伊良部シリーズにはまった私に、本屋の友人が薦めてくれた最新作。
「用もないのに」旅先ルポを書く条件で、あちこちに駆り出された中年男の愚痴が満載である。
いやー、この人はいつも言いたいほうだい言ってくれる。
北京五輪でことごとく負けた星野ジャパンを罵倒し、暑さのせいでほとんどパビリオンに入っていないのに愛知万博を物産展とこけにする。
熱狂的な野球ファンであるから、その上での言葉だとはすぐにわか . . . 本文を読む
高校生の頃に山本周五郎にのめり込んだ私が、ずっと読んでみたかったのが、この藤沢周平である。
ただあまりに多く、どれから手を着けて良いかわからない。
そこで、本屋で働く知人に薦められたのが、これである。
父親と兄弟子が政権問題に巻き込まれて切腹させられるということから話は始まる。
久しく武家ものを読んでいなかったこともあり、暗澹たる気持ちにさせられる。だが、その後は剣の修行、男同士の友情、巻き . . . 本文を読む
講義のために買ったのだが、結局使ったのは予定通り、むじな、ろくろ首、食人鬼だけであった。まあ一応、読み切ったけど…
50弱の怪談話やエッセイからなるのだが、どこかで聞いた話だと思ってみると、雨月物語の話だったりする。小泉八雲は日本の伝説を紹介したり、人伝えを聞き書きしたものもたくさん出しているようだ。
日本人の微笑、というエッセイでは、嬉しいときに限らず苦痛や失望のときでさえもみせる、微笑がテ . . . 本文を読む
久しぶりに読んだ横山秀夫の警察小説。ブルータスの「本」特集でも勧められていた。
この人の作品(警察もの)、は最近の自分にはしっくりくる。
トリックやアリバイを駆使したガチガチの推理小説ではない。
警務、警備、刑事、防犯、交通の5部の組織からなる警察の中で、これは警務を題材にした小説である。
凶悪犯罪が起きて刑事や鑑識が動き回っている訳ではないのだが、登場する「ひと」の描写が好きだ。
職場や家庭 . . . 本文を読む
けだるいというか、まったりとした中で始まる連続バラバラ殺人事件。
秩父の田舎を舞台にし、自然の描写や方言がふんだんに出てくる。そう、まるで目の前に草木が茂っているように。
犯行の動機などのプロットは面白いけど、犯行手段やアリバイなどのもうひとつの推理小説の醍醐味には欠ける。
連続バラバラ殺人事件なのだから、もうちょっとアップテンポな展開を読みたかったなぁ . . . 本文を読む
先日のミニレクチャアーで使った資料。
この1,2年は本屋に行ってもホラー小説が目白押ししている。
本棚の一角を占めているところもある。
ホラー好きにはたまらないが、あまりこんな本ばかり買って
いると白い目で見られそうなので買わないのだが。
この本の、本文中をみると怪談が100年周期で流行っているように書いてある。
でも、巻末の年表をみているとちょっと無理があるのではないか、と思ってしまう。
や . . . 本文を読む
むか~し買って,ほったらかしにしていた本.
ひょんなことからでてきた.私に言わせれば清水・サイバラという最強の組み合わせである.
そう,やさしく解説してくれて,それにあのサイバラが思う存分つっこむパターンである.
・地球の北半球を東京ドームの大きさとすると
エベレスト(標高8848m)は約13.9cm
マリアナ海溝(海面下10924m)は約17cm
この最大差30cmの凸凹があ . . . 本文を読む
司馬遼太郎と他の専門家による、「歴史上の人物」に対する個人像である。
ドラマを書くときなど配役を決めるときには、こんなことも大事になってくるんだろうな。
源義経:史上まれにみる軍事的天才。だが、決して美男子ではなく、首をさらして回るほどの残酷なところもあった。頼朝とのいさかいは政治的な観念が欠落していたから。
織田信長:人間をすべて機能的な存在として扱い、忠誠心があっても機能性のないものは容赦 . . . 本文を読む
せっかく終戦記念日に読んだのに、アップが遅くなってしまった。
一般庶民からの体験談である。
両手をなくした若者、焼夷弾で頭をやられた母親の手を離そうとしない少女…
戦争当時、まさしく底辺で生き延びた人々の身近で行った事実である。
誰もがこの戦争は負けると感じていながら、軍に逆らえず命を失って行った。残された人々の正直な気持ちが書かれている。敗戦が発表されて、安堵した様子もうかがい知ることが . . . 本文を読む
最近、どうも元素の本が目につく。
原発問題がでて、軒並み出版されているのだろうか?
水平リーベ、って意味もなく覚えたのは遠い昔。
こんな本でビジュアル的に習ったら、今ほど苦手にならなかったかもしれない。
標準的な人間のカラダでは、最も多いのが酸素で65%、次が炭素の18%、そして水素の10%。
残りのわずかを微量元素といい、そのほとんどは金属元素である。中でも重要なのが生体金属元 . . . 本文を読む