私のかばん・型紙つくりについて3回にわたって掲載しています。
胴面がある程度出来たら、ソコとマチ・コマ部分にいきます。
最大の難関は、マチ・コマ部分の寸法出しです。バッグによって様々ですが、胴面を決めただけで、ソコとマチ・コマ部分の全体寸法が決まるもの、また、胴とソコを決めないとマチ・コマの全体寸法が決まらないものがあります。ソコ部は基本的に、バッグを地面に置いた時に、引っ付く面なのでその大きさも大体決まってきます。あとから変更も出来るので、まずソコの寸法を決めましょう。
型紙上の寸法出しは、まじめにすれば割と簡単にだせます。型紙の外周から6ミリ控えた内周を、測ればでます。その時私は、パイピングの芯に使うポリ芯(2.5ミリ直径の長いものです)を100センチくらいに切って実際に型紙の6ミリ内側に当てて寸法を出しています。また、直線部分は定規でカーブ部分をヒモで測るもOKです。
しかし、実際に縫製してみるとまとめ寸法が違うことが多いのです。これは、縫製者の個人差(上手下手、各パーツの縫製の丁寧さなど)、ミシンの調整、まとめ方(胴面を下にするか、上にするか)、素材の厚み、伸び具合などによって、必ず違ってきます。ですから、実際のまとめ寸法出しは、現場でしてもらうしかないのです。型紙作りの担当としては、短くなるより長めにとか、中心当りや寸法出しの当りを分かりやすく付けておくくらいと思います。
それでも、一応型紙上で寸法を出して、マチ・コマ部の型紙を作ります。この時の寸法出しに私が注意しているのは、胴面との緩衝と、肩ベルト付け位置などです。胴面との緩衝というのは、マチとコマを繋ぐとそこに厚みがでるので、その厚みが胴面のファスナーポットやその他の部品とバッティングして、より厚くならないようにということです。肩ベルト付け位置は、バッグの重心より上で、安定して肩に掛けやすい位置に設計するということです。これって、案外難しい場合があります。デザイン、強度、使いやすさなどの折り合いがつかない時があります。
ここまで、一気にきましたが途中で押さえておくことがあります。それは、金具やファスナーなどの資材の選定です。本体素材が決まれば一応の型紙は出来ますが、使うパーツが決まらないと、バッグのデザインが決まりません。この辺りは行ったり来たりの繰り返しです。希望する金具が入手できる確率は50%くらいです。捜し歩けばあるのかも知れませんが、実際には地元の業者に頼んで探してもらうことがほとんどです。金具の内径に合わせたり、デザインに合わせたり、工夫しながら型紙のなかに落とし込んで行きます。
私がいつも思うことは、型紙つくりはパズルを解くような仕事ということです。お客様の要望に合わせて、いろんな選択肢の中から答えを見つけていきます。実際に手を動かして、進めていくと、課題も分かるし、答えもそれとなく分かってきます。正しい答えではないかも知れませんが、よりベストな答えがあります。何よりお客様の要望というコンパスがあれば、道は開けてきます。
そんなこんなで一応、型紙はできます。しかし、これで完成ではありません。実際に試作を作って、型紙を修正します。今でもそうです。よほど簡単なものでない限り、机上の型紙だけで鞄はできません。試作を通じて、型紙を修正して完成です。
これでひとまず「私のかばん・型紙つくり」はお終いです。
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