
ここ数年、私が大好きだったミュージシャンの訃報が相次いでいる。
海外ではなんといっても、グレン・フライ。
国内では、大瀧詠一、りりィ、村田和人、佐藤公彦(ケメ)、そして今回、遠藤賢司。
もちろん海外、国内、他にもいる。多すぎる。
死神様、働き過ぎです。
どの訃報も辛かった。
どれもショックだった。
今回の遠藤賢司(以後エンケン)に関しては、去年私は彼のライブを見に行っている。
当時彼はすでにガンと闘病中で、ガンに負けじ・・とライブを行ったように見えた。
その時の彼の姿は忘れられない。
ライブの途中で、彼がふとつぶやいた「今日も歌えてよかった・・」という言葉を聞いた時、ライブを見ながら私は切なくてたまらなかった。
歌の中では、年を重ねても尖りまくっていた彼が、そんなちょっと弱気にも思えるセリフをしみじみ口にしたものだから、彼のおかれた状況を考えると、私の心に染みまくった。
「今日は大勢のファンが来てくれて、嬉しい」というMCを聞いた時、そのライブに来て本当によかったと私は思った。
彼の「不滅の男」という曲の中で、こういう歌詞があった。
「♪頑張れよなんて言うんじゃないよ 俺はいつでも最高なのさ」
その時のライブで彼はこの歌詞にも触れ、「歌の中では、頑張れよなんて言うんじゃないよと歌っているが、上から目線でそう言われるのが嫌なだけで、実は俺は頑張れと言われるのは好きなんだ」と語っていた。
もちろん、その歌の歌詞の「頑張れよ」という言葉と、ガン闘病中の「頑張れよ」という言葉では、意味合いもシチュエーションも違うはず。
だから、その時のライブでは、私は心置きなく「エンケン、頑張ってくれ」と思ったのを覚えている。
ガンに負けず、頑張れ。そして復活してくれ・・・と。
そのライブの最後、エンケンはオールスタンディングで超満員だった会場で、ステージから客席に降りてきて、グーを握った両手でバンザイするようなポーズで、満員の客の中を歩き回った。
客と同化したような光景だった。
客は目の前を歩くエンケンの体を触りながら「エンケン、負けるな」などと思ったり、声をかけたりしていた。
エンケンはファンたちにもみくちゃにされながら、顔はムスッとした表情のまま、口は「への字」に結んだまま、ファンの間を練り歩いた。
ある意味、「仁王立ち」ならぬ「仁王歩き」みたいな感じで。
私も、目の前を通りすぎるエンケンの・・確か右手の上のほうを触ったと思う。
大盛り上がりのライブ中でのハイテンションぶりでエンケンの体は熱くなっているのかと思ったら、案外その手の上のほうは冷えていたのを覚えている。
その時の・・・2016年秋のエンケンのライブを見た私なりのレビューがあるので、その記事をリンクしておきます。
http://blog.goo.ne.jp/banbo1706/e/d6af9751b1af6a775fbf7884fee085f1
先日のケメに引き続くかのように、今度はエンケンが、旅立ってしまった。
いなくなってしまった。少なくても実体は。
心にポッカリ穴があいたような気分で、その穴を空しい風が通り抜けていっているような気分でいる。
このやりきれない思いを、どうしよう。
ケメの他界に引き続き、涙腺が、またしても・・・。ガンよ、あまり私を泣かせないでくれよ。
実体はいなくなった・・と書いたが、いや、実体もあるじゃないか。
彼の残した音楽という実体が。
こればかりは、いくらガンでも消し去れない。
エンケンが生前語っていた言葉で、特に私に染み込んだ言葉がある。
それはどういう言葉だったかというと・・
「ちゃんとやろうよ、音楽は。ちゃんと。」
エンケンはライブでその言葉を時に叫ぶこともあった。ただし、その言葉は、エンケンがエンケン自身に言っている言葉である・・と彼は語っていた。
エンケンは、ちゃんと音楽をやって、旅立った。
ちゃんとね。
それは、残された彼の音楽やライブ映像が証明しているじゃないか。
合掌・・・。
以下、以前このブログでも取り上げた曲を、今ここに再び紹介。
「不滅の男」 ↓
https://www.youtube.com/watch?v=-SyTbzlmiMA
「夢よ 叫べ」 ↓
https://www.youtube.com/watch?v=0IUymAArT14
消え入りそうな独特の歌声を憶えています。
10年位前でしょうか。ドキュメンタリー映画が公開されましたよね。
1曲しか知らないので、多くを語る事はできませんが、
なんというか一番思い出深く、そして楽しかった時代を思い出せてくれる
お一人である事は間違いありません。
ご冥福をお祈りします。
でも彼には極端なくらい激しい曲も多く、そこではロックンローラー、パンクロッカーな感じに豹変します。
そんな二面性も彼の魅力でした。
まだまだ元気でいてほしかったです。