
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(5月17日より上映 トム・ハンクス主演)
28年前の「大いなる陰謀」といったところか。ソ連のアフガニスタン侵攻の際、裏でCIAや国防省と協力してアフガニスタンの武装勢力に武器等を調達し、ソ連軍を撤退させるまでに至った。アメリカの下院議員チャーリー・ウィルソンに関する実話をもとにしている。
どこまで実話に即しているのか分からないが、映画では一貫してチャーリーがアフガンの人民をを救った英雄として描かれている。だが結局彼のした行動は、後に9.11テロでアメリカを攻撃し、今度はアメリカがアフガニスタンを侵攻を引き起こす遠因にもなり、20年以上経った今でもアフガニスタンの政情は不安定なままである。チャーリーは初めからそうなることが分かっててアフガニスタンに学校を作るための予算を要求するが、武器を調達した予算の何百分の一の予算でやっても焼け石に水であると思う。(私の考えだが、実際チャーリーがそのとき本当にそんなこと言えたのか疑問に感じるが
「大いなる陰謀」のレビューでも書いたが、今の中東の不安定な情勢は「戦争」という負の連鎖のために20年前と全く変わってなく、大部分の国民が貧困にあえいでいる。それを少しでも解決していくためには「戦争」以外の手段が必要なのではないかということを改めて感じた。
映画自体は全体的に重い内容の「大いなる陰謀」とは違い、チャーリーのコミカルな一面やジョアンやガストといったクセのある演技で楽しめるところがあると思う。ただ私的にはチャーリーの補佐役であるボニーの演技に光るものを感じた。
トム・ハンクスは三枚目の役が似合うと思う。