The Effect of Static, Ballistic and Proprioceptive Neuromuscular Facilitation Stretching on Vertical Jump Performance
Bradley, P.S., Olsen, P.D., Portas, M.D., Journal of strength and conditioning research, 2007, 21(1) 223-226
前書き
近年、ウォームアップについて様々な議論がされているが、その中でもストレッチングに関するものは非常に興味深いものが多い。従来、特に日本では運動前にはゆっくりとストレッチをして、関節の可動域を増したりすることでけがを防ぐことができると信じられてきた。しかし、最近ではスタティックストレッチによる弾性力の低下が指摘され、パワフルな動作のウォームアップにはゆっくり行い、ROMを増すことが目的のストレッチングは不向きであるというのが定説になりつつある。しかし、一方でROMに大幅な左右差がある選手や、動作に問題が出るほどのROM不足がけがの原因やパフォーマンスの低下につながる可能性も無視できない。この実験ではどのストレッチをしたら、どの程度のパフォーマンスの低下が起こり、一定時間後にパフォーマンスがどのように変化するかを検討している。
要約(Abstract意訳)
この実験の目的は3種類の異なるストレッチングが垂直跳びに一時的に与える影響について調べたものである。18人の大学生が実験に参加し、4つのグループにわけられ、それぞれが72時間、間をあけて、無作為にそれぞれ4種類のストレッチングを行った。実験ではすべてのグループが5分間のウォームアップを行った後、スタティック、及びカウンタームーブメントジャンプ(垂直跳び)をストレッチ前に行い、それぞれの種類のストレッチを行った後、5分15分30分45分、そして60分後に同様の垂直跳びを行い、測定した。ストレッチングは
コントロール(何も行わない)
スタティックストレッチ
爆発的ストレッチ
PNFストレッチ
を10分間行った。
実験の結果、ストレッチ直後の測定ではスタティックストレッチ(-4.0%)とPNFストレッチ(-5.1%)の後では、爆発的ストレッチ(-2.7%)よりも大幅にジャンプの高さが減少した。しかし、すべてのストレッチにおいて15分後にはもとのスコアまで戻っていた。この実験から、爆発的な動作をともなう運動を行う直前にスタティック、もしくはPNFストレッチを行うべきではないと、考察される。
感想
ここでもやはり、ROMを向上させるようなストレッチングはパフォーマンスに対してネガティブな影響があると言う結果になったが、15分後にはすべて回復していると言うところがおもしろい。結局このような単純なエクササイズを行う場合はウォームアップのみがいいのかもしれない。このように単純な動作のパフォーマンスが15分程度で回復している点をみると、後は精神的な影響を見たいものである。いずれにしても、チームスポーツなどの場合ではウォームアップ開始前にある程度時間をおけるという前提なら、スタティックストレッチをしても問題ないようである。しかし、相変わらず、精神に与える影響はまだわかっておらず、その部分の研究を待つばかりである。
Bradley, P.S., Olsen, P.D., Portas, M.D., Journal of strength and conditioning research, 2007, 21(1) 223-226
前書き
近年、ウォームアップについて様々な議論がされているが、その中でもストレッチングに関するものは非常に興味深いものが多い。従来、特に日本では運動前にはゆっくりとストレッチをして、関節の可動域を増したりすることでけがを防ぐことができると信じられてきた。しかし、最近ではスタティックストレッチによる弾性力の低下が指摘され、パワフルな動作のウォームアップにはゆっくり行い、ROMを増すことが目的のストレッチングは不向きであるというのが定説になりつつある。しかし、一方でROMに大幅な左右差がある選手や、動作に問題が出るほどのROM不足がけがの原因やパフォーマンスの低下につながる可能性も無視できない。この実験ではどのストレッチをしたら、どの程度のパフォーマンスの低下が起こり、一定時間後にパフォーマンスがどのように変化するかを検討している。
要約(Abstract意訳)
この実験の目的は3種類の異なるストレッチングが垂直跳びに一時的に与える影響について調べたものである。18人の大学生が実験に参加し、4つのグループにわけられ、それぞれが72時間、間をあけて、無作為にそれぞれ4種類のストレッチングを行った。実験ではすべてのグループが5分間のウォームアップを行った後、スタティック、及びカウンタームーブメントジャンプ(垂直跳び)をストレッチ前に行い、それぞれの種類のストレッチを行った後、5分15分30分45分、そして60分後に同様の垂直跳びを行い、測定した。ストレッチングは
コントロール(何も行わない)
スタティックストレッチ
爆発的ストレッチ
PNFストレッチ
を10分間行った。
実験の結果、ストレッチ直後の測定ではスタティックストレッチ(-4.0%)とPNFストレッチ(-5.1%)の後では、爆発的ストレッチ(-2.7%)よりも大幅にジャンプの高さが減少した。しかし、すべてのストレッチにおいて15分後にはもとのスコアまで戻っていた。この実験から、爆発的な動作をともなう運動を行う直前にスタティック、もしくはPNFストレッチを行うべきではないと、考察される。
感想
ここでもやはり、ROMを向上させるようなストレッチングはパフォーマンスに対してネガティブな影響があると言う結果になったが、15分後にはすべて回復していると言うところがおもしろい。結局このような単純なエクササイズを行う場合はウォームアップのみがいいのかもしれない。このように単純な動作のパフォーマンスが15分程度で回復している点をみると、後は精神的な影響を見たいものである。いずれにしても、チームスポーツなどの場合ではウォームアップ開始前にある程度時間をおけるという前提なら、スタティックストレッチをしても問題ないようである。しかし、相変わらず、精神に与える影響はまだわかっておらず、その部分の研究を待つばかりである。