
この作品は、黎明期の少年ジャンプに連載されていたコミックだ。
私は連載中のリアルタイムで読んだわけではなかった。
単行本で出た時に、買ってまとめて読んでみた。
当時の単行本で全2巻で完結だったので、小学生でも揃えやすかった。
読んでみようと思ったきっかけは、やはりなんといっても「原作・梶原一騎 作画・川崎のぼる」という黄金のコンビの作品だったから。
そう、もちろんあの「巨人の星」の名コンビだ。
この黄金コンビの作品なんだから、つまらないはずがない!と思って買ったのを覚えている。
このコンビの作品であるということで、つい熱血スポーツ根性ものを想像してしまう方は多いはず。
でも、この作品は決して「スポーツもの」ではなかった。
とはいえ、熱血や根性の要素はあったけれど。
では、スポーツでなければ、どういうジャンルか?というと。
この作品の主人公は「漫画家」である。
なので、あえていうなら「熱血漫画家根性」もの・・・と言ったほうがいいのかもしれない。
漫画家が主人公ということで、「巨人の星」のような肉体的な特訓をするわけではない。
キャラクターは、ほぼ「巨人の星」に近い。
ヘンな例えだが、仮に「巨人の星」がドラマだったとしたら、ドラマ「巨人の星」に出演した役者のメイン級の何人かが、そのまま「男の条件」にも出演した・・・そんな感じだった。
この作品の単行本を入手して読んだ時、かなり感動し、全2巻の単行本をあまりに何度も読み返したので、単行本のページがノリから剥がれてバラバラになってしまった。それゆえ、もう何十年も読んでいない。
うかつに触ると、さらに単行本がバラバラになってしまいそうなので、、もう読める状態じゃないということ。
だいいち、中には紛失してしまたtページもあるはずだ。
なので、この記事は、何十年も前に読んだ時の記憶を元に書いている。
それゆえ、記憶違いの部分があったとしたら、ご容赦願いたい。
漫画家が作品を描くということは、どういうことなのか。
描く際の心構え、精神性、姿勢などが熱く熱く語られ、ちゃんと取材をし、小手先で表面だけを追い求める作品を描いてはいけない。
それが全編を貫いていた印象があった。
何十年も前に読んだきりの作品だが、今でも印象深く覚えている箇所はいくつもある。
例えば・・
・主人公・旗一太郎のセリフ「うかつに悪役など描けない。悪役にはそうならざるを得なかった悲しい理由がある」
・旗一太郎が自分の作品をパクったライバル月影光に対して「お前の辛い過去に免じて俺の作品はくれてやる。その代わり、次は本物(のオリジナル)を描け。」
・売れっ子漫画家になっているある漫画家が、才はあれど中々世に出ない旧友・男谷草介になんとかチャンスを与えようとすると、男谷は「友情だけいただいておく」と言って去るシーン。
・男谷草介の漫画にかける姿勢や情熱に惚れ込み、弟子入りを志願する一太郎。
・ヤクザに因縁をつけられ、その落とし前として、そのヤクザのボスの息子を漫画で感動させることができたら許す・・・・とされ、その息子を主人公にした作品を描く。その作品はその息子を厳しく描きながらも、鼓舞する内容だった。
などなど、何十年も前に読んだきりなのに、今も忘れられない場面は何か所もある。
上記のリストの中でも、特に「うかつに悪役など描けない。悪役にはそうならざるを得なかった悲しい過去がある」というくだりなどは、特に私の心の奥深くに突き刺さった覚えがある。
ついでに言えば、主人公である旗一太郎のライバルである月影光は本名が山野権太というものであったことも最近思い出した。
月影は、まんま花形満そっくりのルックスのハンサムなキャラで、悲しい過去を持つ。、そのせいもあったろうし、なにより山野権太という本名が嫌で、月影光・・・という、なんともキザなペンネームを使っていた。それは月影にとっては、過去の自分からの脱却であったろうし、ある意味リベンジでもあったろう。「自分を苦しめた過去を、見返してやる!」みたいな。
思い出したきっかけはNHKの連ドラ「半分、青い」に出てきた漫画家・秋風羽織の本名が「美濃権太」であったこと。
秋風も美濃権太という本名が嫌で、秋風羽織というきれいなペンネームを使っていた。
月影光も秋風羽織も共に漫画家。2人とも容姿がかっこよく、複雑な過去があり、本名が同じ「権太」で、共にその本名が嫌でかっこいいペンネームを使っていた。
