
以前このブログで、かつてのドラマ「傷だらけの天使」の挿入歌のことについて取りあげたことがある。
その挿入歌とは、番組に出てきた岸田今日子扮する「綾部さん」の事務所で、いつもバックに流れていた曲「マヅルカ」という曲で、歌っていたのはポーラ・ネグリだった。
で、今回取りあげるのは、「1人」という曲だ。
作詞・岸部修三、作曲・井上堯之
歌っていたのも井上さん。
この番組は言わば、アウトロードラマ。主人公の設定は探偵事務所で働く調査員。
主人公のオサムを演じたのはショーケンこと萩原健一さんで、その相棒のアキラを演じたのは水谷豊さん。
アウトロードラマらしく(?)、ちょっとダークな世界観を持っていた。
不良の香りがするドラマだったせいか、私の学校では、不良連中から特に人気が高かったように思う。
私の友人の中には不良族もいたので、彼らの影響もあって、私もこのドラマは好きだった。
学園青春ドラマとは違った面白さが、私にとって新鮮だった。
このドラマは音楽も秀逸で、特に番組オープニングの主題歌は今でもたまにカバーされたりもしている。
聞けば、「あ、この曲か、知ってる」という反応をされる方は多いのではないだろうか。
また、オープニングテーマの時に流れる映像はかなり特徴的で、そのオープニングを真似してパロディにしていた芸人もいた。
で、今回取りあげる「一人」は挿入歌であった。
私が特に印象深かったのは、最終回で流れた時。
主人公の相棒であったアキラが死に、その亡きがらを、主人公オサムが弔ったシーンで流れていたように思う。
相棒を亡くし、孤独になってしまった主人公のバックに流れたこの曲は、場面にピッタリ合っており、極めて印象的だった。
番組の中では、他にも印象的な挿入歌はあった。
正式なタイトルだったかどうかはわからないが「たまらん節」という曲が、そうだ。
その曲は多分、アドリブ的にオサム演じるショーケンさんから出た曲じゃないかなあ・・・という印象があった。
♪ たまらん たまらん たまらんぜ
たまらん コケたら 皆コケた たまたまらん
と、これだけの短い曲。曲の感じからいって、番組用に正式に作られた曲ではないように思えた。遊び的な曲だし、どうも出演者から自然発生に出たような、アドリブ感が漂う曲だった。
そう思い少し調べてみたのだが、私が得た情報では、やはりショーケンさんが作詞作曲した小品らしい。なんでも、話によると、撮影のしんどさについ出て(作って?)しまった曲だったようだが、案外ファンには受けがよく、番組の熱心なファンでは密かに愛された曲だったらしい。
で、本題に戻るが、この日記の本ネタである、井上堯之さんの「一人」という曲。
「一人」は、ドラマ「傷だらけの天使」のために作られた曲だと私は思っていたのだが、実はそうではなかったらしい。
元々は、ゴールデンカップスというバンドにいたデイブ平尾さんがソロデビューした時のシングルのB面に収められただったそうな。
だが、その時は当時は世には広まらなかった。
この「一人」が世に広まったのは、やはり「傷だらけの天使」の最終回で使われたからだったそうな。
そう、人気ドラマの、しかも最終回の、ラストのラストで使われたものだから、印象度は抜群だった。
それ以来、この曲は「傷だらけの天使」の挿入歌として知られていく。
私など、この曲は「傷だらけの天使」の、もうひとつの主題歌・・・そんなイメージで捉えてた。オープニング曲のように毎回流れていたわでもないし、「マヅルカ」のように番組中で何度も流れたわけでもないのに。
それほど、歌詞、曲調が、あのドラマにドンピシャで合っているように思えたのだ。
いかに、最終回のラストシーンが印象的だったか・・の良い証明であろう。
少し物悲しく、哀愁が漂う旋律で、歌全体から漂うアウトローの孤独感が切ない。
相棒であったアキラを失ったオサムの心象風景が、まるでこの番組のために作られた曲であるかのように歌われていた。
