蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

ベランダで、本当のメトカーフ追尾 の巻

2022-01-12 15:18:11 | 天体観測

メトカーフ追尾に挑戦してみました。Leonard彗星の近日点を挟んだ1月2日、1月4日の2日メトカーフ追尾で、この彗星を撮影しました。忘れないうちに、記事にします。

Leonard彗星の近日点通過は、2022年1月3日だったのですが、近日点通過付近はでは、速度が65km/secと一番早くなります。この速度だと、10分ちょっとで、地球を一周するぐらい早さです。もちろん天球上を、異様な方向と速度で横切りますから、赤道儀の通常の追尾では、対応できません。20世紀の銀塩写真時代にでは、ガイド鏡を覗いて、十字線にコマを捉えて、手動追尾するか、後付けの「コメットトラッカー」という装置に赤緯、赤経、の移動量をセットして、自動追尾したようですが、この装置、価格が赤道儀並みに高価でしたので、Balcon は現物を見たことがありません。

21世紀のLosmandyの赤道儀コントローラ、Gemini II は、単体で、彗星を追尾できる機能があるので、これを利用します。まず彗星のデータを収集します。

撮影は、日没後、薄明の時期に行うので、17:00と18:00の彗星の、赤経(RA)、 赤緯(DEC)を、プラネタリウムアプリで求めます。今回、SkySafari  pro を使いました。

1月2日17:00:00に時刻をセットして、検索機能でBlightest Cometsを検索すると、C/2021 A1(Leonard)が一番上に出てくるので、これを選択します。

すると彗星のデータが表示されます。このデータから、RA、DECを拾います。

このようにして、

17:00 RA=21h35m53.78s、 DEC=-35°23'39.3"

18:00 RA=21h35m58.77s、 DEC=-35°24'0.21"

を得ました。17:00から18:00までの1時間の差分は、

ΔRA = 00h00m04.99s、ΔDEC= -00° 00'22.80"

と計算できました。

これをLosmandy の赤道儀に入力します。

ハンドコントローラのMenu(メニュー)から、TRACK(追尾)を選択します。図A

出てきた選択枝の中からUser Define のボタンをタップして(図B)

Delta RA、Delta DEC、 Time Span、に値を入力します。小数点以下は入らないので、四捨五入して入力して、Setを押すと(図C)、マジックナンバーが計算されて、Comet/UserDefinedモードにチェックが入り設定されます。(図D)

 

あいにく、水平線近くの大気散乱光が明るく、30秒しか露出を掛けられなかったため、背景の恒星があまり流れていませんがこんな感じで撮れました。

近日点通過の1月3日は、水平線に雲が出ていて観測出来ず。近日点通過後の1月4日に、再度、メトカーフ法で撮った写真は、露出を60秒まで取れたので、恒星がもう少し流れています。

近日点通過前後で、核が崩壊することもなく、Leonard彗星は、太陽系を飛び去っていきそうです。北半球での観測は今後厳しくなるとのことで、ベランダからはこれが最後になります。

メトカーフ法らしい、背景の恒星が流れるような長い露出が撮れなかったですが、別の彗星で、太陽から離れていて、長い露出がかけれる状況で、もう一度、メトカーフ法にトライしたと思います。



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2 コメント

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Unknown (starskys2)
2022-01-16 11:59:29
新星空の友です。

本年もどうぞよろしくお願いします。
彗星のメトカーフ法挑戦の写真、拝見しました。
昔のフィルム写真時代はメトカーフ法がはやっていましたね。
私はやったことないです。難しそうですね。
今のデジカメ時代はメトカーフコンポジットが主流です。
普通の星野写真と同じように恒星時追尾して、後で彗星軌道要素を用いて自動でメトカーフコンポジットします。(自動の時に失敗する場合もあります)
手動で軌道要素を用いてやる方法もあります。自動で失敗した時は手動でやっても良いです。
私も動きの速い彗星はメトカーフコンポジットで写真づくりしています。尾が流れずにハッキリと写ります。
ステライメージ9ソフトには、このメトカーフコンポジットが標準装備されていますから、難しいことを考えなくても容易にやれます。
写真テクニックを追求するか、早い写真づくりを選ぶかはその人の考え方次第ですね。どちらが良いかは一概に言えません。
どちらにしても星空の観察・撮影や写真づくりを楽しでほしいものです。
どうぞこれからも星空を楽しんで頂きますよう、よろしくお願いします。
尚、今季はシリウス伴星が最大角距離ですので、是非このチャンスにシリウス伴星の観察・撮影にも挑戦して頂きますようお願いします。うまく撮影できましたら、ブログに載せて下さい。
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Unknown (balcon)
2022-01-17 12:11:09
コメントありがとうございます。
銀塩写真の頃は、増感処理をしても、ーが精々 ASA(ISO)800ぐらいでしたから、彗星も、長く露出しないと、映らなかったと思います。現在はISO 10000以上も普通になり、短時間露出で写るようになり、メトカーフ法も出番がなくなりつつありますね。
シリウスの伴星は、どのようにして、撮るか、策を練っています。まず、シーイング良い晩に、惑星撮影用のシステムで挑戦してみたいと思っています。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
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