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天使と悪魔 第11章

2009-01-14 22:23:41 | ユウ
天使と悪魔 第11章 「謎」

「今日、必ず帰ってくるって・・・・・約束・・・したろ?」
今月号のあいどるに掲載されている[消えない恋]でのセリフ。
外国で3年間過ごしていた彼を主人公は信じきれずにいた。
いつか自分のことなど忘れてしまうのではないのかと。
3年間ずっと連絡もなかった彼を、空港で朝から晩まで待ち続けていたが帰ってこなかった。
今日は何か理由があって帰ってこれなくなったんだ、と自分に言い聞かせながら帰ろうとすると、携帯からメールの着信音。
彼の親である
今から話がしたい、海岸に来い、という内容で、主人公はなんだろうと思いながら海岸へ。
しかし彼の親の姿は見つからない。
主人公は彼の親に良く思われていなかったので、いやがらせをされたのだと思った。
彼が帰ってこないことと、彼の親からのおいうちから悲しみがこみ上げてきて1人海岸で泣き続ける主人公。
後ろから主人公を呼ぶ声。
男の人の声だ。
聞きなれた、だけど3年間聞きたくても聞けなかった声。
後ろを振り向くとそこには少し背が伸び、男らしくなった彼がいた。
すぐに主人公は彼に駆け寄り、抱きつく。
彼も主人公の頭を撫でながら抱きしめる。
主人公はそれがたまらなく嬉しく、涙がよけいにこみ上げてくる
しゃっくりまじりに彼の名前を何度も呼びながらこう言う。
 「もう・・・帰ってこないのかと思った・・・さびしかった・・・・・ずっと遠くにいて、そのままずっと・・・・会えなくなるんじゃないかって・・。」
そこで彼がこう言う。
 「バカ、今日、必ず帰ってくるって・・・・・約束・・・したろ?俺がお前をずっとほっとくわけ、ないだろ・・・・・・。」
その日は主人公の誕生日であった。



