気にならんけどなぁ」
「粉薬とかでも水なしでいけるクチだからな、俺は」
~

「さて、唐突に話題を変えるけどさ」
「スーパーで売ってるわらびもちってわらびじゃないよな」

「…どういうことです?」

「わらびから作るわらび粉って本来は少し茶色っぽいんだよね」
「それに比べると、スーパーのは無色透明だろう?」

「そういえばそうですね」

「無色透明の方が涼菓ってイメージがあるからいいんだけどね」
「いつかは本格的なわらびもちってのを食べてみたいもんだなぁ」

「こことかどうですか?大阪の芭蕉堂」


「大阪かぁ…遠いな」

「お金があればどうぞ」

「うーん、お金があれば業務用の大量のわらびもちをたらふく食うってのも…」

「結局そっちですか!」

「ごめんごめん」
「つか、写真見たけど完全にきな粉かかってるよね」

「まぁ和菓子の店であれば、普通はきな粉付きでしょうね」

「そこは素直に従うべきなんだろうな…」
~第35回 終~