そんな共通点があるので、「半分、青い」の秋風先生を見ていて、私は「男の条件」の月影光を思い出してしまったのだった。
それは、私が月影光に対して思い入れがあったからだろう。
ちなみに私は「半分、青い」では秋風先生が一番好きだった。その秋風先生の本名が「権太」であることを知った時、もしかしたら「半分 青い」の作者は「男の条件」を読んでいたのだろうか・・などと思ってしまった。
なんてったって「権太」繋がりがあるもの(笑)。
ともあれ、「半分 青い」の秋風先生の本名を知ったのがきっかけで、思い出した作品「男の条件」。
「半分 青い」も、ストーリーの中盤は「漫画家モノ」だった。
「男の条件」もまた「漫画家モノ」。
でも、同じ「漫画家モノ」でも、内容は全く違う。
漫画家モノの作品は、世に何作もあるが、「男の条件」は他の漫画家モノとは一味もふた味も違う作品だ。
ともかく、熱く、気高く、真摯な作品。良い作品を描くということは、どういうことなのか。そしてその心構えは。
そんなことを教えてくれる作品だ。
そしてそれは、こと漫画だけに限らないことなのだろう。
今では「幻の名作」とされており、「男の条件」という作品を知らない人の方が多いと思う。
けっこう変わり種の作品ではあるが、内容は重たく、面白い。物語は全2巻という比較的短めの作品だが、読み応えは十分だ。
作品作りにおける梶原先生の理想とする精神性、そして川崎先生の見事な画力、黄金コンビの油の乗りきった頃の熱い作品だ。
いつかドラマなどで映像化してもらいたい・・・と、当時思っていたのだが、発表から随分時間が経過してしまい、今では埋もれてしまっているのが残念。
作品作り・・・という作業に従事する方々には、特に一度見てもらいたい。
「半分 青い」の美濃権太がお好きな方も、ぜひ(?)。
埋もれさせておくのは、もったいない作品だ。
『男の条件』
タイトルだけ見れば、應援團や武道系倶樂部を連想させる「硬派漫画」と思いましたけど、「漫画家が主人公」とは意外ですね。
特に梶原一騎先生のような硬派一徹を誇る人物が関係しているのに。
しかし、やはりカッコいい台詞は目白押しですね。
「悪役」に対する想い、深く考えさせられます。
特撮物でいう「怪人」「怪獣」などは除外されるでしょうけれど、「悪役にも涙の事情あり」
古き良き刑事(ドラマ)のようです。
男の、男による、男のためのキザな台詞、カッコいい台詞、私は大好きです。
「矢吹丈」や「花形満」のように、カッコつけている、キザな男も人間的に大好きです(笑)
最近は、読者の人生を熱く応援してくれる劇画・漫画が本当に無くなりましたね。
貴重な日本文化ですから、梶原一騎先生によるシリーズは復刻を望みます。
う〜ん、あまりはまらなかったのか記憶が曖昧です。
憶えているのは主人公が自分の血でなにかの機械(?)を床に描くシーンとか
隻眼の星一徹(笑)が出てくる…あ、元ヤクザの老人でしたっけ。
主人公の作品(まんが本に載った作品じゃなくてなぜか紙芝居…
なぜ紙芝居だったのか理由は全く憶えてません)が盗作されるエピソードがあり、
その犯人の漫画家が「巨人の星」の嫌味キャラ速水譲次みたいな顔だった…
頭はスポーツ刈りじゃなく、なんかゆる〜いパーマかけてましたね。
連載当時はしょせん小学生、内容が硬くてあまり真剣には読まなかったんでしょうね。
同時期に連載してた「ハレンチ学園」は、強烈に憶えてるんですけどね〜(笑)
漫画家が主役ですが、内容はかなり硬派です。
むしろ、軟弱な作品作りや姿勢には批判的です。
そのへん、さすが梶原一騎作品という感じです。
悪役に対する思いは、当時の私の心にも深く突き刺さりました。
そのへんは、この作品から私が一番強く受け取ったものかもしれません。
2枚目だが、悪役でもあった月影光には、当時私は、その辛い過去に同情しました。
だから、主役の旗一太郎の月影への態度にもグッときました。
この作品、映像化してほしかったんですが、、、。
ジャンプの黎明期でしたから、ハレンチ学園や、男一匹ガキ大将などか連載されてたころだと思います。
ヤクザの老人、紙芝居、速水みたいなキャラクター、、いやあ、かなり覚えてらっしゃるじゃないですか。
その通りです。
ちなみに、速水みたいなキャラクターが、月影光です。
花形満も混ざったようなキャラクターでした。
川崎のぼる作品の典型的なライバルスタイルでした。