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子供時代から大学卒業するまで、私は自分の部屋のあちこちに何かをベタベタ貼って飾っていた。
子供の頃は、柱に漫画やアニメキャラのシールやワッペン、壁には雑誌付録などを。
中学以後は、好きな役者やミュージシャンなどのポスターや切り抜きを。
高校以後になると、部屋の壁は、ちょっとでもスペースがあろうものなら、お気に入りのミュージシャンのポスターで占められていた。
それは大学卒業まで続いた。
貼っていたポスターで一番多かったのは、レコード屋でレコードを買うとサービスでついてくるロックミュージシャンポスターと、LPレコードのジャケット内に折りたたまれて入っていた付録(?)ポスターなどが大半になった。
高校の時は、ビートルズ、ミックジャガー、ジョン・マクラフリン、などのポスターがベタベタ貼られ、壁には「空きスペース」はない状態だった。ディランのポスターはこの頃はまだ持っていなかった。
大学の頃になると、ディラン、スプリングスティーン、イーグルス、ジェフ・ベック、マイク・オールドフィールドその他のミュージシャンのポスターが、壁だけてなく天井にも貼ってあった。
おまけに、アルバムジャケットを壁に飾るようにもなった。
・・・そういえば、女性アーティストのポスターというのは、ほとんど貼った記憶がない。それは小学校の頃から大学に至るまで。
アグネス・ラム、ピンクレディー、山口百恵などは、周りでは貼ってる人はけっこういたけど、私は貼った覚えがない。
きっと、私が憧れたミュージシャンの大半が男性ミュージシャンだったからかもしれない。
どうも、壁に余白があると、何か貼らないと気が済まない・・・そんな感があった。おかげで、部屋の中の壁や天井には「空きスペース」は無い状態だった。
就職してからも、数年はその部屋から会社に通っていたので、部屋の中のポスターはそのまま放置されていた。
その後、1人暮らしをするようになってから、それまでとは一変、壁には一切何も貼らなくなった。
それまでの落差から、当初は若干の物足りなさは感じたが、それ以上に、壁に何も貼っていない「全面余白」の状態に妙にスッキリ感を感じた。価値観が変わったというのもあったが、いつまでも学生時代のノリを引きずりたくない・・そんな気持ちもあったように思う。
人が自分の部屋を訪ねてきた時などに、学生時代と変わらない状態の部屋だと、少し恥ずかしい気もしたし。
どうやら、1人暮らしを始めたというのが、一つのきっかけになったようであった。
で、今はどうかというと。
ミュージシャン関係のポスターはない。
代わりに藤城清治さんの版画がプリントされたハンカチや、旅先で買ってきた「ご当地提灯」、エスニック関係のポスター、自然風景の大きなポスターなどが貼ってある。
とはいえ、余白もしっかり確保。
本当は、ジャンゴ・ラインハルトあたりのポスターでもあれば、一枚ぐらい貼ってみたい気はあるが、さすがにもう学生時代のように「壁一面に大量のポスターがベタベタ」状態にする気はない。
学生の頃、何かの訪問販売があり、その担当者が私の部屋に入ってきたことがあり、その時の営業さんの表情は、私の部屋のいたるところに貼られたポスター類で余白がない状態の部屋を見渡して一瞬どう反応していいかわからないような表情をしたことがあった。
営業さんのその一瞬の表情を見て、私の心のどこかに、「部屋のこのポスターベタベタ状態から、脱しないといけないかな」という思いが宿り、それが心の中に引っかかっていたのだろう。
で、その後の1人暮らしでは、いい転機になったし、私自身の中に「いい転機にしよう」という思いもあった。
今思うのは、学生時代に私の部屋に遊びに来た友人たちは、私の「ポスターだらけの部屋」を見て、どう思っていたのかな・・ということ。
もっとも、当時は、私も友人の部屋に遊びにちょくちょく行ってたもんだが、たいがいの友人の部屋にはポスターがかなり貼られていたように思う。
もちろん、あまりポスターを貼っていなくて、余白の多い状態にしている友人宅もあったが、少なくても私のまわりでは、ポスターなどをかなり貼っている友人宅の方が多かった。
なので、部屋にベタベタポスターが貼られている状態というのは、お互い様だった。
だから、お互いに何も言わなかったのだろう。また、初めて訪ねる友人の部屋だと、壁にどんなポスターが貼ってあるかで、その人の趣味も分かった。中には、普段その友があまり語らないミュージシャンのポスターが貼ってあったりすると、その友の隠れた趣味や一面なども見つけられ、ちょっと楽しかった。
思うに・・部屋にポスターがベタベタ貼ってあると、部屋の雰囲気は「うるさい」というか、賑やかな感じになる。
逆に、何もポスターなどが貼られていないと、部屋の中は、多少殺風景ではあるかもしれないが、落ち着いた雰囲気になる。
その時々の自分の心がどういう状態を求めているかで、変わるのだろう。
ポスターをベタベタたくさん貼ってある場合は、賑やかな中でいたい・・・とか、あるいは自分の好きなものの中に囲まれて絶えず自分の世界に浸っていたい・・とかそんな心境なのかもしれない。そこは、小さな「自分の城」なのだ。
逆に、何も壁に貼っていない空間の中にいると、寂しさもあるが、静かな環境の中にいたい心境にはしっくりくる。
まあ、部屋が賃貸部屋だったりすると、むやみに壁にポスターを貼れないという場合もある。画鋲などの後が壁につくからね。でも、自宅の自分の部屋にいた人が、自宅を出て1人暮らしを始めた場合に、壁にあまりポスターなどを貼れない現実に向き合い、その結果、余白の多い部屋環境に慣れていき、やがては余白の良さに馴染んでくる・・そんな場合も多いのだろう。
その後、仮に壁に何かを貼っておける環境に暮らすことになった場合、ポスターなどの「飾り」と、「余白」の調和を考えるようになり、飾りと余白のバランスの中で暮らすようになっていくのだろう。
そういう意味では、部屋にポスターをベタベタ貼っていた時代を体験したことは、意味を持ってくるのかもしれない。
ちなみに・・・
賑やかなライブハウスなどに行くと、店内の壁のあちこちにポスターなどが貼ってある場合がある。
賑やかな音楽をやる系統のライブハウスなどには、そんな賑やかな飾りも合っているとは思う。
逆に、渋い音楽などをやる系統のライブスペースでは、飾りは少なめな気はするし、それもまたその店の音楽方針には合わせてあるということなのだろう。
さて・・・
貴方が学生時代に過ごした部屋には、ポスターなどはたくさん貼ってありましたか?
そして、今の貴方の部屋環境は?
・・え? 有名な画家や書家の作品が飾ってある?
その場合、ニセモノには要注意ですぞ~。
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