紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

『冬の友』の謎

2006-03-07 23:19:33 | 読書
 私が子どもの頃、夏休みの宿題として『夏の友』、冬休みの宿題として『冬の友』が1冊、学校からの宿題として渡された。いろんな教科がパッケージされた薄い問題集だった。それにしても「友」はないだろう。宿題のどこをどうつつけば「友」になるのかまったく不思議なネーミングだ。

 今の子どもたちほど勤勉でも忙しくもなかった私は、それぞれの休み中にやっとこさそれぞれの「友」を、まじめに仕上げて提出した。今から思うと絶対いまの子どもたちには極秘にしないといけないくらい、のどかな時代だった。

 何年生のときだったかは忘れてしまったが(高学年ではなかったように思うけど?)、忘れられない『冬の友』がある。

 国語の読解問題だったのか、単にブレイク(箸休め)の昔話だったかも、よく覚えていない。でも「なぜ?」と疑問符を抱え込んだのはよく覚えている。こんな話だ。

 年頃の娘がいる夫婦が娘婿を探しているが、ものすごく働く男でないと夫婦は納得せずダメが出る。ある日とてもガタイのいい男が娘を嫁にとやってきたので、夫婦はほとんど「それ、無理だろう」というようなハードな仕事をクリアしたら娘を嫁にやる、と男に約束。そして鬼の様に無理難題的仕事をこなして、難なくクリアしてしまった男に「働き者の婿だ」と大喜びした両親は、すぐさま娘を男の嫁にしてしまった。
 その夜。若い夫婦の寝屋から娘の「いたいよう、いたいよう」という声がきこえたが、両親は「結婚したばかりだから」みたいなことを言って、気にしなかった。翌朝、両親が寝屋へいくと、娘は鬼に食われてしまっていた。
 という恐ろしい話だった。

 どう考えても小学生にふさわしい昔話とは思えない。夢でも見て、それを過去の記憶として誤ってとどめているのかもしれない、と思うくらいありえない。でも同時にやかんから湯気がでていて、こたつに潜り込んでいる自分の記憶もリアルに甦るのだ。

 当時は「なんで『いたい』と助けを求めているのに、親は見殺しにするんだろう?」という点が、不思議でしょうがなかった。
 いまはかつての謎は氷解したが、別の観点から謎だらけだ。
なぜこれがわざわざ『冬の友』に載ってしまったのか? 
ノーチェックだったのか? 
その頃の大人はこの話になにがしかの教育的な意味を感じていたのか?

 はるかかなたの記憶からたまさか甦る『冬の友』の謎でした。

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