
70年代、フォークシンガーが次々と出てきた頃。
彼らは多くの人が自作曲を作って歌っていた。
その自作曲の中には、コミカルな小品みたいな曲を作る人はけっこういたと思う。
例えば、御大・吉田拓郎さんは「たくろうちゃん」とか「馬」とかがあった。
佐渡山豊さんにも、そういうのがあったと思う。
すぐには思い出せないまでも、確か他のシンガーにもそういう曲があったはず。
だが、最近はそういう「息抜き」みたいな曲を作る人や、そういうのが収録されてるアルバムってのは、なかなか見かけない。
かつてのそれらの曲は、あまりにも凝った緻密なアレンジで披露されていたわけではなかったと思う。
しかも、たいがい短めの曲であった。
もっとも、そういう傾向の曲を凝ったアレンジで披露したり、そういう曲ばかりを作ったり歌ったりしてたら、コミックシンガーになってしまう。
彼らはコミックシンガーを目指していたわけではないので、あくまでも重要レパートリー群の中で、文字通り「息抜き」的に収録されることで、多少なりともバリエーション幅を広げたりしつつ、あくまでも本筋は「コミックシンガーではない、シンガーソングライター」の道を進んでいた。
リスナーにとってみれば、アルバムの中にそういう曲があると、そのシンガーのおふざけなシャレみたいなものとして感じたし、親しみを感じたり、アルバムとしてバラエティさを感じたりしていた。
少なくても、私はそうだった。
私の聞いてたシンガーにそういう人が何人かいたせいか、いつしか私は、(当時の)シンガーソングライターは、そういう曲も作るもの・・・・として捉えていた。
その捉え方のせいで、自作曲を数多く作ってた私も、そういうシャレのような曲を作ったりもしたものだった。
なにやら、それが当時のシンガーソングライターのたしなみのように思えて。
そういう曲って、出来上がってそういう曲を誰かに聞いてもらった場合、特に面白い曲という感じではとらえてもらえなかった。
単にふざけているだけと思われるのがオチだった。
そう、単なるアマチュアがそういう曲を作っても、それはただの自己満足でしかなかったのだ。
そういう曲でやっていこう!という思いが無い限り、アマが作っても、ただのゴミ曲でしかなかった。
ただ、作り手の遊びとしては「あり」だった。
また、案外そういう遊び曲を何曲か作っていると、思わぬ効能もあった。
それは、何かの集まりの時に、ギターを手にして余興で即興の自作曲を作る時に、「遊び曲」を作っていた経験は役に立った・・ということ。
きっと、当時シンガーソングライターにあこがれて、自作曲を数多く作っていた人で、なおかつそういう息抜きの「遊び曲」を数多く作ってた人は、即興でその場のことを歌にするのは案外出来たのではないだろうか。
私自身がそうだったから。
そういう遊び曲を作ることで、出来の善し悪しはともかく、応用は効くようになった。
そういう効能は・・・・確かにあったと思う。
最近は、プロのシンガーソングライター(←ちょっと古い肩書だが)は、そういう曲をあまり作らなくなった。
かつてそういう曲を作ってたことのあるシンガーでも。
なので、そういう「遊び」を真似する人は少ないかもしれない。
でも、もしも自分で作詞作曲するのが好きな方は、そういう遊びをしておくのは、案外いつか役に立つことがあるように思うので、やってみるのもいいと思う。
まあ、メインの路線にならない程度に。
もちろん、コミックソング系でいこうと思ってるならメインでもいいのかもしれないけど。
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