蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

「あるもんで済ますのよ」 の巻

2021-11-01 13:14:35 | 天体観測

50年ぶりに、天体望遠鏡を覗いたBalconですが、赤道儀の極軸も合い、オートガイドもできるようになり、いよいよデジタル写真撮影にトライします。

我が愛機であるケンコーのKEー60屈折望遠鏡は、F15とあまりにも暗く、眼視には、そこそこ使えるのですが、写真撮影には、露出時間が長くなるので現実的ではありません。

天の声が、「あるもんで、(あるもので)済ますのよ」と聴こえてくるのですが、望遠鏡とカメラを新調することにしました。

余命幾許もないBalconに試行錯誤している時間はないので、ネットの評価がある程度ある製品で、予算が許すものということで選定することにしました。 鏡筒は、高橋製作所のTSA 120(F7.5)か、FSQ 85ed(F5.3)かと迷いましたが、二兎を追うものは一兎も得ず、撮影メインと割り切ってFSQ85 edに決定。

KーASTECの鏡筒バンド、Losmandy規格のアリガタ、カメラは、ZWO社のASI 294 mc  pro に加えて、タカハシのカメラマウント DX-WR(EOSタイプ)、 ZWOの カメラアダプター(EOS用)、と純正3cmx6倍ファインダーも同時購入しました。

全然、あるもので済ませていません。お許しください。

プレートソルビングの精度が素晴らしいので、最近ファインダーをほとんど使わなくなってしまいました。 今になって、ファインダーがなぜオプション扱いなのか判明しました。「何ごとも、先達(せんだつ)は、あら欲しきことなり」なんですが、教えてくれる人がそばにいないので仕方ありません。

鏡筒には、放射冷却を抑えるために、断熱シートを巻いています。効果ははっきりしませんが、過冷却によるレンズの結露はまだ起こっていないので、当分このまま巻いておきます。

カメラのピントが出るか少し不安でしたが、全く問題ありませんでした。接眼部が鋳物でしっかり作られているのと、レンズが4枚も入っているせいか、アクロマート2枚玉のKEー60に比べて、かなり重いです。

接眼部に標準装備のカメラの回転装置が素晴らしいです。付属の延長筒が外せなくて手こずりましたが、なんとか取れて一件落着。

ファーストライトは、ベランダから、とも座の散開星団M46と惑星状星雲NGC2438です。プレートソルビングで一発導入で、こんな感じ。プレートソルビング自動導入の精度にあらためて感動しました。

NGC 2438は、十字線で囲んでます。

見やすくトリミングしたものがこちら、NGC 2438の翡翠色が綺麗です。

こちらは、最近の写真です。しばらくぶりに、ベランダを覆い隠す雲が長時間なかったので、1時間30分の露出でのみずがめ座、「らせん星雲」(NGC7293)です。本当はもう少し長く撮りたかったのですが、地平高度が低くなって、断念。ファーストライトの頃より、フォーカスがきっちり合うようになってきました。本当に星が針で刺したように写ります。地上光の散乱が、右下に写り込んでいたので、トリミングしています。露出時間が長くなると、赤道儀の回転に伴い、散乱光の入る方向が回転し、また地平高度の低下で散乱光自体が強くなって、初めに撮ったフラットでは補正しきれなくなるため思われます。後半で説明するBalconのリアルタイムフラット法の今後の課題となりました。

こちら本気の画像処理前、コントラストを上げると、カブリも増強してしまいます。

 

リアルタイムフラット法

Balconのベランダは、東京23区内の光害地にあるので、周辺減光と、地上光の散乱がひどいです。SCWの写真では、こんな感じ。十字のところがBalconのベランダの位置です。

こんな場所での撮影ですから、天体写真には、なんらかの画像処理は必須です。M46を試写で撮った未処理の一枚撮りだと、とこんな感じです。周辺減光がひどいです。

ところが、天体画像データ処理をするWindows PCをBalconは持っていません。「あるもんで済ますのよ」という天の声にさからって、さらにPCはとても購入できないので、コンポジットは、ASI  air   pro のライブスタックで、画像処理は、iPadの ArtStudio、Affinity Photoというアプリでしています。

ライブスタックは事前に、フラット、ダーク、バイアス画像を用意しなけれならないので、試写してから、感度、露出を決定する20世紀天文少年のBalconのスタイルには合わないのですが、天の声には、逆らえません。

そこで、想定される露出時間に合わせて、Gainを変えて何種類かのダーク画像とバイアス画像をあらかじめ用意して、フラットだけは、撮影時に取得するやり方を開発(?)しました。

試写で本番の露出データと構図を決めてから、そのデータでその構図のまま、フラットを取得、その後、そのまま撮影に入ります。この方法を、Balconは、勝手にリアルタイムフラット法と呼んでいます。ダーク、バイアスは、事前に用意した現在の露出データと整合するものを使います。

こうすると、地上光の散乱によるカブリも運が良ければ、補正できます。フラットの撮影は、銀塩写真の頃はこんなことしなかったなぁと思いながら、Tシャツのような材質の白い袋をフードに被せて、撮っています。貴重な晴れ間の時間を、無駄にするのは忍びないのですが、その間に、オートガイドのキャルや、ノート記入などで、時間を潰したり、ベランダから戻って、食事をしたりしています。

撮った画像は、iPadに保存されます。(多分、jpg画像)、これを、ArtStudioで開いてカーブ調整、コントラストなどを調整して、ArtStudioではできない、ノイズリダクションを、Affinity Photoで行って、jpgでいいと思いますが、デフォルトのtiffで保存しています。天体写真専用のソフトではないので、一部のカブリ補正とかは、全くできません。

銀塩写真の頃は、一部カブリとかは、焼き付けの時に、ボール紙を細かく動かしながら、覆い隠して、調整したりしてたんですが、デジタル時代には、どうすればいいのか思案中。

Balconにとっては、大きな買い物をした後なので、当分はあるもので済ますことになりますが、あるもので済ますのも大変デス。



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