番組終了後、「一人」はやがて柳ジョージさんによってカバーされ、そのカバーバージョンはショーケンさん主演の別ドラマでも使用されたようだ。
それほど、ショーケンさんのイメージに合っていた名曲だったということだろう。
今でもこの曲を聞くと、番組の最終回のラストシーンの風景が浮かんでくる。
当時、この番組が始まる前にショーケンさんは刑事ドラマ「太陽にほえろ」のマカロニ刑事役ですでに俳優として名をあげていたが、「傷だらけの天使」もまたショーケンさんの代表作であったろう。
水谷豊さんは、「傷だらけの天使」のアキラ役がその後の役者人生の大きなステップアップになっていったことだろう。
オサムとアキラのやりとりは、当時色んな人がモノマネしていた。
私の周りにも、二人の口調のモノマネをする奴は多かった。どちらも大人気だった。
アキラは、オサムと「一人」という曲によって弔われて天に登っていったが、その後アキラを演じた水谷豊さんは、教師役ドラマや刑事役ドラマでも代表作を持つ大物俳優として芸能界を登っていくことになった。
そしてショーケンこと萩原健一さんは・・・その後アウトローの香りが漂う得難いキャラの役者として活躍されたが、最近、、、令和の時代を見ることなく天に召されてしまった・・。
あともう少し頑張れば令和の時代をまたぐことができたのに。
リアル世界では、ドラマ内とは逆にアキラより先にオサムのほうが先に逝ってしまったことになる。
オサムとアキラの別れは「一人」という曲抜きには私は語れない。
そして・・・私には、萩原健一さんの死にも、この曲が似合う気がしてならない。
そんな私の印象をふまえたうえで、この曲を。
https://www.youtube.com/watch?v=t7mevj7l7N0
「傷天」自体があの頃のドラマとしては異色のものでしたからね、
最終回も一筋縄では行きませんでした。
まさかアキラが死んじゃうなんて…決してドラマティックな死ではなく、肺炎で…
その亡骸をドラム缶に入れ、リヤカーに載せて夢の島に置き去りにする修…
この時のBGMが「一人」でしたね。
その個性ゆえに晩年は作品に恵まれなかったショーケンですが、
私たちの世代にとってはおしゃれでかっこよくて、そして何より人間臭い「アニキ」でした。
改めて合掌…。
内田裕也さんもそうでした。
ショーケンさんも、昭和と平成に殉じたような気がします。
合掌、、、。
いつものようにテレビをザッピングしてたら「傷天」の最終回やってました。
残念ながら途中からしか観ることができなかったのですが、
思わずうわ〜って声が出ちゃいました。
場面はちょうど修がアキラの亡骸を見つけるシーン。そして綾部社長が国外に逃げるため貨物船に乗り込むシーン。
そこへ西村晃さんの刑事が登場、そこに岸田森さんの辰巳が包丁を振りかざし襲いかかる。
しかしあえなく手錠をかけられてしまうが、貨物船は遠く港を出て行く…
続いてアキラを風呂に入れ、泣きながらヌードのグラビアを体に貼り付ける修。
この辺は、さすがにかなりはっきりと憶えてましたね。
そして夢の島のシーン。
ドラム缶のアキラを残したままリヤカーを引いて走る修のストップモーションに終の文字。
私の記憶はここまでだったのですが、
この後「この物語はフィクションであり…云々」のテロップが出て
もうワンシーンがあったのです。これは全く記憶にありませんでした。
埠頭で喧嘩をしている風なシーンがあり、そこへ「カット!」という声。
撮影しているスタッフが映し出され、彼らに手を振りながらロケバスに走り寄るショーケン。
でもロケバスはショーケンを乗せずに走り去ります。
そのバスを追っかけて行くショーケン…ここで終わりでした。
このシーンは本当に全く記憶にありませんでした。
観てて「え?」って感じでしたね。
最終回の内容が内容でしたので、当時の私はその衝撃でボ〜ッとしてたのかもしれません。
当時、代々木駅で降りた時、その部屋に行ってみようかと思ったりしましたが、あやしい看板があり「立ち入り禁止」になってたのを思いだします。