 ソラ「う、う・・・グスン・・・・・」
 アポロン「な、泣くな・・我まで泣きそうになってしまうであろう!!」
私とアポロンは家で一緒に[消えない恋]を見て泣いていた。
 ソラ「だって、だって・・・・・帰ってきてよかった~!」
いまさらだけど私は涙もろい、いや、感情的なんだろう。
 アポロン「う、うむ・・・本当によかった・・・うう・・・」
ペットは飼い主に似るというのは本当かもしれない。
 アポロン「と・・・ところで、昨日会った悪魔に似たやつがいるとな?」
そう、学校から帰ってきたら真っ先にそのことを話し始めたのだが、バックから[あいどる]を出したらアポロンが興味を示したので、つい読んでしまった。
 ソラ「うん、性格がすごく似てるんだ、私のことチビだチビだって言うし。」
 アポロン「う~む、それだけではなんとも言えんな。」
 ソラ「だから、アポロンにお願いがあるの。」
 アポロン「なんだ?」
私はアポロンに黒陽がピアノを弾くときに学校に来てほしいことを言った。
そうすればアポロンの存在に気づき、なにか反応があるのではないか、と。
 アポロン「なるほどな・・・しかしその黒陽とやら、悪いやつではなさそうだな。」
 ソラ「なんで?」
 アポロン「よいか!音楽を愛する者に悪いやつはいないのだ!!」
アポロンは右前足を上げて主張した。
人間なら人差し指を立ててビシッときめている感じだろう。
 ソラ「・・・・・それで、来てくれるの?」
 アポロン「もちろんだ、しかしそやつが悪魔であっても反応しないかもしれんぞ。」
 ソラ「えっ?なんで?」
 アポロン「よいか、性格しだいではあるが、自分が悪魔や天使だということを知られたくない者もいるのだ、我のことが見えても無視する可能性だってあるであろう。」
なるほど、確かに。
その考えはなかったと頷く。
 ソラ「う~ん、じゃあ、やっぱ来なくてもいいよ。」
 アポロン「いや、行く、我はピアノが聞きたい、どうせそなたは弾けないだろうし、マリーは忙しいので弾く暇はないであろうし、この機会を逃すわけにはいかぬ。」
でもアポロンを学校に連れてくるとなると色々と面倒かもしれない。
あれはなんだ、これはなんだと聞いてくるかもしれないし、ほかの人には見えていないとはいえ、私には見えてるのだ。
授業中、目の前をちょろちょろされるのはちょっと・・・・・
アポロン「ソラ、今から学校に行こう。」
ソラ「へっ?なんでまた行かなきゃならないわけ?」
アポロン「興味がわいてきた、そなたがどんな場所で学問を学んでいるのか知りたい、連れてってくれ」
こ・・この小動物は・・・・・・!
好奇心旺盛なのはいいが、なんでこう自己中なんだ。
 ソラ「やだよ、部活もやってないのになんで再登校しなくちゃならないわけ?私バカみたいじゃん。」
 アポロン「天使の姿になれば姿は見えない、だから馬鹿にされることはない。」
本当にもう、目的のためなら手段をえらばないというか・・・・
負けた・・・・・
私は「はぁ」とため息をついた。
ソラ「・・・もう、しょうがないなー、ちょっと見たらすぐ帰るからね!」
結局、私は学校が終わったにもかかわらず、再びそこに向かうことになった。
しかし今度は天使になって行くから20分も歩いたりしないですむ。
家を出て、鍵をかけ、腕輪を着け、飛んでいく、あっという間だ。
5分もせずに学校に到着。
グランドでは野球部が掛け声を発しながらランニングしている。
 アポロン「ほほう、にぎやかだな、人間は走るときはあのように大声をだすものなのか?」
なんか変な誤解してるな。
 ソラ「いや、あれは特殊なもので・・・普通は声出さないと思うよ。」
 アポロン「ほう・・人間にも特殊なものとそうでないものがいるのか。」
そういうことではないがこれ以上何か言ったらもっとひどい誤解をするかもしれないので黙っておく。
それから校内に入り、教室を巡っていった。
 アポロン「同じ部屋ばかりだな。」
 ソラ「あ、ここ、茶道部が使っている教室だよ。」
紗江はどうしてるかな。
 「ほら、倉田さん!そこは左手が前になるように言ったでしょう!加藤さんも!背筋が丸まっているわよ!何度言ったらわかるの!」
教室から顧問らしき人の声が聞こえてきた。
 アポロン「・・・・・・・・」
 ソラ(紗江の様子を見ようかと思ったけれど・・・・・・・)
やめておこう、おっかない。
私はその教室をあとにした。
 アポロン「ソラ、あの建物はなんだ?」
 ソラ「ああ、挌技場、柔道部と剣道部が活動してるとこ。」
 アポロン「おお、人間も日々鍛錬しているのだな、見習わなければ。」
見学したい、と言うのでしかたがなく挌技場へ。
だれかが投げられ、たたきつけられる音と竹刀同士がぶつかる音が頻繁にする。
そっとドアの隅っこからアポロンと覗いてみる。
 ソラ「うわー、すごいなー、男の世界ってかんじ・・・?」
 アポロン「なんだ、剣道と言っても木の棒で戦っておるのか。」
もしかして真剣でやっていると思っていたのだろうか。
 アポロン「で、黒陽とやらはどれだ?剣道におるのだろう?」
 ソラ「ああ、え~と、どれだろ・・・・」
皆、面をかぶっているから誰が誰だかわからない。
 「おい・・・あの2人がやっているって?」
 「ああ、ほらあれ、なかなか勝負がつかないんだよな。」
近くにいた柔道部が剣道部の方を見て言う。
彼らが示している方には2人の剣道部が激しく打ち合っていた。
 アポロン「おお・・・・すごいな・・・・・・!」
本当にすごい、お互い一歩も引かない。
 ソラ「そういえば、黒陽もアラタくんも剣道がめちゃくちゃ強いって聞いたことが・・・・」
 アポロン「じゃああのどちらかが黒陽なのだな、・・・・どっちだ?」
いや面つけてるし、互角だし、わからない。
 ソラ「と・・とりあえずしばらく見てよう、いつ終わるかわかんないけど・・・」
それから20分・・・・・・・まだ勝負がつかない。
すごい打ち合いだからたいくつはしないけど、これほど剣道の試合というのは長く続くものなのだろうか。
 アポロン「おお・・・・これほど長くなるとは思わなかった・・・・人間の気力というのもすごいな・・・・・」
アポロンまで感心している、私もびっくりだ。
黒陽もアラタ君も私とは違い、頭が良く、勉強もできる。
おまけにこの運動神経。
さらにアラタ君は性格も良い非の打ち所のない美形である。
なぜこんなにも2人は色々な才能に恵まれているのか。
私はできることは少ないから2人がうらやましいと思う。
 アポロン「も、もっと近くに行ってもいいか?」
 ソラ「うん、そうだね・・・・って、ダメ!」
アポロンが答えを聞く前に中へと入って行ったので私は慌てて引き止めた。
 ソラ「もー!黒陽が悪魔だったら気付かれるでしょうが!」
 「メーン!」
その瞬間、「バシーン」と竹刀が面を打つ音が聞こえた。
あの2人の壮絶な戦いがようやく終わったのだった。
挌技場のいたるところから「お~」という声が聞こえてくる。
 アポロン「!!・・・・・そなたのせいで見損ねたではないか!」
 ソラ「しょうがないでしょ!ほら終わったんだし、行くよ!」
私たちはすっかり中に入ってしまったので急いで出ることにした。
 ソラ「もー、よく考えて行動してよね!」
外に出た私はアポロンにお説教していた。
 アポロン「・・・ううむ、すまぬ、つい・・・・黒陽というやつが悪魔であるという可能性をすっかり忘れてて・・・・」
アポロンは前足を片方、顔にあてて「しまった」みたいなしぐさをした。
どうやら反省はしているようだ。
 ソラ「はぁ・・・・まあいいや、試合中で気付かれてなかったみたいだし、でも、今度からは気をつけてよ。」
ちょうど薄暗くなってきたのでもう帰ることにした。



試合が終わった挌技場でツバサとアラタは面をとり、壁の端で休んでいた。
さきほど、柔道部を含む大勢の取り巻きから開放されたばかりである。
試合に勝ったというのにツバサは納得のいかない顔をしている。
 ツバサ「アラタ、お前さっきよそ見しただろ。」
 アラタ「ああ、ごめん。」
スポーツドリンクを一口飲み、軽くあやまる。
 ツバサ「あんまり勝ったって気にはなれないな。」
 アラタ「そんなことないよ、僕に隙ができてその隙をツバサは見逃さなかった、完全に僕の負けだよ。」
 ツバサ「お前が試合に集中できなくなるなんて、らしくないな。」
アラタはツバサの汗で濡れた頭をタオルで拭いてやり、笑いながら言った。
 アラタ「べつに、ただちょっと面白い子を見かけただけさ。」

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