私が子供の時に放送されていたアニメは、少年モノだらけだった。
少年じゃない主人公であっても、性別は男だった。
こうも男の子向けのアニメばかりでは、女の子たちには不満はないのかなあ・・などと漠然とは感じていた。
そんなある日。
アニメ史に重大な意味を持つアニメが始まった。
それがなぜ「重大」だったかと言うと、ついに「少女が主人公のアニメ」が始まったからだ。
その作品とは、もちろん「魔法使いサリー」。
原作は「鉄人28号」などの作者・横山光輝先生という男性だったが、「サリー」は女の子向けの作品であった。
余談だが、この「サリー」は初め「サニー」という名前だったのだが、車の名前に「サニー」というのがあったので、「大人の事情」で「サリー」に変更になった・・というのは今ではよく知られた事実である。
して、この「魔法使いサリー」。
男の子だった私はどう受け取ったかというと・・・極めてすんなり受け入れたような気がする。
「ついに女の子向けのアニメが始まったか!」「今後は、女の子向けアニメの逆襲(?)が始まるのかな?」などと思いながらサリーを見ていた。
作品は面白かった。
むしろ新鮮に感じられもした。
超能力者、ロボット、サイボーグ、忍者、などのヒーローはそれまでにたくさん居たのだが、魔法使いが主人公の国産テレビアニメってのは・・・・確か、初めてだったような気がする。
だから、主人公の特殊能力の項目に新たに「魔法使い」というジャンルが加えられた気がした。
脇役(遊星少年パピイに出てくる、アジャババ)や、海外からの輸入アニメ(大魔王シャザーン)では魔法使いは居たけども。
「魔法使いサリー」は、いきなり始まるオープニング曲も良かった。
♪マハリク マハリタ ヤンバラヤンヤンヤン
の魔法の呪文と共に始まるその主題歌、サウンドも実によかった。
この「マハリク マハリタ」ってのは、魔法の呪文として一般的だったのだろうか。それとも、この作品のオリジナル(造語)だったのか。
当時私は「サリー」のオリジナル呪文かと思っていた。
だが・・・・
ここで少し話は飛ぶ。
ファミコンが大ブレークしてた頃、「ウィザードリィ」というロールプレイングゲームがあった。
これは戦士、盗賊、僧侶、魔法使いなどがパーティを組み、戦いを続けるうちにレベルアップして各キャラが各キャラの職業に応じた成長を遂げてゆき、最後には大ボスをやっつける・・そんなゲームだった。
その中で出てくる「魔法使い」という職業はレベルアップするごとに様々な魔法を覚えてゆくのだが、魔法使いが覚えてゆく魔法の中に、なんと!「マハリト」という魔法があったのだ。
確か、火炎攻撃の呪文だったと思う。
これが国産のゲームなら、「マハリト」は「サリー」魔法の呪文からヒントを得た呪文かと思って終わりだったろう。
だが、このウィザードリィは元は海外のゲームだったのだ!確か生まれはアメリカのはず。
ってことは・・・。
ウィザードリィを開発した海外スタッフが過去に「サリー」を見たことがあったか、あるいは「マハリト」という呪文が元々海外で存在してた言葉だったのか・・そのどっちかであろう。
では、どっちなのだろう。
「マハリク マハリタ」という呪文は、主題歌の作曲者・小林亜星さんの考え出したアドリブである・・という説がある。
真偽のほどはいかに?と、ちょっと調べたところ・・・・
「マハリク マハリタ」というのは、本来サンスクリット語の呪文で、実際そういうのがあるらしいとか。もしそれが本当だとしたら、なにやら本格的にも思えてくる。
何の呪文かはよく分からないけど、王を讃える言葉らしい。
サンスクリット語は、インドの古い言語。
「マハ」は「大」という意味があるらしいので、「大きな→偉大な」という意味合いで考えられる。
で、「マハリク マハリタ」はサンスクリットの呪文では「偉大な王、偉大な法」という意味があるとかないとか←どっちやねん。
また「マハリク」の「リク」、「マハリタ」の「リタ」は仏教用語である・・という説(?)もネット上ではあった。
いやはや情報が錯綜し、確実なところは、無学な私にはわかりましぇん(泣)。
ともあれ、とりあえずサリーはサンスクリット語で呪文を唱えていた・・・と考えると、けっこうもっともらしくなる。
ただ・・・王を讃えるその呪文で、なぜ木が家に変身する(オープニングにそういうシーンがあった)のかは、今持って分からないが(笑)。
ちなみに、サリーの主題歌で「マハリクマハリタ」の後に出てくる「ヤンバラ ヤンヤンヤン」はスタッフの語呂合わせのような気がする。まあ、これはあくまでもこれは私個人の意見だが。
