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映画「クレヨンしんちゃん おらの引っ越し物語」 まさかのトレマーズとはね(笑)

2015年05月07日 12時30分00秒 | 映画・テレビドラマ・漫画
「クレヨンしんちゃん」の2015年の映画版「おらの引っ越し物語~サボテン大襲撃~」は、実写作品をひっくるめて、日本映画ではあまり無い分野の物語を作成。
それは、ある閉鎖された空間・土地に突如現れた、未知の生命体だとか得体の知れない生物群だとか凶暴な異星人だとかから、殺されないように住民たちが生き残りに邁進するという、ハリウッドB級映画でよくある筋立て。
パニック映画と云われるものです。

たとえば「エイリアンズvsプレデター」、「遊星からの物体X」。
ゾンビが出てくる物語や、ジェイソンの「13日の金曜日」シリーズといったホラー映画では定番の設定。

逃げようにも逃げられない宇宙船の中で、凶悪生命体からなんとか逃げようとする宇宙飛行士たちを描いた「エイリアン」。
絶海の孤島で、肉食恐竜の狩りから必死になって逃げ惑う科学者たちを描いた「ジュラシック・パーク」。
A級映画のこれらもその一種。

助けを呼んでも容易に援助が来ない限定された空間で、未知の生物だから対抗策も見出だせず、次々と一人またひとりと殺されて(捕食されて)いく-これでハラハラドキドキ。
その生命体の正体は何なのか?弱点は?主人公たちが勝つ術は?と観客の知的好奇心をくすぐる構成。
生き残った人たちの衝突や葛藤に醜さ、この事態に遭遇したことで生まれた友情・愛情といったドラマ部分。
パニック映画は、だから演出と脚本がしっかりとしていれば非常に楽しめる分野なのです。

で、「クレヨンしんちゃん おらの引っ越し物語~サボテン大襲撃~」は、成功の部類。
B級パニック映画の最高傑作のひとつ「トレマーズ」を彷彿とさせる、ってかこれを意識して物語を作ったに違いないはずだけど、「トレマーズ」を上手いこと翻意して、子どもにも親御さん世代、おばあちゃんおじいちゃん世代にも分かり易く製作したなあ、と。

映画「クレヨンしんちゃん」シリーズは、一作品を除いて全部を映画館で観てきた筆者ですが、こんなサスペンスフルなしんちゃんは初めてだから、その新鮮さも相俟ってスクリーンに釘付け。
「大人帝国」「雲黒斎」「ヘンダーランド」「戦国大合戦」といった過去の名作に比べたら、感動度では及ばないけど、娯楽度では歴代屈指だと評価します。


しっかし、パニック映画だったとはなあ。
春日部市を離れる、風間君たちとの涙の別れ、ここからメキシコでどんな物語が展開するんだ?またも摩訶不思議な秘密結社や秘密政府組織が現れて、野原一家を巻き込んで大騒動を繰り広げ、最後はまた春日部市に戻ってくるってオチか、なーんて予測していたら、よもやの「トレマーズ」的パニック映画!
サボテンに襲われるまでが平穏な、しんちゃんらしい呑気太平楽な流れだったから。
この急転直下、緩急のある組み立てに一気に引き込まれました。

チビッコたちに独占させるには勿体ない娯楽秀作です!

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