
今の漫画と昔の漫画を読み比べて、すぐに分かる「違い」はいくつもあるが、その中の一つに「コマ割り」の違いもある。
今は、コマ割りのサイズが大きいのが目立つ。
昔の漫画は、少年週刊誌サイズの1ページに12コマ前後ぐらいあったりした。
昔読んだ「漫画の描き方」的な本には、1ページあたりの標準的なコマ数が書かれていた。
平均すると、横3コマ、縦4列・・・・都合3×4で、1ページあたり12コマ・・と書かれていたように思う。
まあ、当時の漫画でも、どの漫画もそれを順守してたというわけではないが、それでも今の漫画よりも1ページあたりのコマ数は多かった。
1ページあたりのコマ数が多いと、少ないページで話が早く進む。
逆に1ページあたりのコマ数が少ないと、1ページあたりの物語の「絵を見せながらの進行」は遅くなる。
だが、1コマ1コマを小さくすると、今の「大きいコマ」の漫画を読み慣れた人にとっては、少し読みづらいかもしれない。
また、1コマを大きくとると、1コマあたりの迫力や印象度は高いし、インパクトもある。
昔の「1ページ12コマ」基本(?)の時代でも、漫画家が物語の進行上強調したいコマは、他のコマよりも大きくとっていたりはしたが、それでも、縦2列ぶち抜きぐらいが多かったんじゃないかなあ。もちろん、4列ぶちぬきなどのバリエーションもあったけれど。
今は1ページまるまる1コマなんてこともあるし、下手したら2ページ(つまり見開き)で1コマなんてこともある。
その分、1ページで1コマや2ページで1コマだったりした場合、そのコマのインパクトはかなり大きい。
仮に2ページで1コマになっている絵を、1ページ12コマのサイズの1コマに収めてみると、かなり印象度やインパクトは弱い。せっかくの見せ場なのに、物語の進行の中に埋没してしまう可能性もあるような気がする。
だが、そういうのが多くなると、その作品が連載モノだった場合、1エピソードが中々進まず、1回の掲載分があっという間に終わってしまい、話があまり進行しないまま次週に続く・・なんてこともある。
どちらもメリット・デメリットあるので、一概にどちらがいいとは言えない。
エピソードを長くとり、関心度を引っ張る・・という狙いにはいいかもしれないが、あまりにも少しずつしか話が進まない状況が長く続くと、少しだれてきてしまう場合もある。
また、大きいコマばかりで作品を進めてしまうと、作者がホントに強調したいコマが出てきた時に、強調しきれない場合もありそうな気はする。
通常のコマも大きいもんだから、強調しようとして更に大きくするとなると、1ページや2ページまるまるを使うしかなくなる。
この場合、大きいコマのインフレ状態(??)みたいなものかもしれない。
やはり、小さいコマと中ぐらいのコマ、そして大きいコマが普段から共存しているのが、色んな状況に対応できるんだろうな・・・なんて思ったりする。
今、小さいコマの多い昔の漫画を読むと、1ページあたりの物語が凝縮されており、中身も濃い一方で、せっかくの波乱万丈のストーリーが、読みにくく感じてしまうこともある。
その一方で、大きいコマばかりの最近の漫画を読むと、それが緻密な絵柄だと、絵が見やすく、1コマ1コマあたりの絵や構図をより堪能することもできる。その一方で、物語が中々進まずに、1回分の連載が物足りなく感じることもある
まあ、それでも、連載ならば次回に持ち越せるからいい。
でも、読み切りだと、物語が薄く感じたりする。
となると、大きいコマでの作風は連載向きで、小さいコマは読み切り向き・・ってことになるのかな・・。
じゃないと、読み切りだと、限られたページ内に物語が収まりきらないか、尻切れトンボになってしまう危険性もある気がする。
ともあれ、古い漫画と最近の漫画を読み比べると、1コマ1コマのサイズや、ページ構成のコマ割りに、けっこう違いを感じるのだ。
時代の違いは、絵柄や物語だけではなく。
まあ、コミックのファンとしては、面白ければどちらでもいいんだけどね(笑)。
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