だから、「マハリク マハリタ ヤンバラヤンヤンヤン」でも良ければ、「マハリク マハリタ ヤンバルクイナ」「マハリク マハリタ ピッタシ カンカンカン」でも良かったのではないだろうか(爆)。
大魔王シャザーンなら「マハリク マハリタ パッパラパッパッパ~」とでも唱えるのかもしれない←嘘です。
で、「マハリト」に話を戻せば、「リト」には「炎」という意味があるらしい。
そうなると、「マハリト」は「大きな炎」という意味になり、ウィザードリィの中で「マハリト」が火炎呪文だったことは、つじつまが合う。
てっきり、スタッフの造語かと思っていた、サリーの「マハリク マハリタ」は実在するサンスクリット呪文にあるらしく、ウィザードリィの「マハリト」も「大きな炎」を意味する言葉であった。
ウィザードリィのスタッフがサリーちゃんの真似をしたわけではなく、またサリーも全く無意味の言葉を唱えてるわけではなかった・・・・そういうことになる。
とりあえず、これですっきりした・・ことにしておこう(笑)。
ああ、よかった(?)。
まあ、このことを知っていたからといって、日常生活には何の得もないし、ましてや影響などはないのだけど。
「魔法使いサリー」は、相当人気があったらしく、何度も何度も再放送された覚えがある。
サリー以後、様々な魔法少女アニメが登場した。
サリーはアニメに「魔法少女モノ」というジャンルを確立させた立役者であった。
その存在の意義は大きい。
さっきオープニング主題歌のことを話したが、エンディングテーマにも印象的な曲が多かった。
「魔法のマンボ」「いたずらのうた」「パパパのチョイナ」などなど。
魔法少女アニメのエンディングテーマの名曲としては「ひみつのアッコちゃん」の「すきすきソング」も忘れ難く、いやはやこの頃のアニメソングのエンディングテーマの充実ぶりたるや、オープニングに勝るとも劣らない。
ちなみに、アッコちゃんの「テクマクマヤコン」「ラミパス ラミパス」は全くの造語らしい。
「ラミパス」に至っては、「スーパーミラー」を逆から読んだだけ・・・とのことだ。
スーパーミラー・・・そういや、アッコちゃんは鏡を使って魔法を使っていたっけ。
そりゃ確かにスーパーミラーだよねえ(笑)。
オー、シンプル!
今や、「女性向け」とされるアニメはすっかり市民権を得て、むしろ「女性向け」という形容すら不自然になっている。
そういう作品の男性ファンだって大勢いるようだし。
だが、その道を切り開いたのは「サリー」であったと言える。
彼女は最終回で、皆の前で大きな魔法を使い、学校の火事を食い止めた。
その結果、自分が魔法使いであることが皆にバレてしまい、故郷に帰って行った。
だが、彼女は学校を救うために使った大きな魔法と共に、その後のアニメ界にも「魔法少女路線」「少女向けアニメの確立」という大きな大きな魔法をかけて、去っていったのだ。
で、彼女がかけた魔法は、その後大きく花開き、現在に至っているというわけだ。
マハリク、マハリタ、・・・恐るべし。
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サリーちゃんは、人間界に降り立つ際、「魔法使いとバレてはいけない。バレたら最後、人間界から去らねばならない」という約束で、来たのですか?
私が小学生時代、大好きで夢中になっていたアニメでしたが、最初回と最終回が抜けているんです(^^;)
「サリー」という名前については、後年の私がロックンロール・ファンになった時、リトル・リチャードによる代表曲「ロング・トール・サリー」で、「魔法使いサリー」を懐かしく思い出したことも、今では遠い思い出です(´∀`)
呪文の由来、よく調査されましたね!
だんぞうさんは、「モスラの歌」の謎も、見事解決されてらっしゃいますよねo(^-^)o
次は、『ドラゴンクエスト全呪文解読』にチャレンジしては、いかがですか?(*^^*ゞ
サリーの出だしはよく覚えてないのですが、最終回は断片的に覚えてます。
サリーたちの通う学校が火事になり、サリーはそれを食い止めようと、塀の上にあがり、皆が見ている前で魔法を使い、火事をくいとめたのです。
その結果彼女が魔法使いであることがばれ、人間界にいられなく、、、というか、居づらくなり、魔法界に帰っていった、、、そんな感じで私は覚えてます。
マハリクマハリタがサンスクリット語であるのが分かったときは、少し驚きました。
モスラのテーマの意味は、ネットで調べてわかりました。
ドラクエ呪文は、案外分かりやすいのもあります。
響きからきてるものも多いです。
例えば、目玉がパニックになるからメダパニ、冷やすからヒャド、、、とか。